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第32回 菓子作りは夢創り
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ー PROLOGUE ー
2024年11月マンスリーゲストは、株式会社菓匠Shimizu 代表取締役社長 オーナーパティシエ 清水慎一さん。長野県伊那市上牧地区へ、逢いにいってきました。
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伊那市は長野県南部にあり、東には南アルプス、西には中央アルプス、その間を流れる天竜川や三峰川沿いには豊かな平地が広がっています。なかでも上牧地区は、段丘に位置する里山が美しい地区です。そんな伊那市上牧地区にお店を構える菓匠Shimizuに伺いました。
今回も特別インタビュアーとして、鎌倉投信株式会社 代表取締役社長の鎌田恭幸さんにもご一緒いただき、スペシャルな対談をお届けします。
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ー INTERVIEW ー
鎌倉投信プレゼンツ「Finding the GOOD」今回のマンスリーゲストは、株式会社菓匠Shimizu 代表取締役社長 オーナーパティシエ 清水慎一さんです。清水さん、よろしくお願いします。
(清水さん:以下、清)はい。宜しくお願い致します。
また、今回もインタビュアーとして、鎌倉投信株式会社 代表取締役社長の鎌田恭幸さんにもご一緒いただきます。鎌田さんも引き続き宜しくお願いします。
(鎌田さん:鎌)宜しくお願いします。
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ここまで、菓匠Shimizuの歩みを伺ってきました。鎌田さんはどんな印象をお持ちになりましたか。
(鎌)世代を引き継ぐ時の葛藤が印象的でした。今や「菓匠Shimizu」というブランドが世の中に浸透してきて、人びとが幸せを感じられる世界観をつくってこられていますが、そこに至るまで、3〜4年もがいてきたことが大きいのだろうなと思います。もがいたからこそ、核心に触れることができた。それが、今につながっている。あとは、人に恵まれたという点も忘れてはいけないのだろうなと思います。
清水さん、大きく頷いていますね。もがかせてもらったという面もありますかね。
(清)いや、本当にそうだと思います。
(鎌)喧嘩、葛藤。様々な壁打ちの中で、自分のやりたいこと、揺るぎないものをつくったということが一番の財産ですよね。
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そんな葛藤の中で掴んだ、菓匠Shimizuの理念を教えてください。
(清)この仕事を始める時から、美味しくて綺麗なケーキを作るだけではつまらないなと思っていました。もちろん、それはとても大事なことで、技術や経験が必要です。でも、それで終わってしまうのは嫌だなと。「お菓子って夢があるよね」と、周りの方々によく言われていたのですが、正直、私にはその意味がよくわかりませんでした。お菓子に夢があるってどういうことなんだろう、って。でもあまりに多くの方にそう言ってもらえるので、とりあえず「お菓子には夢がある」と思うようにしたんです。
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人を和ませたり、勇気づけたり、やる気を引き出したり。お菓子にはそんな力があって、あぁ、こういうことかと思いました。お菓子をただ作って売るだけではなくて、お菓子というアイテムを使って、もっと違うことができるんじゃないかと。その思いを言葉に変えたのが、菓匠Shimizuの理念『菓子創りは夢創り』です。私たちは、ただお菓子を作るだけではなくて、お菓子の向こう側にある景色や風景を創る。それを「夢」と表現して、『菓子創りは夢創り』。この言葉を理念に、今日までやってきました。
今日は菓匠Shimizuのお店に伺っています。店頭に手書きの看板があって、今日お誕生日を迎えた方々のお名前が書かれていました。この一幕を見るだけでも、人に力を与えるなぁと感じました。
(清)誕生日ケーキって特別なものですよね。私たちはそんな特別なものを提供させていただいていると強く感じています。
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お菓子を創ることは、夢を創るということ。その理念を掲げて、日々、お菓子をご提供されている一方で、今、『夢ケーキ』というプロジェクトを進めていらっしゃるそうですね。これはどういったプロジェクトなのでしょうか。
(清)はい。『夢ケーキ』は、子どもたちの夢を応援するプロジェクトです。子どもたちに将来の夢の絵を描いてもらって、その絵を基にケーキを作って、そのケーキを一人ひとりにプレゼントするというプロジェクトです。日本全国、北海道から沖縄まで、小学校から高校、児童養護施設、少年院、あらゆる場所で活動が行われています。
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それは、子どもたちが描いた絵をケーキで再現するということですよね。それは、大変な技術なのでは。
(清)そうですね。2006年から始めて最初の5年間は、自分たちだけで全部作っていました。その時点で、ケーキの数は1000個を超えてましたね。
(鎌)延べ1000個ですか。
(清)いえ、1日で1000個です。
(鎌)えぇ!どうやって作るんですか!一つひとつ違うわけですよね!
