3月立ち技ビッグイベントを終えて K-1 vs RISE対抗戦の残酷さ 今後の日本立ち技格闘技の井戸端会議的な話をしようの会
つい最近2023年がスタートしたと思っていたらもう3ヶ月以上が経ち4月に突入。
年々月日の流れが早くなっているように感じるが、3月はスポーツ観戦で時が流れたという日本国民が多いのではないか。
日本が見事WBC優勝で野球は世界一となり、サッカーも新生森保ジャパンとして強化試合が行われているわけだが、格闘技も3月は忙しい月であって、格闘技でどのくらいの人が熱狂したのか。
個人競技であるが故に野球やサッカーのように国の代表というのが中々ない格闘技。
格闘技が国民を巻き込んで列島が熱狂するような熱を生む日を来ることを願っている。
そんな3月であったが、ボクシングでは井上尚弥の4階級制覇のビッグマッチが決まったり怪我で流れたりまた決まったり、寺地拳四朗の3団体統一戦が直前でキャンセル、村田諒太の正式引退発表。
キックボクシングでは武尊の復帰戦が発表されたりなどなど、発表事が多々あったわけだが、大会としては日本立ち技格闘技団体のビッグイベントがいくつか立て続き開催され我々ファンを楽しませてくれた。
5日のKNOCK OUT、12日のK’FESTA.6、26日のRISE ELDORADなどの立ち技格闘技大会での試合結果や内容を踏まえて、また選手のSNS発信やインタビューなども踏まえて、ファンとして個人的に今後どんなマッチメイクや展開が見たいかを書いた今後の日本立ち技格闘技の未来予想的な記事となっており、今までの記事とテイストが少し変わっているので、その辺含めて楽しんでいただけたら幸いだ。
また、上記に書いた発表事に関しても近々簡単に記事を出したいと思っているのでお楽しみに。
K-1 vs RISE 日本立ち技2大団体激突再び
K-1とRISEの対抗戦6つが2つの大会に渡って行われた3月。
結果としてRISEが逆転勝ち越しというK-1にとってはまたしても屈辱的な現実を突きつけられた訳だが、そんな今回行われた対抗戦の結果を踏まえて、また対抗戦の試合の階級の展開などを書いている。
対抗戦唯一2カード組まれたフェザー級 2つともRISEが勝利でK-1王者軍司はどう捉える?
K-1の舞台で斗麗vs安本晴翔、RISEの舞台で門口佳佑vs新美貴士。
2つとも判定でRISE側が明らかな勝利を挙げ、K-1にはこの階級でのリベンジを是非して欲しいと個人的には思ってしまったが、そんなフェザー級をこの項目見ていきたいと思う。
THE MATCH2022という前代未聞の立ち技最大のイベントに1つもラインナップされなかった階級であるフェザー級。
あの大会でラインナップがされなかったことがフェザー級選手たちに火を付けたのか、以降動きが割とあり楽しみも多くなっている訳で、プラスしてTHE MATCHでラインナップされてないが故に今後の団体の垣根を超えた試合というのが最も組みやすく見たいカードも多くある階級だろう。
まずK-1のフェザー級戦国時代に1つ終止符を打った王者軍司泰斗の他団体狩り。
軍司はK-1にて王座防衛戦でタイ人ファイターに判定勝ち。青木真也氏がタイ人の「勝ちでは?」というツイートをしていたが、K-1ルールでは明らかな軍司の勝ちかと。
そんな軍司のvs他団体の相手としては今回勝ったRISEの安本や門口。
3月のKNOCK OUTで勝利し全勝街道を突き進む龍聖。
この辺りとのマッチアップは立ち技ファンなら望まない訳がないだろう。
フェザー級は国内屈指の実力派選手が多く、K-1王者の真価を試すという意味でも、K-1王者の価値を高めるという意味でも軍司のvs他団体という構図は是非見てみたいし、本人も望むところだろう。
国内55kg四天王 1人頭抜けたのか
対抗戦では玖村将史vs鈴木真彦、K-1とRISE各団体のタイトルマッチには金子晃大と志朗が登場。
国内55kg四天王がTHE MATCH以来の揃い踏みで、この55kgという階級が動いた2大会となった訳だが、そんな中でも階級の動きという意味ではやはり対抗戦の結果だろう。
対抗戦の前に、まず金子のK-1王座防衛戦と志朗の王座決定戦について軽く触れよう。
金子は玖村を下したコンペットを挑戦者に迎えての防衛戦。
簡単には行かない、もしかしたらコンペット有利なのでは。
そんな声もあった中、圧力をかけ続け有効なフックで効かせる場面も。
これは文句なく金子に軍配と思ったら判定2-0。ドロー判定を下した審判に理由を聞きたいところ。
