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【本】プラヴィエクとそのほかの時代 - オルガ・トカルチュク

本記事は主に文章を引用して書籍を紹介するものです。
なるべく物語の核心に触れるものは避けますが、中にはネタバレとなる内容も含まれることがありますので、ご理解の上お読みいただければ幸いです。

ノーベル文学賞受賞の一冊

現代ポーランドを代表する作家のひとり、オルガ・トカルチュクの一冊。

84の断章から成り、それぞれの断章を通じて物語が、世界が、繋がっていく。
静かで冷たいのに優しい空気が全体を包む、幻想的な小説。

最後の一段落では、物語の登場人物とともに夢が覚め現実に戻ってくる感覚を味わえます。まるで霧が晴れ、視界がクリアになるような。

百年の孤独(ガルシア・マルケス)、精霊たちの家(イザベル・アジェンデ)を読んで、おもしろいと思った方にはぜひおすすめしたい。

ボスキが死んだとき、すぐさまかれは理解した。じぶんは間違っていた。じぶんはつたなくて不注意な死に方をした。死に方を間違えた。もう一度はじめからやりなおしたいとかれは思った。それに、こうも理解した。自分の死は、夢である。生と同じように。
(中略)
死者たちは、死んでようやく生の秘密を発見する。それはむなしい発見だった。

P.262

斧が木を割る音と雷鳴が、木の永遠の夢をうちやぶる。
人が死と呼ぶものは、ただ一時的な夢の中断。
(中略)
木が死ぬとき、意味も印象もないその夢は、ほかの木に受け継がれる。だから、木はぜったいに死なない。じぶんが存在することを知らない。だから木は、時間と死から自由なのだ。

P.274

世界は、人間にやさしくない。できることはただひとつ、じぶんと、じぶんにちかい人のため、貝を見つけて、楽になるまでそこに隠れていることだけ。
(中略)
ミシャはそれから死ぬまでのひと月、ずっと世界の左を見ていた。そこではミシャを、守護天使が待っていた。天使はほんとうに大事な瞬間、かならず姿を見せていた。

P.339

「俺は生きているし、まぁまぁ元気だ。まだやれる。」

P.343

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