力技広告動画飛ばし

 動画投稿サイトに閲覧目的で入り浸っている。
しかし肝心の見たい動画が開始される前に、スキップできない広告動画が挿入されることが増えた。
そして、その動画投稿サイトの常連広告主なのか、概ね同じ会社の広告動画が頻繁に表示されるようになる。
 
 そういう常連広告主の広告動画のいくつかは、私は好きではないのだ。
好き嫌いが多い性分で、嫌いな広告動画がいくつかある。
その広告動画の演出センスが嫌い、取り上げられている製品ブランドが嫌い、もうその製品ブランドの会社自体が昔から嫌い、という風に何パターンかある。
で、どのパターンであれ、私は嫌いな広告動画を見るのも嫌なので、ブラウザバックでひとつ前の、動画を選ぶ前の画面にまで戻ってしまうのだ。
そして改めて同じ動画のサムネイル画像をクリックすると、今度は本編前に私の嫌いではない広告動画が始まってくれる、こともある。
その場合はそれでいいので、そのまま本編動画まで見続ける。
仮に、再度嫌いな広告動画が始まってしまった場合、またブラウザバックで戻る。
また選ぶ。
嫌いな宣伝、戻る。
選ぶ。
嫌い、戻る。
選ぶ。
今度は当たり。
嫌いではない広告動画なので見る。
と、行きつ戻りつを繰り返して本編動画に辿り着くまで五分ばかり要することもあった。

 これは果たして許されるのだろうか、と思うのは、その行きつ戻りつを繰り返すうちに、広告動画が挿入されず本編動画が始まることが稀にある。
 私は動画配信サイトの広告の仕組みをよく知らないが、基本、本編開始前の広告動画の視聴を前提に、本編動画を見ることが許されていると思うのだ。
ところが、「この宣伝嫌い、戻って選び直す」の攻防の末に「わかったわ、もうええわ勝手にせえ!」とばかりに広告動画抜きの本編がお届けされる。
何か裏技を使った感じというか。
例えて言うと、映画館の入り口で入場券の高さについてゴネていたら、窓口の人が面倒がってこちらが券を買う前に館内に通してもらった、というような。
 嫌いな動画を見ずにさっさと本編動画に進ませてもらったのは有難いのだが、何か悪いことをしたうしろめたさが残るのだった。

 自分が楽しんだ動画の投稿者に広告料が入るのは望むところなので、このブラウザバックの顛末で投稿者に広告料漏れなんかの不利益になっていなければいいのだが。
 もっと言うと、動画投稿サイトの運営元が、もっと私の好きな広告主と広告動画ばかり集めてくれまいか、と思う。

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