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エッセイ:「僕が先に好きだったのに(BSS)」

 世の中にはNTR(寝取られ)が好きという人が一定数いるらしい。どうやら、大好きな彼女から裏切られ、チャラ男に奪われるという悲しみや悔しさに性的な興奮を覚えるのだという。

 正直、今一つ分からない性癖で、「なんで彼女に浮気されて興奮するんだよ!」と思うし、僕が仮に浮気されても、怒りや憎しみというより、「なんだ、その程度の人間だったのか……」という落胆の方が大きい気がするのです。

 チャラ男からレンズ越しに、「イェーイ!! 彼くんみてるゥー?」とかやられても。淡々と不倫の証拠を集めて、慰謝料を請求する準備をすると思う。実際、調子こいて性行為してる動画を法的な機関に見せられるのは中々恥ずかしいでしょう。

 「脳が破壊される」という意味合いでは、「BSS(僕が先に好きだったのに)」の方がキツい。

 NTRだったら、僕の所有物が裏切った(=存在価値が無くなった)という蔑みなのです。浮気した彼女に対して本気にはなれない。ただの尻軽だったと興味を無くしてしまうでしょう。

 BSSだと、価値がある者が僕のモノにならなかった。という無力さを延々と味わい続けることになる……。明確な殺意へと変わっていくのです。

 スクールデイズでは、一人の男性を取り合って壮絶な殺し合いが始まっていたけど。そもそも、寝取った寝取られたの、その愛憎劇の中に入れない僕からすると、「贅沢な悩みだな」と感じていた。

 劇中歌の「悲しみの向こう」というのは、そもそも恋愛の輪の中に入ることすら出来ないオタクのことだと思うのだ。モブキャラでしかない無力感。

 下半身の赴くまま、あちこちに手を出すチャラ男を見ていると、「僕が先に好きだったのにィィィッ!!!」と叫び出したくなるのです。

 脳が破壊される💥🧠💥

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