後味悪い胸糞映画まであと一歩!【葛城事件】
邦画独特の重々しい作り。
繰り返される日常のシーン、生活音だけのシーン、
なーーーんでもないんだけど、こういう虚無感の出し方好きよね、日本の映画って。
ただただかっこいい三浦友和を堪能する映画だってことは間違いない。
・葛城清 / 三浦友和
横柄な父親(長男に期待)
・葛城伸子 / 南果歩
精神崩壊な母親(次男には甘々)
・葛城保 / 新井浩文
期待を裏切れない長男(リストラ後に自殺)
・葛城稔 / 若葉竜也
死刑囚になる次男
父親である葛城清の横柄で周りにストレスを与えまくる家庭環境のせいからなんだろうけど、そんな憎まれ役を三浦友和が見事に演じ切っているのがまたいい!!!
なぜか不快じゃなく魅了されるんだよな、この主人公に。
赤いスーパーヒーローの時も、
スーツを着こなす頼れる父の時も
交番勤務の時だって、やさぐれてる今作の役だって
三浦友和はいつだってかっこいい。
今作に関しては
・子ども達がまだ幼い若い頃のお父さん
・次男が事件を起こす前の横暴な父親
・事件後のやさぐれ、ひとり取り残された父。
3時代の「父親」をシレっとこなしています。めちゃくちゃかっこいい。
無差別殺傷事件、
実在する殺人犯に共通する生い立ちや性格が反映されて作り上げられら
葛城稔というキャラクター
アンメットで若葉竜也くん好きになった人
是非とち狂った若葉くんをここで堪能してください。
冒頭、死刑が確定した時に見せたあのニヤって顔が狂人。すぐに惹き込まれます。
死刑囚なのに面会の時に「おっぱい見せて」とかいう狂人ぷりも見ものです。
・口だけ偉そう
・絶対的次男坊気質
・一発逆転してやる!とかいって間違った方向いっちゃう子
・横暴さは父親譲り。
若葉竜也がこれも見事に演じ分けている。
マッマとお兄ちゃんに「人生最後の日に食べたいものは?」と聞かれて
モゴモゴ「。。。うな重」とか答えてる次男坊気質のところなんてほんと可愛い。
てかその日、リアルに私うな重食べてて、骨が刺さって食べても吐いても全然取れなくて、もう明日病院行くわ状態で観ていたので、「うな重」ってセリフにものすごい反応しちゃったw
リストラされたことを嫁にも言えず、ただただ公園で時間をつぶしていたお兄ちゃん葛城保役 新井浩文。
あー、こんな良俳優さんそういえばいたね。復帰してほしい。
夫にDVを受けつつも思考を停止してただただ言いなりの妻、伸子役 南果歩。南さんにしか出せない、ホワホワ感、精神追いやられました感が良かった。コンビニ弁当食べてるシーン多めだけど、あれにも意味があるっていうのが良き。悲壮感過ぎないのも南さんらしい。
っていうか、南果歩の息子、若葉竜也、うん、ありえる。っていう配役がいい。
父・清 ご用達のスナックのママ、3人グループのじっちゃん客達
兄・保 転職先で軽く面接した人、嫁のパパママ
などなど、
まわりを固める脇役の人達
もしくは1シーンしかないです、とかエキストラレベルの人たちも
名脇役早々たるメンバーが出演されていて、どのシーンも安心して観ていられるのも良かった。
唯一意味不明なのは田中麗奈の役。
死刑反対勢力の彼女。赤の他人なのに、死刑囚の稔と獄中結婚するわけですが。。そういう人も実際いるんだろうけども、、
結局稔の心は入れ替わらなかったし、守り切れなかったんだけど、彼女が結婚・家族になるという中で、稔の心に少しでも「反省」という文字が出てきたとしてもだよ。死刑が覆ることなんてあるのか。
逆にね、稔がもし、彼女のことを家族だと想うようになり本当にそこに愛が生まれた時、死刑執行されるの、それこそ辛くさせるだけじゃないの?
もうね、それこそ悪だと思うんだ。
「最期に本当の愛を教えてあげることができてよかった」でTHE END展開させたい子なの?うーん。
別に俺は死んでもいい、あれは事故でした。巻き込まれたみなさん可哀想でした、くらいのあのままの意識の中で彼は死ねて本望だったわけで。
「俺が一体、何をした。」
この映画のキャッチフレーズ
ほんとそうだよな、って思う視聴者もいれば
いやいや、お前の作り上げた家庭環境のせいで!って思う視聴者もいるはず。妻や兄の存在意義からしても製作側の意図は後者かと思う。
最後まで家族のこと、己のことを理解できなかった父の言葉。
果たしてそうなのか。
まあ演じている人が三浦友和なので
見栄え良く見えちゃうし、実際なら胸くそ案件だとは思うんですよこんな父親。
けど
凶悪犯罪=家庭環境に何らかの問題
みたいに言われても困るよねって、私は前者な考えもある。
成人こえたら、もう自分の子どもだろうが一個人としての考えがあるひとりの人間だから、子育てしたことある人ならわかるかもだけど自我が芽生えたあとの人間にどうこう言っても難しい部分あるよね、
その自我を芽生えさせたのが親だ~家庭環境だ~みたいな堂々巡りになっちゃう話だけどさ。
ひとり取り残された父、
おもむろに家具を倒して家の中めちゃくちゃにしてからの
庭で首つって。。。。某ビョークさんのあの有名な映画のように。。
首吊りがプラプラしている家の引きのシーンのまま、その画を背景にエンドロールだったら「後味悪い映画シリーズ」の中でも上位に君臨する映画な気がする!!
●葛城事件
赤堀雅秋
配給:ファントム・フィルム
公開:2016年6月
ジャンル:実録
鑑賞日:2024年10月13日
お気に入り度
★★★★☆
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