志朗は、RISEが設立した3つ目の世界タイトル。1つ目はフェザー級で那須川天心。
2つ目はスーパーライト級でペットパノムルン。そして今回3つ目はスーパーバンタム級で。
鈴木真彦に2度勝っているという実績をRISE側は大きく捉えたのか、もう少し後でも良かったのではないかと思うRISE55kg世界タイトル。
だが蓋を開けてみると、世界タイトルマッチという試合でゲームを支配し続けて最終的に倒す最高の形で興行を締め括った志朗。
那須川天心不在という不安材料があったものの、RISE RLDOLADとしては過去最高の大会だったのではないだろうか。
さて、ここからは対抗戦の話。
THE MATCHでの55kg2試合と違う組み合わせで見たいと思っていた方は多いはずだが、今回は勝った者同士の対決。
試合前の記事で書いた予想では、玖村が鈴木のスタイルを苦手としているか、どう感じるか。要するにこの試合の勝敗は玖村次第という風に書いていた訳だが、そんな感じの試合展開だったように見ていて感じた。
なんと言っても玖村の左ジャブ。
カーフキックを多用しながらガンガン前に来る鈴木のパターンは読みやすく予想通りの動きでありいつものスタイルだったが、そのスタイルを苦にしなかった玖村。
左手の真っ直ぐ系の攻撃だけで鈴木の突進を止め、ダウンまで奪取。
その後も左手一本で効かせる場面を何度も作り圧勝と、やってる本人達からしても何度やっても同じ結果になると感じてしまうような試合展開だっただろう。
そして印象的だったのは玖村のリング上でのマイク。
「55kg他団体2トップ勝ったんで、K-1がこの階級最強って事でいいですよね?」
K-1側の人間にとってはこれほど嬉しい結果と言葉はないだろう。
逆にRISE側は屈辱の一言。
特に志朗、鈴木は勿論のことRISE55kgの選手たち。こんな事は微塵も思ってないかもしれないが、第三者の私には玖村の言葉が「この結果は那須川天心だけだったことの証明だ」という風に聞こえてならなかった。
さて、この3試合の結果を受けて今後の55kg戦線はどうなるか。
まずK-1としては金子vs玖村の王座戦にして3度目の対決。
このカードは誰もが見たく私的には勝手に、“武居由樹離脱以降のK-1スーパーバンタム級作品の完結話”だと位置付けられる試合だと思っている。
他にはまだ4人のうちで対峙していない金子vs志朗、その他RISEの大﨑孔稀や寺山遼冴などが絡んでくるのも面白い。
また金子や玖村はフェザー級転向という我々ファンを唸られてくれる展開も考えられる。王者軍司はこの両者に負けている。様々な要素がタイミングで重なり合い、また巡り合うのも格闘技の醍醐味である。
THE MATCH経験者であるか否かの差 対抗戦が持つ意味、対抗戦にかける思いの違いが分かる結果に
今回の対抗戦、K-1の舞台で2勝1敗とK-1の勝ち越し。
RISEの舞台で3戦全敗で、対抗戦の総合成績として負け越しとK-1にとっては厳しい結果を突きつけられた訳だが、団体としての勝ち負け以前に、1選手の対抗戦に臨む意気込みが試合内容の面白さ、必死さの伝わり方、そして勿論結果としても表れたなという印象であった。
玖村と鈴木はTHE MATCH経験。
この試合で両者の必死な姿はどの試合よりも感じられたはずだ。少なくとも私はそう感じ取れた。
また、白鳥にもそこは感じた。
“ゴンナパーに負けRISEに勝利をもたらせなかったことの悔しさを今回ぶつける”
ずっとこのようなことを口にしてきた訳だが、K-1のテクニシャン佐々木をあそこまで完封。
決して派手ではなかったが、本当に勝つために最も練習してきたのだなと。考えてきたのだなと。
そのような事が試合からヒシヒシと伝わってきた。
-70kgの世界 一世を風靡したK-1 MAX黄金の階級において日本人はまた世界に牙を向けられるのか
魔裟斗氏や佐藤嘉洋氏、小比類巻貴之氏など日本人ファイターは勿論、サワーやクラウス、ブアカーオらなど外国人ファイターも交えて最高の熱を格闘技で作り出していたあの時代。
その階級こそ70kg。
旧K-1が消滅以降、外国人天国と言われ続けていたこの階級。
外国人の強さが光る階級である事は勿論なのだが、最近では日本人が立ち向かえるのではないかと思わせてくれる選手が何人か。
そんな選手たちの試合を見ての感想だ。
K-1王座防衛 世界にパワーで立ち向かえる日本人
