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『さるかに合戦』のモデル

秋の味覚と因果応報で
思い浮かぶ昔話といえば
「さるかに合戦」。
 
「さるかに合戦」という物語が
作られた年代は正確には
分かっていませんが、
江戸時代以降に子供向けの本、
“赤本”として最初に作られ、
子供だけではなく
大人にも愛され全国に
広まったようです。
 

物語の内容

物語は、おにぎりを持ったカニと
柿の種を持ったサルとの
物々交換から始まります。

お腹を空かせたサルは、
種を植えれば、
将来、柿が食べ放題になると
カニを騙して
おにぎりを手に入れます。

そして数年後、柿が育つと、
サルは柿の実を食べつくし、
挙句、カニを殺してしまいます。

その復讐に立ちあがったのが、
カニの子供と、
臼、蜂、栗、
そして馬(あるいは牛)の糞。
 
まず、蜂がサルを攻撃し、
さらに囲炉裏にいた「栗」が
はじけて追撃。

逃げだしたサルは、
糞で滑り、
倒れたところに臼が
屋根から飛び降りて、
見事、天罰を与えるという
物語です。

新・講談社の絵本シリーズより


 この「さるかに合戦」で
面白いところは、
登場するモノたちです。

人間が作った道具である「臼」、
また植物である「栗」、
さらに汚いものとされている
糞が会話をし、
物語りに登場するには、
世界中の昔話や童話でも
他に例をみません。

これは万物に神様がいると
考える日本人の観念の中で
どんなものにも魂が
宿っているという考えから
自然に生まれたことを表しています。
 
とくに「牛や馬の糞」は
米を作るための貴重な肥料であり、
人間が生きるための
重要な「モノ」と考えられ、
またその貴重なものに
対する感謝の心があったようです
 

面白い仮説

さて、最後に
この物語誕生の
面白い一説をご紹介しましょう。

それは「さるかに合戦」が
作られたのは福井県ではないか?
という説です。

福井はその昔、柴田勝家が
治めていた場所。
柴田勝家は、
髭面で、もみ上げが横に
大きく伸びていたため
「蟹」に似ている肖像画が
たくさん残されています。

柴田勝家の肖像画 和楽WEBより 



サルは、もちろん豊臣秀吉。
そして常にどっしりと
臼のように構えていたのは
徳川家康です。
 
信長が本能寺で果てた後、
秀吉は柴田勝家を滅ぼします。

その恨みで
作られた物語ではないかと
考えられ、従ってその題名が
『合戦』となっているという説です。

ちなみにトップ画面の絵は
福井県文書館のものです。

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