「好き」を育てるとどうなる? 現小5男子の就職希望上位企業
虫を飼うのは日本だけ?
「生き物好き」って、日本だとかなり普通だけど、海外だとわりと特殊なようです。
「どんなペットを飼ったことがある?」
息子が通う東南アジアのインターの授業でそう聞かれたとき
「カブトムシ」
と言ったら、ものすごく驚かれたとか。
まず虫を飼う、という発想がないといいます。
もちろん、インターに生物部みたいなのもありません。
一方、日本では書店に行くと、虫にはじまり、爬虫類、両生類、深海魚や危険生物など、あらゆる生き物ジャンルの図鑑や本が所狭しと並んでいますし、週末や休暇期間に開催される昆虫採集や釣り、標本づくりのワークショップなども大人気。
現在11歳の息子も、超がいくつもつくほどの生き物好き。小さいころからその手の本を読みまくり、動画も見漁り、ダンゴムシやカナブンを捕まえたり、夏になったらセミ採りにいそしんだ結果、今では立派な生き物オタクに仕上がっています。
プラナリアがどうとか、興味がどんどんニッチな方に行っていて、若干不安になりますが、なんにせよ好きなことがあるのはいいことと、適度な距離から見守っていきたいと思っています(基本、毛のない生き物は苦手です)。
息子の生き物好き度合いはだいぶ高い方だと思いますが、ワークショップや博物館にきている子たちの熱量を見ていると、決して息子はレア種じゃないと感じます。
虫好き、生き物好きの星!
では、彼らはその有り余った生き物愛をもって将来どこへ行くのか。
やっぱり研究者?企業の研究職?
それとも仕事は仕事でわりきって就職?
そんな昭和な価値観を打ち砕く会社があります。
株式会社TOMUSHI。
「カブトムシと共に世界を救う」
これまた、鮮烈なコピーを掲げてこの企画に登場する動画を見たのが、この会社を知るきっかけで、以来激推し企業に。
まず推しポイントはその社名です。株式会社を略すと(株)。
つまり(株)トムシ。カブトムシ。
最高すぎるネーミングセンスにまずやられました。
そして起業までストーリーもなかなか強烈です。
中学で家出し、祖母の家にお世話になり学費まで出してもらって青山学院にせっかく入ったのに中退。そこからニートとして過ごしている間に、祖母にお金を出してもらって双子の兄と一緒にカブトムシの飼育販売スタート。そこからさらなる浮き沈みを経て、現在に至っています。
おばあちゃんのことを思うと胸が痛くなりますが、現在は事業も順調で毎月返済しているそうです。(当時は泣いていたとか)
「カブトムシが好きで、育てていたらビジネスになっていた」といいますが、そのビジネスモデルはこんな感じ。
農家のゴミ問題と、世界的な飼料不足問題をカブトムシで解決するというのが、TOMUSHIのコアコンピタンスです。
冒頭にも触れたように、カブトムシは日本では絶大な人気を誇りながらも世界的にはそうでもありません。結果的にカブトムシの種類も頭数も日本が最も集まっていて、飼育や繁殖のノウハウも蓄積されているために、TOMUSHIの事業が実現したといいます。
何より推したくなるのが、CEOの石田陽佑さんのカブトムシを語る時の嬉しそうな顔。(創業した双子のお兄さんは市議会議員になったとのことで、現在ボードメンバーには見当たらず)
とにかく楽しそうだしワクワクする。そんな魅力的な顔なのです。
今では、JRをはじめとした大企業との協業や、自治体との連携、イベントの開催など順調に事業を拡大しているようです。
「好きなこと」を突き詰めていったら、世界まで救えてしまうかも、というところまできた。
世の中の虫好き、生き物好きな子にとって、またとないロールモデルではないでしょうか。しかもCEOはまだ20代。本当にカブトムシで世界的なイノベーションを起こすかもしれません。
YouTubeを一緒に見ていた息子も大感激して、
「研究者になりたいけど、就職するならトムシみたいな会社もいいなー。それか起業するのもいいなー」と。
好きなことで生きられるか
「好きなことで、生きていく」
言わずとしれた、2014年のYouTubeのキャンペーンで掲げられたこのキャッチコピー、今見ても、なかなかの名コピーです。
「そういう風にできたらいいよね」
「世の中そんなに甘くない」
などさまざまな意見はあれど、「好き」なことに真摯に向き合って生きてけたらそれはやはり素敵なこと。
(株)TOMUSHIさんにはぜひとも日本発のカブトムシスタートアップとして、大きく羽ばたいていただき、将来の息子の就活の際はよろしくお願いしたいとい思います。