今回のK-1はムエタイファンも見たいという大会だったのではないか。
理由は勿論やはり強豪タイ人の参戦。パコーンやヴュー、コンペットらが出場した訳だが、最も注目を集めていたタイ人は70kgの王座に挑戦するジョムトーン。
何十年とムエタイ、ボクシングなど格闘技に携わってきた伝説的ファイターと若き日本人王者の対戦。
翻弄されてしまうのか。
ここは勝たなきゃいけないよね。
どちらが勝つかという予想でも様々な意見憶測が立てられた試合だったが、結果としては和島がパワーで蹴り倒し切った。
試合が始まって終始感じたこととして、骨格的な問題か、生まれ持ったパワーが違うという点。
ナチュラルに攻撃の強さが明らかに和島の方が何枚も上。
私の試合前の記事で書かせてもらった予想は大体当たったかなと思うが、もうちょっと早い段階で倒すかなと思っていた。
そこは流石のムエタイ選手というべきか、しかし一方で耐えられないところまでくり続けた和島は流石の一言。
怪物野杁正明 崩れた幻想をすぐに再構築させる残酷極まりないKO劇
K-1ウェルター級のトーナメント3試合、その後のK-1でのワンマッチ。
野杁に勝てる日本人などいないというファンの中に抱かれた考え。
ONEにいる超強豪外国人にも勝てるのではないかと抱かれた幻想。
そんな考えはTHE MATCHですぐに崩される事に。
そんな幻想が覚めた後の復帰戦。
旧K-1やGLORYでも活躍したアスケロフを迎えて。
69kgという本格的に70kgの階級を見据えての契約体重での試合。
そして何より負けた後に問われてくるパフォーマンス。
野杁本人にとっては、そんな様々なテーマと重圧を背負っての試合となったはずだろうと思っていたが、そんなモノは関係ないと吹き飛ばしてくれるというか、凍り付かせてくれるというのか、怖すぎるKOでの勝利。
ピンポイントで顎を撃ち抜いた2度のダウン。
漫画はじめの一歩で描写されていた「顎を撃ち抜かれたら身体に力が入らなくなり立てない」
そんな漫画の世界を思わせてくれるというか、現実でやってしまう野杁の凄みをみることができた試合であった。
K-1ではもっと強く、ビッグネームな外国人選手を野杁にぶつけてもらいたい。
そして和島とのK-1内の中量級最強対決。
その先には世界の団体への挑戦。
その中のどこかでまた海人との対決の巡り合わせが来る事、リベンジの機会が巡ってくることをファンとしてみたい。
現在進行形の中量級日本人最強 海人 RISE王座戴冠で次の標的は本格的な世界進出
野杁正明に勝利した事で中量級日本人最強と言っても違和感のなくなった海人。
そんな海人がRISE王座戴冠でまた1つ栄光を掴んだ訳だが、全くもって満足していないというか、物足りないというか、そんなような表情であったのが印象的。
海人の今後は明確に世界進出という目標に動き出すだろう。
RISEが提携しているGLORYの王座獲り。
そしてその先にONE ChampionshipのThe世界という舞台に飛び込んで行ってもらいたい。
また、今の海人には野杁との再戦はメリットがない訳だが、真の世界一を決める舞台に海人が立ち、その対角線に野杁が立つという最高のシチュエーションでの再戦をファンとして見たい限りで本人たちもそれを望んでいるであろう事をTHE MATCH後に発信している。そのやりとりに関しては以下のURL、THE MATCHの記事にて紹介している。
ピケオー帰還 残酷さはそのままに
中量級3試合見てきて日本人に対する期待と幻想を抱いて書かせてもらったが、この項目では外国人を。
ピケオーがコロナ流行以前以来の来日でその力をまた我々に見せつけてくれた。
試合が久しぶりということもあったのか、荒さと被弾の場面も目立った訳だが、外国人特有のパワーで強引に倒し切り、あの強引さに日本人にはない強さを見た気がした。
コロナ禍でも日本で牙を研ぎ進化していた野杁や和島との再戦、RISE勢とのぶつかり合いとピケオーが帰ってきたことで今後のマッチメイクの幅が広がったに違いない。
55kg以下の階級 RISEでは-54kg世界トーナメント開催発表 新たなスター誕生へ
K-1では石井一成が、RISEでは大﨑一貴、田丸辰vs風音が行われた55kgよりも軽い階級の試合。
様々な団体で猛者が多くいる階級だけに統一して誰が1番なのかを見たい階級だが、RISEではトーナメント開催が発表されている。そんな階級について見ていこう。
他団体にもタレント豊富な階級 層の厚さが強みのK-1はどうする?
