踊る人
私は踊る人である。
ただ、身体を動かす。
身体は不思議なもので、自分の心の奥底にある思考や感情を、剥き出しにして立ち現れている。身体は自然である。
精神は不自然である。意思によって思考、感情に制限をかける。自然な身体を不自然な形に変形させる。そこには目的がある。
精神によって作られた身体の形は、精神の求める目的のためにデザインされている。ここに、身体と精神の一致を見る時、目的と心の向かう方向は同一であり、調和の取れた快状態となる。
ところが、身体と精神が不一致である時も存在する。それは、精神が身体を無視した暴走か、身体が精神を追放することである。私の見解では、前者が鬱で、後者が統合失調症である。
私は自分の身体と精神がちぐはぐになっていると感じる時、私は踊る。踊ることによって、身体の位相を確かめ、精神の位相と一致させるのである。すると、身体があり得ないほど軽くなるように感じる。今までの重しを取り除け、脱皮したようである。私は、私の死と再生の儀式として、踊りを位置付けている。そして、踊りはその非目的性によって存在している。
踊ることは、身体との対話であり、チューニングである。
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