第33回 全ての人に夢語る時間を
ー PROLOGUE ー
2024年11月マンスリーゲストは、株式会社菓匠Shimizu 代表取締役社長 オーナーパティシエ 清水慎一さん。長野県伊那市上牧地区へ、逢いにいってきました。
伊那市は長野県南部にあり、東には南アルプス、西には中央アルプス、その間を流れる天竜川や三峰川沿いには豊かな平地が広がっています。なかでも上牧地区は、段丘に位置する里山が美しい地区です。そんな伊那市上牧地区にお店を構える菓匠Shimizuに伺いました。
今回も特別インタビュアーとして、鎌倉投信株式会社 代表取締役社長の鎌田恭幸さんにもご一緒いただき、スペシャルな対談をお届けします。
ー INTERVIEW ー
鎌倉投信プレゼンツ「Finding the GOOD」今回のマンスリーゲストは、株式会社菓匠Shimizu 代表取締役社長 オーナーパティシエ 清水慎一さんです。清水さん、よろしくお願いします。
(清水さん:以下、清)はい。宜しくお願い致します。
また、今回もインタビュアーとして、鎌倉投信株式会社 代表取締役社長の鎌田恭幸さんにもご一緒いただきます。鎌田さんも引き続き宜しくお願いします。
(鎌田さん:鎌)宜しくお願いします。
ここまで『夢ケーキ』誕生のお話を聞いてきました。鎌田さんはどんな印象をお持ちになりましたか。
(鎌)『夢ケーキ』でみんなが夢を持つ。いいですよね。
鎌田さんだったら、どんな夢を描くでしょうね。
(鎌)なんでしょう。ちょっとどきっとしますよね。一瞬、筆が止まりますね。
(清)夢を考える時間って、とてもワクワクしますよね。夢なんて言われてもよくわからない、という方が実際多いです。夢といっても、人が驚くような大きなことである必要はなくて、「今日はこれが食べたい」くらいのことでいいんです。大事なのは、毎日の生活の中でワクワクする時間が持てるかどうかです。そのワクワクする時間を「夢」と呼んでいるだけ。夢は、何でもいいんですよ。
今すぐ実現できそうなことでもいいのですね。
(清)そうですね。夢に、大きいも小さいもないですしね。
それを語り合える「時間」を創るのが、菓匠Shimizuのお菓子であり、『夢ケーキ』なのですね。このケーキ文化というものは、日本独特なのでしょうか。
(清)そんなことはないですよ。お誕生日にケーキを食べる文化は全世界共通かと思います。ただですね、昨年初めて海外で『夢ケーキ』の活動を行なった時に、初めて知ったことがあって。家族で夢を語ろう。家族で感謝を伝え合おう。そんなお節介をされなくても、外国ではそれらを当たり前にやっているということです。それがすごく寂しかったんです。日本では、「夢を語ろう」とか、「感謝を伝えよう」とか、言わないとできないのかなと。
海外進出しなければ、得られなかった視点かもしれませんね。
(清)そうですね。
(鎌)前に清水さんに伺ったことのある話なのですが、海外のカカオ農園まで菓匠Shimizuで作ったチョコレートケーキを届けに行ったことがあるそうなんです。農園でカカオを栽培している子どもたちは、そのカカオが、どんな風に、何に使われているのか知らない。そこで清水さんは、「君たちが育ててくれたカカオでこんなチョコレートケーキができるんだよ」ということを伝えるために、現地までわざわざケーキを届けに行ったそうなんです。
えぇ!それはすごいですね。チョコレートケーキを、見たことも食べたこともない子どもたちがいたということですか。
(清)そうですそうです。20年ほど前になりますかね。チョコレートの原材料がカカオであることはもちろん知っていましたが、そのカカオを育てるカカオ農園で働いているのが子どもたちだということを当時知らなかったんです。その話を聞いた時に、とても興味が湧いたんです。それは見ておかないといけないと思いました。私たちは毎日のようにチョコレートを使います。なのに、その現実を知らないなんて、無責任だなと。今は時代が進んで児童労働が少なくなっているとは言われますけど、当時はまだ根強くありました。チョコレートを知らない子どもたちがカカオを育て、カカオを知らない子どもたちがチョコレートを食べている。そんな世界の不条理があることを知って、それならば、菓匠Shimizuで作ったチョコレートケーキを現地の子どもたちに食べてもらおうと思ったんです。その活動は今でも続けています。
(鎌)この瞬間に、児童労働の問題を解決することは難しいですが、『夢ケーキ』が誕生したきっかけと同じように、「今、自分にできることは何か」という視点で考えた結果、カカオからできたチョコレートケーキをせめて届けようと思われたんですね。
現地の子どもたちの反応は?
(清)最初に行ったのはコロンビアの首都、ボゴタでした。ボゴタの子どもたちにケーキを持っていった時、とても喜んでくれるんですよ。当然、コロンビア国内にチョコレートはあるんです。あるんですが、チョコレートを買えない人もいる。その子どもたちは学校にも行けていませんでしたからね。だからこそ、とても喜んでくれて、すごく嬉しかったです。
清水さんの表現をお借りするなるならば、ケーキって、その場で直接的に反応が返ってくる、とても素敵な「アイテム」なんですね。
(清)本当にそうなんですよ。初めはできればこんな仕事したくないと思っていましたが、今となっては、こんなにいい仕事なんだなと実感しています。お菓子屋さんって最高!って思っています。
(鎌)海外まで想いを届けに行ったり、『夢ケーキ』を国内のみならず海外にまで広めている。その清水さんのエネルギーの源は一体なんでしょうか。
(清)なんでしょうね。ある人に言われたんです。「やらなかった後悔は、時と共に大きくなる。でも、やった後悔というものは、時と共に小さくなって忘れてしまう。だったら、やって後悔した方がいいよ」と。自分の中に、いつもこの言葉があります。自分がやってみたいことや、こうありたいと思ったことを、「やらない」ということがおそらく嫌なんだと思います。
(「第34回 提供価値という味わい」に続く)
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写真家モロイユウダイ撮り下ろしインタビューショット
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