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出不精旅日記(台湾) 2024.12.1 潮州のヒヤリハット報告書

台湾6日目、恒春は今日も快晴。
私は身支度をして、1階のロビーに降り熱いお湯とティーバッグを頂き、部屋でそれを飲みつつ状況を整理していました。

夫は風邪です。明らかに、紛うことなき、風邪症状。
今のところ熱は無いけれど、喉は腫れている。咳が少し。頭痛もあるみたい。
もしかしたらコロナやインフルエンザの可能性もあります(ちなみに彼は昨年コロナに罹患。私は罹っていません)。そういえば日本を発つ頃はマイコプラズマ肺炎も流行していました。

いずれにせよ、もしも症状が悪化したら病院に行くことも考えないといけません。
しかし…
今日はこれから潮州に向かいますが、ここ恒春も潮州もそれほど大きいまちではない。その後の台南の方が確実に「都市」。台南にはBくんもいるし、病院選びもしやすい。とにかく台南までたどり着きたいところです。

そして、ここからは重大なミッションが2つある。

1・(病院に行くことを想定しつつも)夫の風邪を一刻も早く治す

帰国したら店を開けなくてはいけないのです。
咳をしながらの調理なんて論外。風邪症状があったら、その期間は店を閉めなくてはいけません。
旅行しようが休業しようが家賃や諸経費はかかるのですから、とにかく早く健康になってもらわないと…。
とりあえずの風邪薬はあるけれど、場合によっては症状に特化した薬を調達しないといけないかも。
そして

2・私は、絶対、彼から風邪をもらってはいけない

二人でダウンしたら目もあてられません。
私が病気になったら、誰が夫を病院に連れて行くのでしょう。
台湾の方は親切だから助けてくれるかもしれないけれど、例えばBくんが手伝ってくれたとしても彼に感染させたら困ります。彼だってホステルの経営者。寝込んで何日も仕事ができなくなったら大変です。それは絶対に避けたい。

きちんと睡眠をとって免疫力をキープ。マスク、手洗い、うがいを徹底して、そして静岡県育ちの私がおもむろに取り出すのが…
緑茶
そう、困った時は緑茶。いつも携帯している緑茶。私が今までコロナに感染していないのも多分緑茶のお陰(個人の感想です)。
今回も緑茶の殺菌力に頼ろう。
こまめに緑茶を飲んで、隙あらば緑茶うがいをする。
あとはホテルの部屋が乾燥しすぎないようにタオルを湿らせたりして加湿する。

狭いホテルの部屋に二人でいるのですから、どんなに気を付けていても罹るときは罹るでしょうが、できるだけのことはしないと…
私が胸のあたりで握りこぶしを固めて決意していると、夫が起きてきました。

「うーん、今日は昨日よりいいかも…」
嘘をつくな!! 昨日より病人の顔をしているぞ…と思いましたが、実際本人はそう感じているのかもしれません。
うちは結婚してそろそろ14年ですが、ものの感じ方というのは全然違うもので、何年一緒にいようが彼の感受性は私にとって大きな謎です(性別も大きくかかわっているのでしょうね…)。
分からな過ぎてちょっと怖いこともあるし、謎が謎を呼んで面白く、読み飽きない本のようだなと思うこともあります。

「あ、バイク返してきちゃうね。君は本でも読んでて」
本が本を読めと言っています。
分かりました。「アート・スピリット」読んでます。

往路はバイクですが復路は徒歩、ガソリンスタンドにも寄ったので20分くらいかかって夫が戻ってきました。
「いやー、親切ないい店だったわ。部屋に犬がもう一匹いてさ。驚いたよ。昨日は黒いのが一匹だったけど」
いえ、昨日も二匹いましたが…。
「もう一匹って、年とって全然動かなくて、乳母車の中にいる白い犬でしょ?」
「何で分かるの Σ(・ω・ノ)ノ!?! やっぱり第三の眼が開いてるから?!」
いや、昨日もいたからですよ。
見えてなかったんですね。
見えているものも全然違う(当然逆もあって、私が見えてないこともあります)。
こういうことがあるのも二人旅の面白さです。

昨日撮影した黒いワンコ。夫の荷物をクンクンしていました

荷物をまとめてチェックアウト。
本当に良いお部屋で、心地よくすごせました。
どうもありがとうございました!!