今大会では石井vsヨーシラーの試合が行われ、ヨーシラーがワンダウン奪取で判定勝ち。
だったがしかし、試合後にダウン取り消しによりドローへと判定が覆るという歯切れの悪い試合となってしまった訳だが、ダウンが無かろうがヨーシラーの判定勝ちだったのでは?というのが私の意見。
まぁダウンを奪われているかいないかで攻め方が変わるというのは私自身試合をしている身であるので重々承知ではあるが。
K-1バンタム級は王者黒田を中心に石井、池田らなどが目立っているが、他団体での動きの方が目立っているこの階級をK-1はどうプロデュースしていくのか。
RISE-54kgWorld Seriesトーナメント開催
日本人のタレントの豊富さ、そして強豪タイ人も多いこの階級でどんなメンバーが参戦していきそうか、参戦してほしいかを私の1ファンとしての意見を勝手に書かせてもらう。
• 田丸辰
田丸vs風音のトーナメント出場権を賭けた試合では田丸が勝利。
出場権を賭けての試合と伊藤代表が明言していただけに順当に参戦が決定するかと。
• 大﨑一貴
大﨑はvs世界で圧倒的なKO。
今までも圧倒的な試合を続けてきている大﨑はトーナメント参戦の資格は当たり前で、優勝大本命として出場が期待されるだろう。
そんな大﨑は中1ヶ月でISKA世界タイトル戦がある訳だが、そこを難なくクリアしてトーナメント参戦というのが理想。
• 志朗
-55kgで世界タイトルを掴んだ今大会であったが、試合後のリング上でのマイク、バックステージインタビューにて-54kgトーナメントの参戦意思があることをはっきりと明言。(2分40秒辺り)
充分に参戦資格有りの選手だ。
• 花岡竜
参戦して欲しいという私の願望込みの選手のうちの1人。
RISEでは数試合やっている選手で数々の実績をアマ時代から残してきているが、上記で書いた3選手たちと比べると知名度や実績は見劣りしてしまうかもしれない。
がしかし、実力は確かなものがあり、石井一成にも完璧に勝った過去があり若さも相まって今後の注目選手であることに間違いない選手の1人だ。
現在、NO KICK NO LIFEバンタム級賞金トーナメント参戦中で一回戦を見事クリアして5月21日に準決勝、決勝を控えている。
7月開催予定のトーナメントに間に合えばという感じだが、このトーナメント優勝者の参戦を期待しており、花岡竜に是非勝って参戦してもらいたい。
• 吉成名高
ほぼ無いと思うが一応名前だけ挙げておく。
実力、実績は説明不要だと思うが、ファンとしては参戦希望である。
その他、強豪外国人選手の参戦が数名あると思うので、どれほどの実力者をピックアップしてくるのか楽しみである。
最後に
3月12日のK’FESTA.6、3月26日のRISE ELDORAD2023と2つの大きな大会をまとめさせてもらった記事で長々となってしまったが、ここまで読んでくれた方には感謝しかない。
また、4月公開となってしまったこの記事だが、26日のRISEと同日に自分自身のアマチュアの試合があり、その後にじっくりと見させてもらい、今後の立ち技業界の動向などを考えていたらワクワクが止まらずここまで記事公開に時間がかかってしまった。
自分のアマチュアの試合は見事勝利することができ、選手として自分がファイトする楽しさも味わえ、そしてこの記事でも取り上げた2大会に限らず、KrushやBigbang、RIZINでの皇治vs芦澤など、キックボクシングの面白さがたくさんの大会で見れることが楽しく格闘技が好きであることを認識できた期間となった。
また、今後も格闘技の記事をマイページに更新していくので目を通していただけると励みになるのでよろしくお願いします。