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第14回 夢に手足を。

ー PROLOGUE ー

 2024年7月マンスリーゲストは、株式会社ほぼ日 取締役副社長の小泉絢子さん。東京都千代田区にある株式会社ほぼ日の本社へ、逢いにいってきました。

2024年7月マンスリーゲスト 株式会社ほぼ日 取締役副社長の小泉絢子さん
ほぼ日の本社 社屋には、物事を「おもしろがる」仕掛けがたくさん

日本を代表するコピーライター、糸井重里さんが代表を務める「ほぼ日」。常に時代を切り開き、ワクワクを世に生み出し続けるほぼ日の「良さ」に今回は注目します。ほぼ日手帳など、永く人びとに愛され続けるものがつくられるプロセスとは、どんなものなのか。「いい」ものが未来にもたらすこととは。

インタビューの様子を全4回にわたり配信します。

ー INTERVIEW ー

 今回は、東京都千代田区に来ています。区の中央には皇居があり、都市部でありながら、豊かな緑も多く、商業も盛んな街です。今回はそんな千代田区に拠点を構える「株式会社ほぼ日」にお邪魔しています。早速、今回のマンスリーゲストをご紹介致しましょう。株式会社ほぼ日 取締役 副社長の小泉絢子さんです。小泉さん、本日は宜しくお願いします。

 宜しくお願いします。ありがとうございます。

まずは簡単に自己紹介をお願いします。

 はい。株式会社ほぼ日の小泉と申します。主に、商品をはじめとする事業全般を統括する立場におります。

改めて、株式会社ほぼ日のご紹介もお願い致します。

 はい。株式会社ほぼ日は上場をしておりまして、上場の形態としては小売業なのですが、私たち自身は「コンテンツを作る会社」と位置付けています。読みものだけでなく、商品、イベント、あらゆるものをコンテンツと捉え、お客様に提供しています。

本当に事業の幅が広いですよね!

 そうですね、なんでもやってますね!特定のジャンルを持たないといいますか、自分たちが興味を持ったものや、世の中にあったらいいなと思うものを取り扱っています。なので、ジャンルレスで、ターゲティングみたいなこともしません。老若男女問わず、喜んでもらえるものを常に目指しています。

今や、幅広く活動を広げていらっしゃいますが、その「原点」、はじまりは、一体どんなものだったのでしょうか。

 はじまりは、1998年。代表 糸井重里が、インターネットのホームページを立ち上げたのがきっかけになります。それが、「ほぼ日刊イトイ新聞」で、元々は、糸井自身がおもしろいと思うコンテンツを発信できる「遊び場」のようなものをつくりたいという想いで始めたと聞いています。糸井がインターネットに出会った時、世界中の人と繋がれることに、無限の荒野のような可能性を感じたようで、そこにホームページを立ち上げたいと思ったのが「ほぼ日」のはじまりになります。

当時はインターネット黎明期ですよね。そんななか、真っ先にホームページを立ち上げたパワーはすごいですね。

 そうですね。思い切った行動のようにも感じますが、糸井は好奇心がとても旺盛なので、糸井個人としては、「おもしろいもの見つけた!」という感じで、嬉しくてしょうがなくて始めたようなことなんじゃないかな、と思います。

糸井重里さんといえば、日本を代表する有名なコピーライターです。紙媒体が非常に強い時代から、しっかりと実績を残されている方ですね。

 はい。ただ、糸井自身は常に、変わりゆく時代に合わせて、その都度、自分は何をしたいのだろうか、何ができるのだろうか、と新しいものを「探す」人間なんです。だからこそ、インターネットが始まったとき、その可能性を強く感じたんだと思います。

インターネットの可能性におもしろさを感じて、ある意味、衝動的に始めたことが、これまで長く続いているということもすごいことですよね。

 本当にそう思います!私は創業から1年過ぎくらいの頃から「ほぼ日」に入ったのですが、その時はまだ、民家のような場所で、4〜5人のメンバーで活動していました。しかも、当時は、糸井の自費で「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営しているような状況でしたから、そこから事業化して、よく上場までしたなぁ、と。糸井の言葉で表せば、本当に「運も良かった」のだと思います。ただ、今日より明日が少しでも良くなるように、おもしろくなるように、という想いで日々ちゃんと手を打ってきたことが、やはり繋がっているんだろうなと、しみじみ思います。

