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疎開したカラスも帰還コロナ明け

 コロナ戒厳令が敷かれ、都会から地方へ人間の疎開が始まってからしばらくして、ゴミを漁るカラスが減った。都会のゴミ管理が厳しくなって、カラスの餌場が山に戻ったという話を目にした。その疎開カラスが最近、人と同じく都会に戻ってきたのか、コロナ下よりも増えた気がする。
 そう言えば、この地域のゴミ収集の人が合理的!って考えたなのか、満杯になった収集車が一端、ゴミを捨てに行っている間に、あちこちのゴミネットを外し、ゴミボックスからゴミを出し、ゴミ袋を野ざらしにしていた時期があったが、あの頃に前後してそれがなくなった。
 ゴミ袋野ざらし期は、そんなんだからカラスが「ガッガーァ!(訳:ひゃっはー!)」とばかりにゴミ置き場を荒らし放題だったなぁ。コロナで使用済みマスクが散乱するのを住民から咎められて、流石に止めたのだろうか。ありゃ、本当にゴミネットもボックスも意味なしだった……。

【小話】

〈井戸端会議ならぬカラスのゴミ置き場会議にて〉

カラスA「最近、ゴミ収集の兄さん、事前にネットを外さなくなったねぇ。
     餌が得にくくなって困るわ」
カラスB「何でも、人類の間でコロナとかいうインフルエンザみたいな
     ウィルスが流行ってるんだってよ」
カラスA「やだ、怖い」
カラスC「でも、鳥インフルが人類に感染せんように、そのコロナとかいう
     人類インフルは鳥に感染せんだろ」
カラスB「いやいや、ウィルスってのは変異するから。変異のせいなのか、
     鳥インフルに罹る動物もいるし。そこを経て人類も感染するとか
     しないとかいう話も聞くし」
カラスA「ちょ、マジ?」
カラスB「あ、もしかして、××町を縄張りにしてるガァ五郎組系列の一家が
     長野だか山梨だかに移住したってのは、それが原因?」
カラスA「てっきり、餌を求めての縄張り替えかと思った」

〈カラスA、B、Cがガチャクチャと喋ってる近くの電線に、一羽の色艶の良いカラス――彼らの姐さんカラスが飛んできて止まった。〉

カラス姐「お前たち」
カラスA、B、C「あ、姐さん!」
カラス姐「あたしらも疎開することに決めたよ」
カラスA「何処にですか」
カラス姐「とりあえず、奥多摩の方。ウチらの系列の幹部組織、カァ吉親分
     が仕切ってる山がいくつかあるから、そこに寄せさせてもらう
     ことになった」
カラスC「そこにもビーフパテ100%の売残りバーガー、ありますかね?」
カラスA「ケンタッキーチキンのお残りとかは? 共食いに近いけど、
     止められない」
カラスC「共食いとは違うだろ。同じ鳥類だけど、あっちは飛べねえ鶏
     だし。人類が同じ哺乳類の豚や牛を食うみたいなもんだろ。
     無問題、無問題」
カラス姐「残念ながら、どっちもないだろうよ」
カラスB「やっぱ、小虫とか、山ぶどうなんかの実か……とほほ」
カラス姐「ヘルシーでいいじゃないか。お前たち、ちょっと太りすぎだし。
     最近、電線より上に飛ぶと息が切れるだろ。食習慣を変える良い
     チャンスじゃないか」
カラスC「あーあ、餌取りも人類みたいにリモートができたらいいのに」
カラスA「そりゃ、どこでもドアがなけりゃダメでしょ」
カラスB「それがあったって、コロナウィルス入り餌を食っちまったら
     アカンからアカンやろ」
カラスA、C「なんで締めが関西弁?」

……以上、キリがないので終わります!

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