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心はコーティングされている。


#ポ杉ポエム  「心は見えない」


暑い夏の日も、寒くなってきた冬の日も
1年中 私は、いつも水の上で仕事をしている。
気が付いた時に私には
「感情」というものが備わっていた。


他の仲間たちとは意思疎通が取れたことはない。
「感情」を持っているのは私だけかもしれない。

人を喜ばすことができるこの仕事に誇りを持っている。

初々しいカップルの会話。
小さい子供が、はしゃいでいる。

とても幸せだった。
私の記憶がまだ浅いころは。


何十年ともなる月日が経つとともに、
私に乗る人間たちの話している会話を
聞いていると、私は何も選択ができない環境にいることに気が付いた。

小学校?中学校?
お金というものがあり、自由になりたいものを選択することができる。
私に乗るのもお金を払っているらしい。
私は、ずっと水の上。
水路もこの人間たちに決められ、指名されなければ、ずっとこのまま動くこともできない。
全速力で漕いだり、中で私を叩く人もいる
疲れるよ、痛いよ、誰にも気持ちは届かない。

だんだんと苦しくなってくる。



最近は、新しく他のキャラクターの見た目を手に入れた新入りたちに人気を取られ、私に振り向いてくれる人は少なくなった。

私の見た目は年月とともに、どんどん汚れていく。

私は最期どうなってしまうのか。
そもそも最期というものがあるのか。


「もっと可愛いのに乗りたいよ。」泣き叫ぶ子供の声。
私のことを言っている。
私は何もしていないのに、傷つけている。
私の容姿で人を傷つけている。

心はみんなと同じように動いているのに。
心をコーティングしたこの固く冷たい見た目は
私に心があることも隠す。


感情を持ち始めて、どのくらいの月日が経ったのだろうか。
私は誰にも攻撃もできず、感情を分かち合う仲間も居ない。
こんなに苦しいことはあるのか。
私はずっと水の上。ずっと孤独。

これはあと何年続くのだろう。

今日も水の上。毎日同じことの繰り返し。

私はスワンボート。
生まれ変わったら何でも自由に選択できる人間になりたい。





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