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「ジョニー・マッド・ドッグ」の予告編から見る、日本映画界の憂鬱

今更ですが、映画「暁に祈れ」を見ました。

https://m.youtube.com/watch?v=h8cP5xbYFAM


絶望的な状況にスリル満点。
舞台になった刑務所や、出てくる囚人も本物を登場させていたようなのです。
間違いなく、2018年のナンバーワンでしょう。
どうしても劇場で見たかったのですが。
残念ながら、行けませんでした。
一生の不覚です。生涯後悔し続けるでしょう。

監督は、ステファーヌ・ソヴェール。
聞いたことなかったので調べて見ると、「ジョニー・マッド・ドッグ」の人だったんですね。

….……。は?

え、え、えぇー!!
「ジョニー・マッド・ドッグ」だと……。

「狂犬注意!」のあの映画か!!

内容自体は正直忘れてしまったけど。
予告編だけは覚えていたのです。
今もYouTubeで見られるのですが。

https://m.youtube.com/watch?v=QuMd2KWIdJg

これだけ見ると、ほとんどの人がゲーム感覚で人を殺しまくるバイオレンスアクション映画のような印象を抱くと思うのですが。

本編は全く内容が異なるのです。
むしろ、鬱々とした内容であり、少年兵達の直面する厳しい現実を描いたもの。
人を殺す爽快感などは感じられませんでした……。

なんとこの監督、一年間も現地で元少年兵達と過ごしながら撮ったのです。これだけでも、相当の危険があったのは想像に難しくないのですが。
それをやりきってしまうバイタリティがすごい。
「暁に祈れ」もそんな監督のこだわりが表れていましたね。雰囲気だけでもただならぬものがありました。

そう、これだけでもわかる通り。
「狂犬注意!」なんて、茶化すことが出来ないようなガチ寄りな内容なのです。

予告編の方が面白いなんてことはあるのですが。
予告編と本編の内容が乖離しているという意味では、この映画が一番すごいかも知れません。

おそらく、マーケティング的な意味でも、相当難しかったんじゃないかと思われるのです。
「少年兵の苦悩」というテーマは。
日本人にはエンタメとして受け付けなかったと思うのです。

わざわざ休日に映画館に行くのであれば、もっと気楽な作品が見たいでしょう。僕だって、体感型リアルヴァイオレンスが目当てで見たようなものであって。
「少年兵の苦悩」というところはすっ飛ばしていたのです……。

ある程度、観客側の感受性や教養が必要な映画もあると思う。
異文化に理解が無いと、何をしているのかさえ分からないものも多いのです。

外国人が、あさま山荘の映画を見ても感情移入しにくいように……。

その結果が、アクション映画のような予告編だったのでしょうか……。
残念ながら、「ジョニー・マッド・ドッグ」は、僕自身、それほどおもしろいと思えなかった映画なのです。
「暁に祈れ」の監督情報を見て、ようやく思い出せるレベル。

そして、こんなひどい予告編だからこそ。
「ジョニー・マッド・ドック」の名前を思い出すことができた。
僕ができることは、「暁に祈れ」を紹介しながら。
「ジョニー・マッド・ドック」の予告編を紹介して少年兵の苦悩を広めることなのでしょうか。

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