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言葉の読み解き方~沈黙は金、雄弁は銀

本日は、古典というには近代ですが、19世紀イギリスの評論家、トーマス・カーライルの著書から抜粋してみました。
これも有名な言葉だと思いますが、読み解いていきましょう。

様々な表し方のある文章ですが…

この言葉は、色々な表し方をされます。
例えば、「沈黙は金なり」とか、「雄弁は銀、沈黙は金」とかですね。
若干の表現は違いますが、言っている事は同じです。

この場合の金と銀はどちらが価値があるのかというのも議論されてきたことで、古代エジプトを起源とする説を採用するのであれば、銀の方が価値があるので雄弁を良しとしていると言うような説もありますし、この表現に「銅は〇〇」などと追加している表現をする人もいますが、これまた根拠が薄く創作だと考える方が自然です。

結局、最も古く文書に残っているものを根拠とするのであれば、19世紀のイギリスの評論家トーマス・カーライルの著書『衣装哲学』に記された一文である、となるわけで、その頃の価値であれば金の方が価値があるとされていました。

本来の意味を読み解きましょう

では、それを踏まえて本来の意味を読み解きましょう。

「沈黙は金、雄弁は銀」

トーマス・カーライル 「衣装哲学」

「沈黙することは多くを語る以上に価値がある」という意味です。「下手な弁解や言い訳をするくらいなら、黙っていた方がましである」の意味合いで使われることもありますね。

こういう言い方をすると、日本人的発想では、同調圧力に逆らうなとか、余計なことは言わないに限るなどの意味でとらえる人が多いかもしれません。

でも、時代背景を考えると、「沈黙することは、時として多くを語る以上に価値がある」の考え方の方が本来の意味に近いでしょう。
状況に応じて沈黙と雄弁を上手に使い分けるべきだ、と言い換えてもいいかもしれません。

もう一歩、深く読み解いてみると…

では、もう一歩深く読み解いてみると、このように考えられないでしょうか?

「雄弁に語るべき時なのか、沈黙し語らぬべきなのかに迷う時は、沈黙に金の、雄弁に銀の価値がある。迷ったことを安易に口に上らせてはいけない。自信をもってこそ語るべき価値がある。」

上手に使い分けるべきとほぼ同じことを言っているのですが、より具体的な指針を付け加えています。
人間、何かを口にしようとした時にはその一瞬前に言うべきかどうかの判断が入ります。
その判断の時に迷った場合は、その言葉は口にせずに今一度しっかりと自分の中で咀嚼すべきです。
言ってしまった言葉は取り消せません。出してから後悔しても遅いのです。

現代でこそ生きる言葉。改めて心しよう

現代は、SNSが発達して誰もが世界に向けていろんなことを発信できる時代になりました。
そんな時代だからこそ、今本当に口にすべきことなのか、ということはしっかりと考えないといけません。

売り言葉に買い言葉や、気持ちが高ぶっている時などは、特に気付きにくい状況でしょう。
でも、自分がそうなっていると自分自身で気付けなければ、色々な問題が起きる可能性があります。
炎上してから後悔しても遅いのです。後悔するくらいなら沈黙しましょう。

そして、発信するからには炎上してでも自信をもって言い続けるべきでしょう。
それがあなたの本音であり、大切な価値観ならば、炎上してでも主張し続けるべきです。
それができないならば、沈黙しましょう。

改めて心する言葉だと思いませんか?
その発言は、その発信は、今本当にすべきことですか?

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