(清)そうですそうです。いわゆる、特注ケーキが1000個です。
(鎌)しかも、無料。
(清)はい。少しおかしいですよね。
(鎌)スタッフの皆さん、怒りませんでしたか。
(清)それがですね、そんなスタッフは一人もいなかったんです。徹夜に近かったのですが、学校の文化祭みたいなノリで、みんな楽しんでいました。年々、応募数が倍々に増えていって、今後どうなっちゃうのかなという不安が実はあったんです。遂に1000個を超えたので、スタッフに「来年は応募数を制限しよう」と提案したら、スタッフから言われました。『夢って、制限されるものなんですか』と。『こんなことは苦でもない。負担なんて思っているスタッフなどいませんよ』と言ってくれたんです。
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私たちは、何のためにお菓子を創るのか、何のためのパティシエなのか、何のために働くのか、しつこいくらいに話し合ってきました。それが今、菓匠Shimizuの土壌になっています。『夢ケーキ』という活動を通じて、自分たちの技術で、涙を流して喜んでくれる人がいる。素晴らしい仕事なんだという実感が、スタッフ一人ひとりに積み重なっているのを感じました。
(鎌)それで、『夢に制限はない』と決めて、仲間を増やしていったんですね。
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(清)はい。そうですね。年一回だった活動を常時に変えて、無料でプレゼントすることをやめる判断もしました。ある時、毎年参加してくださるお客様が「こんなに素晴らしい取り組みを無料でやられてしまうと、遠慮してしまって、毎年参加できなくなる」と言ってくださいました。その言葉を聞いた時に、ハッとしました。もしかすると、無料にこだわることは、私のエゴかもしれない、と。当時、材料屋さんや問屋さんたちが協賛してくださっていて、私も無意識にそのことに甘えていました。継続させていくためにも、この状態では絶対にダメだと思いました。そこで、プロジェクト6年目からは、開催数を増やして、材料費をいただくようになりました。それが、NPO法人Dream Cake Projectの始まりです。
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(鎌)そもそも、『夢ケーキ』を始めようと思ったきっかけには、どういった背景があったのでしょうか。
(清)『菓子創りは夢創り』という格好いい理念を掲げておきながら、何をしているのかというと、当時は実際何もできていなかったんですね。何かしないといけないなとずっと考えていました。そんな時に、この伊那地域で、ある痛ましい事件が起きました。私はそのニュースを見ながら、このご家族が菓匠Shimizuに来たことがあるんじゃないかと思ったんです。もし、昨日お店に来てもらえていたら。もし私たちがケーキを提供して、このご家族が家族団欒の時間を持てていたら。不幸な事件は起きなかったかもしれない。少し飛躍した話に聞こえるかもしれませんが、関係のないことにしないで、自分たちにも何かできることがあったかもしれないと考えることが大切ではないかと。
(鎌)それで、やれることを考えたその先に、『夢ケーキ』があった。
(清)そうです。スタッフと話し合って、家族で夢を語る時間を無理やりにでも創ろうということになりました。夢を募集して、夢を教えてくれた人にはケーキをプレゼントしましょうよ!って、そんなノリでしたね。
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(「第33回 全ての人に夢語る時間を」に続く)
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ー Podcast ー
今回のインタビューを聴きたい人はプレイリストでチェック!
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ー CONCEPT ー
〜これからの社会に本当に必要な「いい会社」に投資する〜
鎌倉投信が提供するラジオ番組『Finding the GOOD』
全国を飛び回りゲストとクロストーク。
ものごとの「よさ」とはどこにあるのか。
さぁ。「いい」を探す旅に出よう。
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ー PLAY LIST ー
これまでの放送は公式チャンネルプレイリストでチェック!
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ー Instagram ー
写真家モロイユウダイ撮り下ろしインタビューショット
イラストレーターほりはる描き下ろし線画など
見つけた「いい」を集めています。
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ー Youtube ー
収録前後の様子やインタビューの全貌をノーカット版で公開しています。
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