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【難題】外国人の賃貸探し(の差別) 



前振り のようなもの


コロナ禍でデビュー後、
飲食店さん等を主な相手としつつ、
支援金等のお手伝いをしたのち、
並行して建設業の公共工事部門、
いわゆる経審の周りで県庁のお手伝いをさせてもらってきた…
という話を(これとは別の記事で)書き散らしてきました。😅

別に業務ごとに対比しても仕方ないんですが。

平たく対句にしてみますと。
口語で混同されがちなビザ(査証、こちらは外務省の管轄)ですが、
業務を基礎づける法的用語としては在留資格(法務省管轄、窓口は傘下の入管です)の取得等支援をする、
そういう資格もその期間に同時並行して取得していたんです。

が、
いかんせん、コロナ禍が長引き、外国人の皆さんは母国に逃げる。
クライアントになってくれる人と遭遇する機会を逸していた、
ということも書き散らしていたと思います。😅

今はインバウンドカムバック中とのことで、めでたいですけどね。
為替レートのせいで、
日本がこれまでより「安い国」と見積もられている
って指摘があるのは気になりますが…🥶

まあ、理論倒れというやつですか…🥶
営業能力が他の先生よりも低いのは事実ですが、
要するに、
支援金や経審より後回しになったのは
当時の環境がそうさせたというだけで、
在留資格系のお仕事だっていつでもウェルカムです!


憲法第14条の残念な所?

話題の提示


ところで記事表題に因み、
以下に貼ってあるような記事がありました。

今の日本は少子・高齢化の対応策として、
こんな状況ですよね?すなわち、
高齢化の医療費その他福祉関連費用は
人命にかかわりますので当然不当には削減できず、
他方、少子化への対処として
出産や育児を促すことにも成功していないわけです。
(先日公表された、東京都の合計特殊出生率ご参照🥶)

これまで以上に、
外国人の皆さんに頼らざるを得ないのが
日本の現状のはず(いや、上記の二大難問を同時に解ける人は別か?)。

国の全盛期は去ったのに、
夜郎自大な自国認識を保持している一部の人たちを除いて…🥶

ところが、上記記事見出しにもあるように、
昭和の時代の判例等にもあったような事件
(例えば公衆浴場への入浴拒否など、ヤクザもびっくりの自主規制🥶)を
令和になっても繰り返しているわけですね👆

無批判に負の連鎖を継受してしまえば、
昭和を馬鹿にできんぞ、令和の若者諸賢…🥶


🔵記事末尾に、入居先探しの支援が載っていたので、
もしも外国人のご友人等がおられたら、ぜひ紹介してあげて下さい。👍
僕も、もし仮にそういうシチュエーションが訪れたら、手伝ってあげたいと思います…。


憲法論もどき(通説からすれば)

ところで、我々には、憲法第9条は皆が論じるが、
第14条はあんまり論じないという奇妙さがあります。

多数の犠牲のもと敗戦したから厭戦観が強かったのはわかるが、
経済格差や身分の格差その他の不条理には寛容なのか?

大局的に見れば、先の大戦は大東亜共栄圏構想のもと、
植民地化をする膨張主義だったわけですから、
国内の政治経済的停滞(単純に不況というのみならず構造的なもの。
財閥による富の寡占独占、身分の固定化などもか)が
他国への侵略に繋がった巨大ドミノとも言え、
第9条を論じるのに第14条を論じないのは不気味な議論に思えます。

同条は、法の下の平等を定めた条文なんですよ。
(下記リンク👇は条文指定済み)

冒頭のNHKサイト記事のような不条理を、
平和主義かつ平等主義で理論武装した(はずの)
我らが憲法が赦すのか?
大声でダイレクトにいえたらいいのですが。

ただね、憲法の法的性質がことをややこしくしているのです。
あるいは、日本の学説の発展の限界が、かもしれませんが。

ご存知の方には屋上屋を架す話で恐縮なんですが、
確認のために申しますと、
憲法を比喩として手紙形式というか
命令書形式で捉えた場合、
「その名宛人は誰ですか」という問題
があります。

納税とか勤労、義務教育を与える義務といった
数少ない憲法上の義務を除いては、
国民は憲法の名宛人じゃないのです(法律上の義務はたくさんあるけど)

過去の戦禍や恐慌などにエリートが国民を巻き込んでしまった反省等から、
きちんと国家運営をするように、
名宛人として、政治家や官僚たちに向けている規範なんですね
(併せて憲法第99条もご参照下さい)。

