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家庭教師の先生

小学校4年生から算数が全くだめで、
母親も自分で教えるのに限界を感じていたころ
当時塾に行くよりも月謝が安いのと私の性格を考えて
家庭教師の先生を呼ぶことになった。

親にも先生にも頭を抱えられていたと思う
しかも4年生の算数で分からなくなるなんて
とできない、わからない自分に情けなくなりながら、
(ここでも自分を責めてるな~)
家庭教師の先生にまで呆れられたらどうしようという不安を持ちながら
迎えた初めての日。

先生は広島大学の大学生で、身長は170cm
スキニーデニムと先のとがったパンプスを履きこなしていた
モデルさんみたいな先生だった。
CHANELのチャンスの香水(私が短大生になって教えてもらった。)
もまとっていて、大学生っていうより、大人だと思った。

母がレッスンのたびに先生に用意する飲み物の飲み方も氷を
噛む音まで(そこから租借音とか好きになったんだと思う。)
所作まで全部かっこいい!とあこがれのお姉さん的存在に一瞬で
なった先生は、教え方もすごくわかりやすくて、
算数のノートまで作ってくれていた。

居酒屋でのアルバイトをしていること、お姉ちゃんと一緒に住んでいること、彼氏のことや母との世間話を聞いていると、今まで気にもしなかった大学生になることにわくわくと、私もこんな大学生になるのかな?という期待が膨らんでいくのも楽しかった。
(自分以外の生活や環境を知るのをこの時から楽しんでいたのかも。)

小学校5年生まで続いたけど、先生の就活で
家庭教師を辞めることになり、それと一緒に私もやめた。
(私このパターンありがちだな。)

やめる直前くらいになると2番目もと母の希望で
同じ時間に勉強をすることに、それがもう気に入らなくて
私の先生なのに!っておもってた。ジャラシーだった(笑)

先生は3人姉妹の末っ子らしくて
3番目とも遊んだりしてくれていた。


やめた後、先生が仕事で東京に行ったりしていて
会うことはなかったんだけど、母のケータイを使っては
連絡を取ったりしていた。
東京勤務だった先生が広島勤務になり、結婚をした
連絡を受けたとき、すごく喜んだ。

私も社会人になり、先生が妊娠をしたときくらいから
1年に一度家に遊びに来てくれている。

私も先生の家に遊びに行ったりしてたんだけど
少しずつ違和感を覚えてきたのと自信がなくなってきた。

先生は母と話をしたいのもあり、母の在宅をサラッと確認してくる。
今考えれば変なことではないんだけど、一度だけ先生と
二人で外食したことがあったんだけど、家に来て話す時よりも
なんだかそっけないように感じた。

そっか、母がいる家がいいんだと感じ、
私も楽しい話題とかできるような話し上手ではないので
それ以降、先生が来るときは母のスケジュールも確認してから
呼ぶようになった。

これでいいや、私も頑張って話さなくていいし。

母に「別に母さんいなくてもいいじゃん」
って言われるたびに(そうじゃないんだよ)と思いながら
「たくさん話せんし、先生、母さんとも会いたいらしいから。」
という会話をなんども続けていることにも疲れてきた。

先生は遊びに来るたびに私に向かって
「なんだかんだ親は長女が1番大事だから」
とか言ってこられるのも引っかかっていて、

3番目がいたときに
「今度2人でユニバいこう!」
って先生が提案してた時は本当にショックを受けた。
私はそんな話されたことなーい。

そして東京いく数日前、私と三番目にスーツのおさがりを
持ってきてくれた際に3番目に就職祝いを渡していたのを
知って悲しくなった。それをなんだか申し訳なさそうに
伝えてくる母にもそれ以上会話を続ける気にもなれなかった。

悲しい? むなしい?
離れそうになった縁を必死につなぎとめていたのは私。
連絡をして、家に呼んで、母と一緒にごはんを準備したり、
誰よりも先生が来ることを楽しみにしていた自分が恥ずかしくなって、
救われなくて、なんだか先生が抱えていた先生の姉たちに対しての
何かを3番目をかわいがることで先生自身を満たしている気がして。
思い返せば違和感なんていくらでもあったのに、会うのをやめれば
良かったのに、とまた自分責め。

本当、東京に拠点を移してよかった理由の一つ。
これでもう会わなくて済む。離れられる。

ここに文章にすることで分かることがある。
「依存」してたんだ。あこがれに、姉のような存在に。
なんでこんなにもこだわっていたのだろう。


あ、そっか
自分だけを見てくれる「誰か」が欲しかったんだ。
「誰か」に任せておきたかったんだ。
私を肯定してくれる1番の味方が、
私以上にわたしを知ってくれる存在がいるって安心したかったんだね。

でもそれは違うよって
今までのことを記したからわかるよ。

悲しい、むなしいもわたしが決めたことだ。
縁をつなげることを決めたのも。
それでいいんだよ。間違ってない。

だってこうして今気づくことがたくさんあったし。
もう同じループは繰り返さないから大丈夫。
自分の心は自分で守れるよ、
心を守った結果なくなってしまう縁に
もう後悔なんてしない自信ががある。


次があるとすれば、
前とは違う私で先生と会うことができる。


うん。もう大丈夫。







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