ホテルの近くに映画「海角七号」のロケ地があるというので、見学に行きます。

この映画に出演されていた馬念先さんには、秋のライブでお会いしました。
彼は背がとても高くて、素晴らしい声で、そして優しかった…。
一生懸命中国語で話す夫をぎゅっとハグしてくれて、お人柄の温かさがまっすぐに伝わってきました。良い思い出です。

馬さんが好きすぎて、しどろもどろになりつつ一生懸命中国語で話しかける夫(写真・左)と、
それを優しく「うん、うん」と聞いてくれる馬念先さん。
@南青山・月見ル君ヲ想フ

そんなことを思い出しつつ、パチリ。

そして恒春のバスステーションに向かいます。

ありがとう恒春のまち。また来たいな。
って、この人半袖だ、何考えてるんだよ…(泣)

歩いて10分ほどでバスステーションに到着。

恒春は電車は通っていないのです

高速バスに乗って…

約一時間で枋寮に。

魚と果物のさと、枋寮

ここからは電車で潮州に。
電車は涼しいから、きちんと羽織って下さいね…。

席に座ると、珍しくスマホを見ている夫。
「今回はスマホを持ってるから、いろいろ読めて楽しいよ」
ふだん「俺はスマホは一生持たない」と宣言している夫ですが、海外でそれは不便過ぎると従兄がスマホをくれたそうで…
「noteってすごく面白いね」
そうなんですよ、noteは素敵な街、そして沼(笑)。
普段あまりネットで遊ぶ時間がない私達、こういう時に読みたいと思っていた記事や、気になるアカウントを訪ねてみます。
こういう時間も旅行ならではです。

潮州に着きました。
朝からほとんど食べていないので、ここでパンを買ってベンチで食べます。
チェックインできる15時にはまだ早く、また行きたいお店は閉まっているので、仕方ないですね。
でもこういうパパっと食べる昼食も私は好きです。

「スーパーに寄ってフルーツを買おう。そうこうしているうちにホステルが開く時間になるよ」
前回も来ているのでスーパーのどこで何を売っているのかも覚えています。
目当てのパッションフルーツはありませんでした。
のんびり歩いていきます。

おすすめのホステル「レベッカ」
※この写真は前回のものです

私達は5月に大変お世話になったここのオーナーJさんに御礼を言いたかったのです。
Jさんと奥様に会って御礼を伝え、しばらく部屋で休みます。

「夕飯は自転車で行こう。ここは自転車が無料で借りれるからね」
自転車かあ…(゜-゜)
自慢ではありませんが、私はあまり運動神経が良くないのです。
子供の頃から体育の先生に
「こんなに馬跳びが出来ない子ははじめてだ」
とか
「なんでそんなにボールが飛ばないのか知りたい」
「走れ! お前は本当に走っているのか?」
などのコメントを貰い続け、つまり先生方に事あるごとに珍体験をプレゼントしていた私。
自分の体を動かすのも意のままにはならず、まして縄跳びの縄とか自転車などのものや機械を扱うのは大の苦手で、努力しても努力しても、全然うまくなりません。

そんな私も普通自動車免許(AT限定)は持っていますが、教習所の実技試験では
「うーん、運も実力のうちということか、うーん」
と試験官を何回もうならせたし(最近はサンデル教授が『実力も運のうち』と仰っていたし、ある意味何もかもが運なのかもしれませんね…)、球技は例外なく苦手(ボールって言い聞かせても言うことききません)。
小学生時代に忘れられないのが、ミニバスケットの試合。リーダーが
「誰も寧子にボールをまわすとは思わないから、スローインの時は寧子にパスする」
という戦略をたてて見事に勝利したことで、幼心にも
「本当に、誰も、私にボールがまわると思わないんだな…」
と感心したものでした。
そういえば幼稚園時代に缶ぽっくりをした時は、缶に乗っかったとたんにそのまま前に倒れて鼻を強打したっけ…。
私がものを使ってなんとか人並に出来るのは綾取りくらいですね。もはや運動ではありませんが。