ここまでだと、
国内の役割分担で閉じている分には話が通じやすいんですが。

🔴「じゃあ、外国人が不公平・不平等を被った時、
国あるいは社会に対して憲法第14条違反だっていえるのか?」というと、

日本国民だって(最も深刻だと)訴訟提起して
不平等を是正する判決を勝ち得て
立法等せよと政治家や官僚たちを動かさないといけない
のに、
二重三重にハードルが高いわけです。
第14条の形式面からしても、『すべて国民は、』としていて、
外国人は別だろうという人が居ても不思議ではありません)

国や自治体という公的部門が憲法の射程ですけど、
民間部門は上述の通り、主権者として権利保障される側であり、
公務員や政治家たちのように憲法の鎖に縛られていないので。
(いや、日本の世襲政治家が奔放で貴族みたいなのは一旦、横に措いて🥶)

繰り言ですが、
憲法の傘下としての諸法令(下位規範)による
細々とした義務は我々国民にあります😅

でも、大局観としての憲法第14条は
国の為政者に向けられているので、主権者たる国民は縛られません。
私人間効力という論点もありはするのですが、
例外的なものとされています。この点は後述します。

「差別は良くないよ」と呼びかけるのは
倫理や道徳、モラルとしてはいけるけれども任意にとどまって、
憲法自体による拘束力がないのです。

一部の差別行為については、
ヘイトスピーチ解消法などに結実していますが。

それは既述のように、憲法傘下のいち法律が規制しているものではありますが、今回の記事の住居選択の選択肢を奪う差別について使えるかというと…。記事にもあるように、別途法体系が整備されるべきかと…🥶

これが、憲法の法的性質【為政者の暴走を制御する、主権者の権利保障を最大化する】がことをややこしくしていると述べた理由です。

いわば、現時点における国民の成熟度次第なわけです…🥶
外国人の皆さんをいびりつづけたいのか?差別し続けたいのか?
そんなものをあたかも権利であるかのようにして、
為政者に平等に保障されたいか?
と自問自答することが主権者として各人に要請されてくる…。


国際法の枠組みで、近現代主権国家としてどうなのそれ?と外堀を埋める(試み)

再び前振りのようなもの➡『すべて国民は』の類推適用

国会・議会の内側に居る
おじいちゃん政治家たちが
昭和の迷妄の中に居るなら、
仕組みの前に認識を塗り替えないといけないですよね。

もちろんそれは、
今のアメリカのバイデン政権が責められているように、
「ほぼ売国的に見えるほど移民や難民に譲歩する」ということではないです😅。(アメリカの国境線の動画や解説などお調べください)

既に日本に親和的に住み着いてくれた人たちを、
税金(主として所得税、住民税、消費税など)の形で徴税しておいて、
しかしその一方で、
住居選択の自由を与えない(不動産屋の慣行任せで法整備しない)
というのは、近現代主権国家として割と恥ずかしいと思わないのかと。

「国家の構成員として納税の義務」を果たさせる分には、
少なくとも第14条のいう「国民」に準ずると類推適用をし、
相応しいだけの法整備をしろよと。
金だけまきあげて権利保障はしないとすれば、蛮族の国では?

恥とか体面とか外聞とか、
前近代的なメンタルの連続体、
近代化で乗り越えられなかったスピリチュアルな側面
という気がしてめげそうですが、
国家主義や教条主義の暗躍のもと、
そういう「国家の恥」みたいな立て付けの理屈の方が
(今の)エリートたちの議論で効くとしたら

先祖返り気味の国家や社会(の代表たち)の合意形成に影響しやすいのではないか?


国際協調主義の確認(いま一度)

憲法はなんと言っているか?

日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

日本国憲法第98条第2項。
憲法前文と併せてご参照ください

国際法秩序において、特に政府が締結した条約その他を、誠実に履行、達成していくんですよね?


令和6年(2024年)現在、人種差別撤廃条約を守る気はあるのか?

外務省ホームページにこんな記載👇がありました。
割と歴史ありますよね?

日本の施策に中身があるかは別論として(最強パスポートとか見栄えの良い話じゃなくて、ここは差別是正の施策の話です😅)。

人種差別撤廃条約は、人権及び基本的自由の平等を確保するため、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策等を、すべての適当な方法により遅滞なくとることなどを主な内容とします。1965年の第20回国連総会において採択され、1969年に発効しました。日本は1995年に加入しました。

入るの遅っ

そして加入してから約30年なんですが、冒頭のような記事が、
報ずべき記事として成立しちゃうのが我が国の現状なんですよ?
悔しすぎますよね…🥶

自公政権、悪夢のような3年空位(彼らに言わせるとだが)を除いて、
何してたんですか?
残余、批准を深化させるのに、約27年あったんですよね。
ツボ売りに勤しんでいたんですか。凍えそうです🥶


