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【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その3:変動を表現し始めよう
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上記は、コロナ前の平常時(2016/7/1~2019/6/30)とコロナ時(2019/7/1~2022/6/30)の高配当企業4社の株価変動を示したものです。
この変動をうまく表現するのに大変優れた統計指標があります。
それが、標準偏差です。一般にσ(シグマ)と呼ばれます。
思考停止、禁止
こういう統計用語が出てきた瞬間に、ここで読むのをやめる読者が沢山いることを私は知っています。そしてこれまでの時代はそれでも大丈夫でした。
でも、本気で経済的自立を目指すのであれば、ここは思考停止になってはいけない大変重要な分水嶺になります。
「標準偏差の理解なしに、株式投資で儲けることはできない」、とどこかの偉い人が言ってました。
これはおっしゃること分かります。標準偏差を理解していないということはリスクを理解していないということ。リスクがある中でいかに儲けるかという勝負をするのが株式投資なのに、そのリスクを理解できていないというのは致命傷だと私も感じます。
総合格闘技で例えると、クリンチにいくべきタイミングをしらないということ。何かやばいことが起こった時に、そのリスクを正しく理解できないがゆえに、そのリスクへの対応が取れない状態。これは大変まずいと思います。
標準偏差の正体
ということで、ここではまず標準偏差とは何者かという話をしたいと思います。
標準偏差は一言いうと、ばらつきをあわらすものです。株価変動のグラフでいうと、株価のあばれ具合。人生でいうと、波乱万丈具合。スポーツでいうと、予想外の展開の度合い。例えばこの前のワールドカップのスペイン戦はその度合いが大変高かったですね。
これを言い換えると、なにごともなく進んだ場合との乖離度合いとも表現できます。なにごともなく進めばスペインが勝ってあたりまえだったのに、まさか10分で2点もとって逆転するという、あまりにもあたりまえとの乖離が大きいことが起こったというのが、記念すべき2022年12月2日の出来事です。
話を統計に戻します。なにごともなく進むというのは、数字で言うと平均になります。よって標準偏差は、平均とどれだけ乖離しているかをうまく表現した数字ということになります。
具体的に見ていきましょう。
「波乱万丈のジェットスター経営を信条とするA社」と、「こつこつこつこつ堅実経営を信条とするB社」がありました。それぞれの1月から3月の株価変動は以下となっています。
A社 1月:100円 2月:300円 3月:200円
B社 1月:200円 2月:200円 3月:200円
ここで暗算してほしいのですが、それぞれの平均はいくらでしょうか?
みなさん、計算早いですね。「正解です」どちらも200円ですね。次にそれぞれの月が平均とどれだけ乖離しているかを見てみましょう。
A社 1月:100円-200円=-100円 2月:300円-200円=100円 3月:200円-200円=0円
B社 1月:200円-200円=0円 2月:200円-200円=0円 3月:200円-200円=0円
さすがコツコツコツコツ経営のB社、平均との乖離がずっと0円の波乱万丈とは無縁に株価を維持しています。
一方難しいのがA社です。さがったりあがったりしているのは経営の信条なのでいいんですが、結局乖離度合いは全体でいくらなんだと言われると困ってしまいます。というのも、この乖離を全部足すと0円になってしまい、波乱万丈なのに、こつこつこつこつ経営と同じ結果になってしまうからです。(ちなみに、どういうケースでも必ず、乖離を全部足すと0円になります。)
頭のいい人が考えついた
それではどうしたらいいでしょうか? どなかたいい考えをお持ちの方いらっしゃいましたら、ご発声をお願いいたします。
ポイントは、-100円でも100円でも乖離の度合いは変わらないということ。符号には意味がなく、絶対値に意味があるということです。
ここで昔の頭のいい人が考えました。
「だったら、二乗すればよくねえ?」
いいこと考えましたね。二乗すれば、-100円も100円も10,000になって、同じように乖離の度合いを表現できる! すごい切れ者がいたんですね。この場合A社の乖離度合いの総和は、10,000 + 10,000 + 0 = 20,000 となります。
1月 (-100円)x(-100円)=10,000 2月 (100円)x(100円)=10,000 3月 (0円)x(0円)=0
そしてだれかが、この乖離度合いの総和に名前をつけました。その名称は、なんと、偏差平方和。
「わけなかんねー、名前」と多くの人が言うでしょう。ところが、この名前は大変理にかなったものなんです。
偏差:平均との乖離度合い
平方:二乗
和:全部を足す
ということで、「平均との乖離度合いを二乗して、全部を足したもの」を意味した、正に名が体を表したものなんです。
今度、みなさんもチャンスがあったら使ってみてください。
「こういう時は、偏差平方和つかうのがいいんじゃない」とか言ったら、聞いている人は間違いなくビビるでしょう。そしてあなたへの敬意のレベルがあがること間違いなし!です。更に、偏差平方和を英語で言うと、sum of squared diviation。「In this case, I recommend you use sum of squared diviation.」とさらっと言ったらHeroになれます!
大問題発生
ところが、この偏差平方和にも1つ問題があります。それは、比較する数が増えるとそれに応じて、偏差平方和もおおきくなってしまうということです。今回、3カ月で比較しましたが、例えばこれを6カ月にすると、変動の仕方が同じようなものの場合、単純に偏差平方和も2倍になってしまいます。
これには昔の天才も頭を抱えました。「せっかく偏差平方和をひらめいたのに・・・」
「みなさん、どうしたらいいでしょうか?」
次回この問題解決にとりくみます。 See you next time!
しかし、なかなか進まない・・・
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