財務省提案「教職調整額引き上げ」の真意とは?
財務省は、教員の働き方改革の目標値をクリアすることを条件に、給特法で定められている教職調整額を段階的に引き上げる案を提示しました。
1.財務省案の主な内容
授業以外の業務時間削減や長期休暇取得などの働き方改革を進めることが条件
教員の時間外勤務の全国平均が国の目標値を下回れば、翌年度の調整額を段階的に引き上げる
最終的に教職調整額を10%に引き上げることを目指す
2.文部科学省案との比較
財務省案は文部科学省の案と比較して、以下のような違いがあります。
文科省案:教職調整額を現状の4%から13%に引き上げ、人員増を提案
財務省案:働き方改革の進展を条件に段階的に引き上げ、最終的に10%を目指す
3.財務省案の将来的な展望
財務省案には、以下のような長期的な視点も含まれています。
時間外勤務を月20時間程度まで削減することを目標
教職調整額を10%に引き上げた段階で、時間外勤務手当を支払う制度への移行を検討
4.専門家の評価
「給特法のこれからを考える有志の会」のメンバーは、財務省案について以下のような評価をしています。
長時間労働の抑制に向けたインセンティブが強く働くとして一定の評価
残業削減の実効性が期待できる
労働基準法への将来的な切り替えを示唆している点を評価
この財務省案は、教員の働き方改革を促進しつつ、給与体系の見直しを図る試みとして注目されています。
5.まとめ
働き方改革と給与体系の見直しを組み合わせたこの財務省案は、教育現場における重要な転換点となる可能性を秘めています。
本質的に重要なのは、教員一人一人が費やした労働時間に対して、適切な報酬が保証されることです。このような仕組みづくりは、単に給与面での改善だけでなく、教育現場における生産性の向上や、より健全な働き方の実現にもつながるでしょう。
教職調整額の段階的な引き上げを通じて、教員の働き方改革を実質的に推進し、最終的には時間外勤務手当制度への移行も視野に入れた本案は、教育現場の持続可能な発展に向けた具体的な一歩として評価できるように思います。