同条約第2条第1項の柱書

「遅滞なく」って👇遅滞しかない。

人種差別撤廃の施策を速やかに(口語ですが)実施する約束じゃないんかい…🥶

第2条

1 締約国は、人種差別を非難し、また、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策及びあらゆる人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により遅滞なくとることを約束する。(以下略)

人種差別撤廃条約第2条第1項
日本政府は約束を反故にしているようです🥶

ちなみに、文中👆に出ている「人種差別」について、条約は冒頭でこう定めています。

第1条

1 この条約において、「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。

人種差別撤廃条約第1条第1項

当然、住居を探すことは、政治的かは別として😅、経済的、社会的かつ文化的な公的生活の前提となる営みですよね…。


同条約第5条(e)

とうとう、外国人の皆さんによる住居についての権利行使で、
法の下の平等(条約の訳語は法ののですが)を保障する
という証拠の文言まで出てきました。

第5条

 第2条に定める基本的義務に従い、締約国は、特に次の権利の享有に当たり、あらゆる形態の人種差別を禁止し及び撤廃すること並びに人種、皮膚の色又は民族的若しくは種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等であるという権利を保障することを約束する。
(中略)
(e)経済的、社会的及び文化的権利、特に、
(中略)
(iii)住居についての権利🔴

ここでも日本政府は約束を反故にして恥じるところがありません🥶

この条約は、文言にも表れている通り、国際的に合意をした日本と相手国たちの約束なので、憲法第14条と相まって、国が不平等是正措置を立法化するべきだという立論には使えるんです。

が、他方で、NHK記事の中に出てきた、
被差別の外国人の皆さんたちが不動産業者を相手取ることができるのか?

というと、条約で約束したそのような是正措置の立法を
国が怠けているわけですから
(批准の仕方は国それぞれ?だとしても行間がありすぎないか)、
不動産業者に対し、外国人を可能な限り排他せずに契約締結せよ、
と法的に義務付けたりするのは現状難しいことになります。

そんな不条理な…いや、別の意味での解決はあるのですが…👇


まとめ?

  • 憲法単体では不動産業者を動かせない(政治家や官僚には動けといえるが)

  • 人種差別撤廃条約も、約束の相手が国同士であって、やはり同文。

じゃあ、打つ手なしなのか?
もう少しだけおつきあいください。

文中に触れていた、私人間効力というのはなんなの?
という疑問を最後まで持ってくれたあなた、ありがとうございます。

実は私人間効力を例外的に認めた判例群が存在しています。
ざっくりながら、理屈の骨子をここで説明させてもらいます。


読んでみてさらにご興味があればググってみてください。

流行りの人工知能に尋ねてみると、
僕よりスマートな回答になるかもしれません、
なんせ連中の最高峰モデルだと司法試験に上位合格できるらしいので🥶

上述したように、
名宛人違いの憲法ですが、
どこかの駅名みたいに、
ゲートウェイを創って、
「民法その他の一般条項(公序良俗違反など抽象度が高いもの)に
接ぎ木をしてやり、憲法理念のような抽象的なものを、
民事でも使えるようにしよう
」というのが、
(公法であるはずの憲法の)私人間効力
というお話になります(ざっくり)。

民法がいつも例示されるんですけど、「第1条、第90条、第709条あたりを憲法民法間ゲートウェイにしようよ」ということが判例では説明されています(ざっくり)。

でも、皆が警察にいだく不満じゃないけど、
公権力って民事不介入が原則なんですよね😅

あれはサボりの常套句じゃなく…🥶
基本的人権として皆が自由である(建前の)ところに、
公権力が常々介入していたら、
気が休まらない
ですよね?
戦時下の思想警察の所業などご参照ください。

それで、面映ゆいんですが、
私人間効力も例外とされている
のです。
一見だけでは人助けになりそうだけど、
他方で、
公権力による私法秩序への介入をしよう」という話ですから…🥶

本当は差別が起こらないように
住居選びをサポートできる立法が既にあるべきで、
「それを使いましょう」とレクチャーして
事前救済してあげたいのです。
が、
日本はそういう国ではないので(残念無念)、
事後救済として、
不法行為責任(民法第709条)を通じて、平等原則への(憲法第14条…背後にある人種差別撤廃条約にもゲートウェイ接続😅)違反を問う(私人間効力)

ということが限界点なのかもなあと。
もちろん、現時点でのということで、
近い将来になんらか立法が成り、是正措置が実現するかもしれません。

いや、甘いよ行政書士、
その先があるぜ、ということで、
弁護士さんたちが最先端の説明(争い方の?😅)をしてくださったらありがたいのですが…🥶


参考文献

友だちを助けるための国際人権法入門 | 申 惠丰, 桂川 潤 |本 | 通販 | Amazon


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