「自転車かあ…。知らない道を、それも夜に走るのは気が進まないんだけど…」
「大丈夫だよ、いつも何とかなってるんだから。そろそろお腹が空いたし、出かけよう」
「道に穴が空いてたら、とっさによけたりできないんだよ、私」
「大丈夫大丈夫、俺が先に走るからさ(笑)」

貸し出し用の自転車に乗ろうとしたら、サドルの位置が高すぎて乗れません。
しめしめ、徒歩で行きましょう…と思っていたら親切なJさんが小さめの自転車を持ってきてくれました。
Jさん、そんなことしなくていいんですのに…(T ^ T)
泣く泣く走り始めます。

「しばらく走ったら美味しい素食が食べられるよ。楽しみだね」

お休みでした…

「仕方ないな、じゃあ他の店に行くよ。駅の方にいくつか候補があるから」
はいはい…

行ってみますが、なかなか開いている店がありません。
「定休日じゃないはずなんだけど、結構閉まってるね。でもまあ、そういうこともあるわな」
うちも定休日じゃないけどお休みを頂いて台湾に来ているので、イレギュラーなクローズには決して怒らない私達(笑)。

「カレー屋にしよう。目をつけておいた店があるから。
あのね…ふらふらするのはスピードが遅いからだよ、もっと早くこいでみて」
はいはい…

私はだんだん疲れてきました。
もともと苦手な自転車、しかも夜、はじめての道、早くこげといわれても力が入らない…
あれ、なんか、よろよろする…

! Σ(・ω・ノ)ノ!
バタ!!
わーーーーーーε=ε=ε=/~~~(# ゚Д゚)ーーーーーー
い、イタタっっっ(´;ω;`)ウゥゥ!!

『この擬音を解説しよう。
私は止まっていた車のサイドミラーに肘をぶつけ(サイドミラーは無傷でした)
! Σ(・ω・ノ)ノ!
車道側に倒れ
バタ!!
通りかかったバイクに轢かれそうになりましたが、バイクの運転手さんが叫び声をあげながらとっさの判断でよけて下さり(かなり怖かったですよね…なんとお詫びしたらよいか…)
わーーーーーーε=ε=ε=/~~~(# ゚Д゚)ーーーーーー
倒れた私は手の甲や膝から出血、腕がハンドルに当たってあざが…(これを書いている12/19 ようやく薄くなってきました)
い、イタタっっっ(´;ω;`)ウゥゥ!!』

夫が慌てて駆け寄ってきます。
「大丈夫? しかし止まってるものに当たるとは…」
「だから嫌だと言ったのに…いたたた…私はね、バイクの人がよけてくれたから生きてるんだよ。バイクの人、ありがとう…(´;ω;`)ウッ…」
「動けるね。じゃあ店はもうすぐだから。とにかくカレーを食べよう」
「もう自転車乗りたくないよ!!」
「分かったよ。ほら店はもうすぐだよ。自転車は引っ張っていけばいいから」

半泣きでカレーを食べ、農協のスーパーで飲み物などを調達し、傷をさすりながらホステルに戻ります。

夫の風邪のことに気をとられていましたが、まさか自分が怪我をしてしまうなんて。
下手をしたら私が入院する騒ぎでしたが、でも大事にならずに良かった。
本当にラッキーだったし、考えようによっては私は何かに守られていたのかもしれません。

そして…運動神経が良い人は本当に、心から、運動神経が悪い人の気持ちは分からないのだと分かりました。
だからこそきちんと伝える、きちんと汲み取る。
難しいけれど、これを怠ると時には大事故につながります。これはヒヤリハット報告しなくては…

夫婦は分かり合えないから面白い、分かり合えないから危険…。
あちこち痛いけれど、何はともあれ足を伸ばして眠れることに感謝しているうちに、熟睡していました。

(つづく)

高速バスで配られたティッシュ。台鐡ベアが可愛い!


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青柳寧子
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