小説「四月になれば彼女は」
続きが気になるわけではない。むしろ、これ以上読んではいけない気すらしていたのに、読む手が止まらなかった。
運命的な恋をした。
結婚式場に駆け込む男性。「ちょっと待て!」といい花嫁を連れ去る。
二人は笑顔で未来へと走っていく。
じゃあ、そのあとは?
恋とは一瞬のものだ。
誰かを愛することで自分も愛することができる。
誰かを愛している自分を愛している。
作中こんなセリフがあった。
「でも、僕思うんです。人は誰のことも愛せないと気づいたときに、孤独になるんだと思う。それって自分を愛していないってことだから。」
この物語の登場人物は正解のない問い、答えのない問いをずっと探している。結局答えは見つかったのだろうか。そもそも問いとは何だったのだろうか。
この物語が伝えたかったことを私は少しでも感じることができたのだろうか。ひとつ言えるのは、素敵な傷一つない純粋無垢な恋愛小説ではないということ。いや、むしろどの恋愛小説よりも純白なのではないだろうか。
もう1回読むべきだ。
だけど私はもう少し素敵な恋に憧れていたい。
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