「極悪女王」を見て。あの頃、戦う少女達にしびれた少女として🔥
私は、小中学生の頃、ビューティ・ペアが大好きだった。「踏まれても汚れても野に咲く白い花が好き
嵐にも耐えてきた リングに開く花ふたつ」
大ヒットした『かけめぐる青春』の歌詞の通り、
リングで戦う二人は、花のように可憐で、強くてかっこよかった。
そして、当時は、その二人を会場で応援する大勢の少女達も、テレビに映っていた。法被を着て鉢巻を巻いて、メガホンみたいなものを持って、笑顔で、時には泣きながら、叫びながら、応援する少女達。テレビの前の私は、一緒に応援している仲間のような気持ちになりつつも、ビューティ・ペアと応援する少女達が一つのセットになって、ドラマチックな青春を見せてくれているみたいな感じも味わっていた。
Netflixで配信されているドラマ、「極悪女王」は、ビューティ・ペアに憧れて、女子プロレスの世界に入り、自分も戦う少女になっていく少女達の物語である。
ダンプ松本、クラッシュ・ギャルズなど同期入門の少女達は、夢と希望に満ちて新人寮で生活を共にして友情を深め、切磋琢磨しながら戦いの道を歩んでいく。純粋な少女達は、闇の多い大人達の興行や放送の事情に振り回されたり、立ち向かったりする。
友達は、ライバルになり、敵同士になった。やがて、みんなは、生きてる証として強くなりたいという思いで闘争心を奮い立たせていく。その内面も丁寧に描かれていた。
主人公のダンプ松本、クラッシュ・ギャルズを演じた、ゆりやんレトリィバァさん、剛力彩芽さん、唐田えりかさんをはじめとする女優さん達が、とにかく素晴らしかった。2年間、本当に女子プロレスに入門したような生活をして鍛錬してきたのだという。もちろんそうでなくては、あんな迫力ある死闘を演じることなど出来なかっただろう。戦いながら見せる、戸惑い、苦しみ、喜びなどもリアルだった。
家族との確執に悩む姿も、一人の女性として生き方を模索する姿も、健気で胸を打たれた。
私は、物語に引き込まれながらも、女優さんである彼女達への尊敬と感謝がずっと心の中にあった。
私は、ライオネス飛鳥さんと共にクラッシュ・ギャルズとして活躍し、このドラマの監修にも携わった長与千種さんと同じ歳である。清々しくて、歌も上手くてかっこいいクラッシュ・ギャルズがビューティ・ペアと同じくらい大好きだったし、ダンプ松本さん率いる極悪同盟も、どんなに怖いことをしても、同世代としてずっと親しみを感じていた。
私はこのドラマで、彼女達の戦いやそれを応援する少女達を見て、「想い出づくり」というテレビドラマを思い出した。
放送されたのは、私が高校生の頃。田中裕子さん、古手川祐子さん、森昌子さん主演で、適齢期の三人が、結婚する前に、自分を輝かせるような想い出をつくろうとする物語だ。理不尽な結婚にも反発し、団結して、彼女達なりの奮闘をした。
自分よりも少し年上の彼女達のひたむきさや、危なっかしいけど凛とした生き方が魅力的に感じた。
当時は、「女性は25歳までに結婚して家庭に入るべき」みたいな風潮があった。地域などによって差があったのかもしれないが、それは時に、風潮というよりも掟みたいな厳しい重しになっていた記憶がある。
10代の頃の私達は、そんな世の中をおかしいと思いながらも、抵抗するのも難しい気がしていて、それならば、やっぱり結婚する前に輝いておかなくては、自分の花を咲かせなくては、想い出をちゃんとつくらなくては、と強く思っていたんだろう。
そして、無意識のうちに、そういう社会への憤りみたいなものが、女子プロレスラーを応援して一緒に戦う姿勢や情熱に、繋がっていたのではないのだろうか。
私は、「極悪女王」にのめり込みながら、忘れていた反骨精神みたいなものを自分の中に感じた。
あの頃のあの感じを見事に甦らせてくれたこのドラマは、本当に凄いと思う。
あの時代、女子プロレスに熱狂していた少女達も、今や、アラ還と言われる年齢になっている。
大人になって、本当の意味で戦うことはそれぞれの人生でたくさんあったに違いない。職場でも、家庭でも、地域社会でも‥。それは、過去形ではなく、今もまさに続いているかもしれない。
この40年くらいで、ずいぶん世の中は変わったけど、肝心なところで変わっていないこともある。
報われなかったこともたくさんある。
老後の不安だって、そりゃあもうずいぶんある。
でも、あの頃、確かに持っていたバネのようなしなやかさと、突き進む情熱は、きっとまだどこかにあって、これからの私達の支えになるのではないか。
そんなことが、思えるようになったのは、「極悪女王」というドラマに、人生をかける覚悟で果敢に挑んで成し遂げてくれた、ゆりやんレトリィバァさんを筆頭とする素晴らしい女優さん達のおかげであることは、間違いない。
サンシャイン 愛のために
サンシャイン 生きていくの
青春に地図はないけど
ただあなたが あなたが
あなたがいるかぎり
(『真赤な青春』ビューティ・ペア)
何が起こるかわからない時代だけれど、みんなで、心を強く持って、今日も明日も明後日も、頑張ろう。🌺🌼
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