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二倍ではなくて、なぜ人一倍

“人一倍頑張ります”とか、
「暑さには人一倍強い」という
言い方があります。

いずれも「人より頑張ります、
人より忍耐強い」という
意味になるのですが、
何故、人の2倍、あるいは
人の10倍頑張ります・・・
ではなく、一倍なのでしょうか?
 
その理由は、江戸時代の前から
使われてきた数字の定義に関係します。

例えば、江戸の前の時代では
「一倍」とは、現在で言うところの
「二倍」に該当したのです。

現代人には、解りづらいのですが
同じく一倍の半分、「半倍」は
現在の「1.5倍」に該当しました。

 
このような考え方は
平安時代の説話集『今昔物語』に、
利息を説明する際
「一倍」は現在の「二倍」を
意味すると書かれた
物語も記されています。
 
ところが明治時代に
西洋文化が日本に入り、
現在と同じように「一倍」は「1倍」、
「二倍」は「2倍」を
意味するようになります。
 
これに一般庶民は、大混乱。
そのため明治政府は
明治8年に公布した
『太政官布告』で、
倍数表記を西洋式に
改める旨を記載したのです。

つまり、“人一倍”という言葉は、
明治以前の言い方がいまに
残っているということです。
 
もうひとつ別の言葉の由来を
ご説明しましょう。
 
“ゲンを担ぐ”という
ゲンとは、いったい
何のことでしょうか?

“ゲンを担ぐ”という言葉は
江戸時代に生まれたとされます。
 
当時、江戸では庶民の間で
“逆さ言葉”が大流行。

言葉を途中で切り、
あげく前後を
入れ替えるという言葉遊びです。
 
例えば、いまでも使われる
「だらしない」という言葉、
本来は「しだらない」という
言葉が正式でした。

それが“逆さ言葉”によって
「だらしない」とされ、
現代でも使われいるのです。

もうひとつ、ゲンを担ぐのゲンは
「縁起」のことで、
「縁起」が反転した「ぎえん」が
変化し、ぎぃん、ぐぇん、
〝げん〟になったとされています。

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