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ある種の完全犯罪【手紙は憶えている】

「どんでん返し系」とだけしか情報を入れずに鑑賞。
老人が残りの人生をかけて、、感動秘話かと思いきや?!
アウシュビッツでの復讐をしようってお話でまさかのヒトラー系!!!


★好きなポイント★
例えばホテルスタッフが諸連絡を口早く説明する騒々しさも
着替えを買いに行ったら膨大な量の服がある殺伐な雰囲気も
認知症でなくても、老人が日々感じてるであろう処理能力が追い付かない様の描き方がすごく良かった。


もちろんピアノのシーンもすごくきれい。4人目コディさん宅のピアノなんてめっちゃ音色よかった!

このピアノのシーンも壮大な伏線だよね。モシュコフスキーとかワーグナーとか。
4人目コディのセリフ「アウシュヴィッツ生存者はワーグナーを好まない」
とかとか。めちゃくちゃグっとくる隠し味みたいなセリフやんけ!!



で、主人公が老人かつ認知症であるが故、回想シーンが全くない。これが全てもの伏線です。よく出来てる!!




▼ネタバレあらすじ▼


ゼヴ・グッドマン
最近妻を亡くした認知症の老人
冒険するよ!


マックス
ユダヤ人の老人。自分達の家族を殺したナチ生存者に復讐しようぜ!とゼヴに持ち掛け
金銭面からホテル手配、移動手段まで全ての行動を電話で全力サポート。
(自分は車椅子で呼吸器つけてるため身動きできない)


ルディ・コランダー
アウシュビッツ収容所のブロック責任者
本名はオットー・バリッシュだがルディを名乗って逃亡し現在は普通の暮らしをしていると思われる。



てことで、ゼヴの『ルディ・コランダー探しの旅』が始まります。
現在確認できるルディさんは4名。そのうちのどれかがオットー・バリッシュ!


病院の面会もすんなり入れちゃうし、初めてのご訪問のお宅でも家にあげてもらえちゃったり、パスポート更新されてなくても、拳銃を持っていても
「老人だから安全だろう」ってことで行く手を阻むものもなくどんどんルディさんに会えちゃいます。そこで時間食ってたら話が進まないからね!どんどん巻いていきましょー!


1人目のルディさん
窓際に立たせて拳銃突きつけるも人違い
確かにナチではあったが別部隊だった。


2人目のルディさん
寝たきり老人のルディさん。同性愛者
アウシュビッツに居たことを確認し拳銃突きつけるも
腕に捕虜番号が彫られていて同胞でした。


3人目のルディさん
既にお亡くなりになってるけど警察官息子が迎え入れてくれた。
お部屋にはナチ関連の物がどっさり。
だけど当時10歳で陸軍料理人だったとのこと。またしても人違い。
ユダヤ人だとバレると息子が豹変し罵倒を始める。
ゼヴ、失禁。動転して撃ち殺しちゃいます。

イッヌ無事じゃない。
息子も無事じゃない。

あーあ、やってもうた。。。

てかそもそもこのイッヌめちゃくちゃ吠える。ゼヴが家の外にいる時点から吠えまくり。
シェパードちゃんだし、任務を終えた警察犬だと思ったんだけど、めちゃくちゃアホの子やん。吠えまくるしただの飼い犬?、、、じゃなーーーい!


警察犬だったからこそ拳銃を隠し持っているゼヴの不信さに感づいてずっと吠えてたのよね。いい子やったん、、( ノД`)…アホッテイッテゴメン

※ちなみに「撮影にあたって動物に危害与えてません」の文言ありました。(エンドロールのそういうとこみるの大好き)


4人目のルディさん
ついに本物!!!?
ルディさん、娘や孫には「アウシュビッツの生存者(捕虜側)」として話していた。辛い過去ゆえに、あまり人には話したくないと。


ゼヴが問い詰めると、自分の本名を「クニベルト・シュトルム」と名乗る。
え?最後のひとりなのにまたしても人違い?!

