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帰ってきた家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった🚗

私は今、とても楽しみにしているドラマがある。
昨年、NHKBSで放送された「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」が、NHK地上波で、7月9日火曜日10時から、再放送になるのだ。
再放送と言っても、地上波ではBSよりも5分短い放送になるので、大九明子監督が自ら再編集をして作り直したものになるそうだ。つまり、「ウルトラマン」と「帰ってきたウルトラマン」が別人であるように、BS版と地上波版は同じではないということで、それもとても楽しみなのだ。

このドラマは、岸田奈美さんの自叙伝的なエッセーが原作である。
ドラマの内容は、父は急逝し、母は突然車椅子ユーザーになり、弟はダウン症で、祖母は物忘れの症状があり‥と説明されていた。でも、それならこんな物語かな?なんていう安易な想像とは全く違って、毎回毎回、ええ?なんで?と引き込まれて、伏線伏線!回収回収!も楽しみで仕方ないドラマだった。

その反響も盛り上がりも凄くて、ギャラクシー賞月間賞にも輝いたのだから、いつか地上波でやってくれるはずだと期待でワクワクしていた。またテレビで、新たな岸本家の皆さんに会える7月が本当に待ち遠しい。そして、何よりも、私がこのnoteを知ったきっかけが、この岸田奈美さんのエッセーに惹かれたためなので、今更ながら、感謝の気持ちでいっぱいなのである。

ドラマは、短く「かぞかぞ」と呼ばれて親しまれている。
キャストは、ほぼ奈美さんである主人公、岸本七実が河合優実さん、父が錦戸亮さん、母が坂井真紀さん、弟が吉田葵さん、祖母が美保純さん。他のキャストも素敵な方ばかり。

私は、昨年、本放送を見た後、NHKオンデマンドで見て、また次の放送を見て、またオンデマンドを見て‥を繰り返していた。最後まで見た後も、オンデマンドで何周も見ている。見れば見るほど深い深い物語なのだ。
私が、こんなドラマは初めてだと思ったのは、登場人物が、全員、生き生きしていてそれぞれとても印象深いことだ。家族の周りの例えば、病院の人達も、宅配業者さんも、店員さんも、すれ違って挨拶する人も、バス停にいる人も、皆んなそれぞれの目的や都合があってそこにいるのがわかる。その人なりの一日を生きている。でも、そんな人達が知らないうちに関わり合って、微笑んだり心配したり素っ気なくしたりしながら、物事が進んでいく。そういう実は当たり前のことが、このドラマを見ていてああそうだなと納得できた。「かぞかぞ」を見た後は、出かけるのが面白くなった。色んな人がいて、世の中が回っているんだなあなんて、小さい子供みたいに思ったりした。そんなことも、このnoteに何か書きたいと思った理由かもしれない。

大九監督は、再編集する際に、登場人物を誰一人削らないと、Xで宣言されていた。全くの素人の私でも、それは凄いことなのだと思う。でも、あの「かぞかぞ」の世界では、誰一人欠けても違う物語になってしまうのだろう。誰もが少しずつ関わって繋がっているんだから。それは、現状の毎日でもそうなんだろうなと、気づいてハッとした。

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」というドラマのタイトルは、岸田奈美さんのエッセーの題名がそのまま使われている。初めは、なんか素敵な言葉だなと思っていたけれど、今の私には、大切なメッセージになっている。
私の生まれ育った家族は、仲は決して悪くはなかったけど、自分の気持ちをはっきり示すことがあまりなかった。それは、その時代や社会の雰囲気がそうだったからだろう。父親だから母親だから、こうしなくちゃいけない。長男は、長女は、次男は、次女は、こうあるべきみたいな暗黙のプレッシャーがあって、皆んなが、いつもちゃんとその役割を果たすことに必死だった。
そして、それは、確実に一人一人を追い詰めていたと思う。役割がどうこうなんてことは、すっ飛ばして、一緒にいて、笑ったり泣いたりするそれだけのことをもっと大事に出来たら良かったなあと思う。今からでも、そうしたいと思うのだ。

岸田奈美さんの新しいエッセーの本が発売されている。「国道沿いで、だいじょうぶ100回」(小学館)。
帯を書いたのは、「かぞかぞ」の主演を務めた河合優実さん。その帯の言葉を読んで、私は思わず拍手をしてしまった。
「近くにいる人を見つめて抱きしめる日々こそが、世界を慈しむことだって確信した。
奈美さんはそういうための力を持ちすぎている。」
素晴らしい!凄い!岸田奈美さんのエッセーのことを、「かぞかぞ」のことを、こんなにピタッと言い当てた言葉は他にない。
岸田奈美さんのエッセーが、ドラマに繋がり、主演女優の方のこんなに素晴らしい言葉に繋がった奇跡を目の当たりに出来たことに感動した。

ドラマ「かぞかぞ」の放送まであと1か月あまり。
「国道沿いで、だいじょうぶ100回」をじっくり読んで、エッセー「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」もゆっくり読み直そうと思っている。
そんな静かな夏の始まりが、なんだか嬉しい。🎈







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