とはいえ、実際に取り組むのは、生半可なことではないですよね。そこにはきっと、理念がおありになるかな、と思います。「ほぼ日」の企業理念について、是非、教えてください。

 はい。私たちの企業理念は、『夢に手足を。』です。夢を描くことはできても、夢を夢のままで終わらせると、それはただの夢になってしまいます。夢を実現するためには、手足が必要。つまり、一歩ずつ踏み出して、実行していくことが必要だよね、と。実行することがいかに大切かを、ちゃんと教えてくれる理念です。

 企業理念に、敢えて、『夢』という言葉を使っているのは、「今日と同じことをやるのではなく、(世の中に)無いものをつくっていこう」という意味合いも込められています。『夢』と『手足』が結びついている『夢に手足を。』という言葉は、自分の会社の企業理念ではありますが、私自身、大好きな言葉です。私たちの礎であり、土台でもある言葉になっています。

本当に素敵な言葉ですね!『夢』に『手足』がつくと、途端に『夢』が動き出すように感じます。夢を描き続けるということも、とても大切ですね。

 本当にそう思いますね。代表の糸井は、「今日と同じことをやる」ことを推奨していないんです。もちろん、一日一日の積み重ねは大切。でも、すぐに結果が出ない「数年先にとって重要なこと」も大切。「今日やることと、数年先にとって重要なこと。同時にしっかり取り組みましょう」と、よく社員に伝えています。

企業理念も素敵なのですが、行動指針も大変魅力的です。私からご紹介しますと、『やさしく、つよく、おもしろく。』これは、どういった行動指針なのでしょうか。

 これ、実は、順番が大事なんです。いろんなことに優しさがないと、自分も相手も辛くなってしまう。だからこそ、まずは優しさが大事。でも、優しさだけでは人を助けられない。やはりそこには、強さ、つまり実行力が必要なんです。ただ、優しくて強いだけなら、他の人でもできる。同時に、「おもしろく」が付いているのが重要で、代表の糸井曰く、私たちの『飯の種』はここなんです。つまり、「おもしろく」することが、他社との違いであり、価値であり、私たちの本当の仕事で、クリエイティブな部分。『やさしく、つよく、おもしろく。』を常に循環させていて、自分たちが行動するときの「ものさし」、まさに行動指針になっています。

現在の本社内装テーマはなんと、『夜逃げ』!板とマットと平紐で組まれた椅子のデザインは秀逸

今日は「ほぼ日」のオフィスに伺っているのですが、1階にラジオブースがあったり、インターホンが謎のパイプ(?)だったりして、まさに「おもしろい」仕掛けがたくさんありますよね!

 そうですね(笑)!糸井がよく、「通り一遍のことはやめよう」と言うんです。さっと流れてしまうようなものを、ちょっと人に気にさせたり、これはなんだろうと思わせることを大事にしています。実は、オフィスも、4〜5年に一回は引っ越しをして、空気の入れ替えをしているんです。

えぇ?!人も会社も呼吸が大事。おもしろい考え方ですね。

そうですよね。働く環境ってとても大事。場所を変えたり、ビルを変えたりすることで、気分転換する。それは意識的に実行しています。

『第15回  あの手帳が永く愛され続ける理由』に続く)

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ー Podcast ー

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ー CONCEPT ー

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全国を飛び回りゲストとクロストーク。
ものごとの「よさ」とはどこにあるのか。
さぁ。「いい」を探す旅に出よう。

ー PLAY LIST ー

これまでの放送は公式チャンネルプレイリストでチェック!

ー Instagram ー


写真家モロイユウダイ撮り下ろしインタビューショット
イラストレーターほりはる描き下ろし線画など
見つけた「いい」を集めています。

ー Youtube ー

収録前後の様子やインタビューの全貌をノーカット版で公開しています

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