だがしかしタカシ!!
ず--っと探していたオットー・バリッシュはゼヴ自身だと言われる。
えっ!!!?


二人はナチ同部隊で
二人して捕虜になりすまして腕に捕虜番号を刻印し名前を変えて逃亡。
二人の捕虜番号は連番だった。


動転したゼヴは、ルディを撃ち殺し、自分も自殺。




んーーー、、ってことは?


自分達をアウシュビッツ生存者ユダヤ系の子として思って生きてきた
4人目ルディの娘や孫、ゼヴの息子もまさか自分達の血筋がナチ側だったとビックリするわけです。



ゼヴが主役と思いきや!!
マックスの完全犯罪ストーリーだったなんて!!!!



4人目ルディさん、訪問した時はまだ寝ていて娘によってリビングに通されたゼヴ。
ピアノを弾きながら待つと、背後からルディさん登場。

ゼヴ「声を聞くだけでわかったよ」とポツリ。



これって、そっくりそのままマックスが経験したことなんだろうね。
老人ホームで出会ったゼヴ。
年老いて名前も変わっていたとしても、声だけでわかってしまった。
だからこの計画を持ち出したわけだ。
マックス執念の戦いだったわけですね。

心理的に最後にゼヴが自殺するところまでもっていくわけだ。
何者だよマックス!!!
部屋に夥しい量の書物があったから、心理士とか医者だったのかな。


ゼヴが持っていた手紙は
冒頭でマックスが
「君が忘れても大丈夫なように、君が言ったことを書いておいた」
って触れているので、
マックスが書いたものではあるけど、書いてあげただけのものだから証拠には不十分?
いろいろ手配してくれてるのは殺人幇助にはならないのか?


ん?最後にクローズアップされたのはマックスの机だよね?
当時のオットーの写真と手紙。
これは誰のもの?
ニュースを見ながらマックスは「あいつは覚えているよ」って話してた。
その手紙はゼヴ本人が昔の懺悔を書いたのをマックスが見つけたのか、もしくは認知症が進む前にゼヴがマックスに打ち明けたものをマックスが書き記したのか。

あ!「君が忘れても大丈夫なように~」って、そのことを言ってたのか?!なんだって胸アツ!!!!


日本語タイトルの“手紙”ってさ、ゼヴが旅する間にずっと持っていた指示手紙じゃなくてこの最後に映し出された手紙のことだよね?字幕ではその指示書のことを「手紙手紙」って言われたけど、あれは実行するための所詮「メモ」だろ?ってずっと思って観てたの。(英語セリフちゃんと聞くべきだった)

あの指示書をタイトルの手紙とするにはおかしい。やっぱ最後にクローズアップされた「手紙」に「ゼヴはオットーだったよ」ってことが記されていて「手紙は憶えている」ってタイトルになったんだろうね。



マックス的には逮捕されようが残りの余生なんてどうなろうがいいんだろうけどね。

余生をかけて復讐を遂げたわけ。


だけど。昔のこと忘れてのうのうと生きてるやつに復讐しても意味が無いと思いませんか?
ってわけで、同胞に会わせることで思い出させる(賭けだけど)
一石二鳥だし。


たださ、2人目ルディさんが同性愛者だと打ち明けた時に、
なにも抵抗なくハグしたゼヴの優しさとか、マックスはずっと見てきたはずなんだよ。だからゼヴが過去の記憶を取り戻して自殺するかどうかも彼に委ねてたし、友人として彼を慕っていたのは本当だろうしゼヴが死ぬか死なないかはきっとどっちでもよかったんだよねきっと。



ナチだった過去もなーーんも覚えてない。だけどピアノは弾ける。
唯一ゼヴの過去を表すものが、皮肉にも美しいものだったっていうのが儚いよね。ここが私的BEST POINTかも。



●手紙は憶えている
原題:Remember
監督:アトム・エゴヤン
配給:アスミック・エース
公開:2015年10月
ジャンル:ヒトラー系 / サスペンス
鑑賞日:2024年11月16日

お気に入り度
★★★★☆

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