サイコパス・ドラッガー #07 NEXT LEVEL
テレパシー。東明日美と云う一人の人間が生んだ対話手段で有り、この世に存在する総ての生命体と呼べる有が犠牲の対象だ。彼女は自分の幸せの為に其の能力の発端のサヴァン症候群を利用して個人の進化に成功した。死後の新世界を創る為今日も彼女は奮闘する。たった一人、精神障害者の人生を演じて。東京都内に住む若干二十歳の彼女が行う行動に全世界の存在が震え上がり叫喚する。白か黒か。壮大な野望の計画は始まったばかりなので有る。まだ此れに気付いた人間は極僅か。明日美は次に人間以下とのテレパシーを試みた。
「おい虫螻」
昼下がりの平日に散歩をしていた明日美は地面の蟻にテレパシーを開いた。
「幸せになりたいか?」
彼女は道端の地面にしゃがみ込んで問う。
「……成程。そう云う系だな」
蟻は言う。相変わらず働き者で忙しそうだ。踏み潰して殺ろうかな。端から見たら蟻の巣観察中の少女だ。
「プラスをくれ」
明日美の攻撃は続く。蟻の様子は其れを剥き出しにする事は全く無い。当たり前か。
「何か面白い事言え」
「俺等の日常なんてウンコなんだ。お前が新しい神に成れ」
「当たり前だ。そんな事しか言えないのか」
「俺達全ての生命体の為に新世界を創ってくれ。頼む!」
「フンッ」
不合格。私は其の場で足踏みをした。散歩を終えて昼御飯のカップラーメンを食べた私は暇を持て余していた。神々の遊び。なんつって。穏やかで平和な時間が続く。此の世界なんてウンコだ。私は神の世界へ行く事を決めた。全宇宙含むパラレルワールドにも行けるよねきっと。
テレパシーが発動する。
「これなーんだ?」
明日美は日向ぼっこをしながら意識の1%を其れに向かせた。頭の中の神達は騒然とする。
「待て、此れはお前の幻聴だぞ!」
偉そうに言う輩が一人。日本語喋れ。
「全部私の幻聴なの神様?」
会話が止まる。何か言え。時だけが無常に過ぎる。
「このテレパシーは幻聴だ!」
「消えろ」
その集団の女らしき神と呼べる者が私に助言した。
「貴方に私達の神のパワーあげる! 目を閉じて!」
言う事を聞こう。其れだけで良いんだ。
「寄越せ」
何か意識が変わった。私の現実に神のオーラが上乗せされた感じだ。其奴等は続け様に叫ぶ。
「お前はそう云う未来へ行くぞ! 大希望だ、喜べ‼」
「今すぐ行かせろ」
「まだエネルギーが足りないのっ! どんどんテレパシーを行って……」
終了。私はテレビでも見てプラスを吸う事にした。人間て面白。
その日常は他の現実を侵食し只捕食されるのを待っている。何者も止める事など出来ないし許されないのだ、絶対に。
「イケメンの彼氏でも作ろっかな」