又吉直樹 劇場を読んで

年下の大学生の友達から譲られたバイクを乗り回すシーンが好き。このシーンで永田が「バイクに跨り意味もなく走らせ、紗希の事を無視する」という、情けなさが紗希の前で極力現れないようにしながら沸々と湧き出る感情を体内で押さえる事はできていない様が、永田の最大限の抵抗って感じがして面白かった。

自分自身においては、嫉妬しそうになった時に傷つきたくないという感情が先に出てきてしまい、向き合う事を放棄する行為は日常の中でたびたび起こった。僕は大学時代サークルに入りたくなかった。生きるのが上手い奴らがちはほやされる所が目に浮かび、逃げた。でも、今僕は好きな人やモノに囲まれて生きていて幸せだ。と思っている。

自分は永田のように真正面から嫉妬して、打ちひしがれる感覚は苦手だ。でも打ちひしがれて、潰されて、そこから新しく見える風景も必ずあるような気がする。そんな時に支えてくれる人を大切にしよう。当たりたくなる時もあるかもしれないけども、殻に籠って、自分は特別な存在だと、何も行動しないのは勿体無いのかなと思わせてくれた。

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