シェア
草露 文(あや)
2022年4月19日 19:19
僕は今すぐにでも死にたかった。 世の中に絶望したのではない。死んで、風になって、君を優しく包み込んであげたいと思ったからだ。 死にたくなった。 風になりたいと思ったから。虹色に輝く太陽の光。早朝の草花に降り立つ静かな露。珈琲から出てくるの湯気。鯨が飛んだ後にできた海の泡。豊穣の頭垂れる稲穂の一粒。君が着る服に織られた一本の糸。無邪気に遊ぶ子供たちの歌声。長く飛んでいるシ