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KSJ福岡大会 現代詩『ソワレ』

ゼリーは乙女の妄想によって固められる。
固体と液体の、ちょうど中間なのはそのせいだ、きっと。
18歳以上の妄想は時に毒性を帯びるため、
供される際には注意が必要だ。

京都、四条河原町。

誰だか分からない、誰でもないようで、誰でもありえるような似顔絵が売られている町。
店の傍には底の浅い川が流れ、煙草を脊髄として煙る命題。
余命幾ばくもない病葉のような老人が撥であまりにも川底を叩くので、青色、逃げ出した。

昼間に出てきた幽霊が小さなドアをこじ開けて、窓際のブドウを一つ摘むとき、
密やかな理解、
ステンドグラスを透過した光、足首、
外側だけ熱を帯びる音。
神経回路、的確に焼き切れて。

わたし、大人になったら平日の昼間にきっと空を見ることはないと信じていた、
だから今でも少しだけ息を止めてしまう、
飽和した会話、空気中に溶ける。
幻想はいつも青、15分前。信号機は機能していない。

きみが来ることはない店の前で、月面、刺される合図。

途端、鮮度の高い情報はコーヒーの向こう側のあなたを追い越す、
だから妄想はいつでも第一宇宙速度。


※言葉スラムジャパン福岡大会で詠んだものです。

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