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城と松

日本各地には、数多くのお城が
遺されていますが、
その石垣の周りや中庭には
大概、立派な松の木が植えられています。


何故なのでしょうか?

 
もちろん美観や風除けという
目的もあるのですが、
あえて松が
多く植えられているには、
それなりの理由があるのです。

まずは食料になった



松の木が植えられている
重要な理由のひとつとして、
籠城した際など
実は松を利用して
食べ物を作るためでした。
 
具体的にいいますと、
松の生皮を臼でひいて
水に浸し、その汁を
水でこして干すと粉ができます。

兵糧攻めにあった際、
この粉を使って餅や団子を
作り空腹を満たしていたのです。

もともと、松の葉は
ビタミンCやミネラルが
豊富な食材で、
意外に思うかもしれませんが、
糖質も多く含み、わずかですが、
脂質とたんぱく質も
含まれているのです。
 
ちなみに、江戸の三大飢饉の
とき食べ物に飢えた人々の手に
よって各地の街道沿いの
松並木が丸裸にされたという
記録も残っています。
 

油として使われた



また、松は食料となる以外に
先の大戦でも知られますが、
枝や根には樹脂を多く含み、
燃やすと明るく
燃え上がります。

ちなみに『たいまつ』という
漢字は『松明』と書かれます。

福島県の祭り 須賀川 松明あかしより

油に関してし、
戦争末期の物資不足の中、
松の根を釜で
乾留して得られる
「松根油(しょうこんゆ)」は
 政府の命によって
1944年10月から増産運動を
全国で展開。

「200本の松の根で航空機が
1時間飛ぶことができる」という
標語を作っています。


amazon 壁紙ポスターより



石垣を守る


 
松が多く植えられた理由として
「養分の少ない痩せた
土でも育つ」
ということもあります。

お城の石垣というのは、
その内側には様々な砂利石が
沢山入れられています。

大きい石だけで
組み上げると水はけが
悪く石垣は崩れやすく
なるのです。

その為に、自ずと土そのものの
量は少なくなります。
そこで、痩せた土でも
育つ植物うち松が
選ばれたと考えられます。

ちなみに松は盆栽などでも
石の上に根を
生やしたりするのを
よく目にします。
 
最後に熊本城の別名は銀杏城と
呼ばれますが、
その謂れは城主・加藤清正が
城内に銀杏をたくさん植えて、
食料危機に備えたからです。


熊本城 公式フォトギャラリーより

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