『もじもじ社』

もじもじ社は主にファンタジー作家のために架空の文字体系を作ってくれる会社である。
ニッチもニッチ、そもそも需要がそれほどあるのかとさえ思われる会社だが、その歴史はとんでもなく古い。
それなのに、その名が知られていないのはもじもじ社が一発屋だからである。
そう、今や伝説級といわれるほど過去の人類を揺るがすある事件で、もじもじ社は一発当てている。その時の売り上げで今まで食いつないできているのだ。
その事件とはバベルの塔崩壊事件。
人類の言語がばらばらに崩されたとき、文字を作ったのがもじもじ社なのである。
あの時の好調な会社経営を取り戻すべく、もじもじ社の社長は今、バベルの塔ならぬバブルの塔を建設しているという。