音楽の選び方 今昔
いつも行く美容院のスタイリストさんは、私より20歳年下の40歳ですが、感性豊かな人で、昭和生まれバブル経験者のおばさんの価値観も刺激を受けるらしく、
自分の未知の文化のことなど問いかけてきます
Apple Classical使ってますか?
私がクラシック音楽の人間なのを知っていて、今日もそんな質問が、、
「僕、今までロックしか聞かなかったんですけど、最近「あなたへのおすすめ」で
ピアノ曲を聴くようになって、Apple Classical試したんです」
ふむふむ、、この時点でまず、音楽を選ぶプロセスに「あなたへのおすすめ」
というAIの仕事が関わってくる。
「僕ドビュッシー の月の光が好きなんですけど、ドビュッシー自身 がピアノを弾いてる音はなくて、月の光を弾いている他の人の演奏がすごいたくさん入ってるんです」
そりゃそうです。(心の中でのけぞる私)
まず、新鮮な驚き!曲って作曲者自ら演奏しているのを聴くのが前提?
違う人が演奏するとカバーという
がしかし、クラシック音楽ならば、モーツァルトが弾いているトルコマーチとか
バッハが弾いてるトッカータとフーガニ短調の録音がないことは当然と思うのですが、ドビュッシー となると微妙な時代だからそう思ったのかな?
「そうしたら、そのおすすめの中にフルートの曲が入っていて、それはピアノとのセッションのやつなんですけど」
ピアノとのセッション!!
いや、セッションってその場で合わせる即興だから、ちょっと違う
おそらくフルートソナタとかなんだろうけど、クラシック業界ではピアノ伴奏と言い、そもそも楽譜があって練習するのです
「でもフルートの高い音がどうも好きになれなくて、、
だいたいはすすめられた曲は”出されたものは全部食え”と思って最後まで聞くんですけど、あの音だけは好きじゃなくて飛ばしちゃいました」
AIが勧めてくれたものを、そんなにも誠実に聴こうとするのは、やはり感性に欲があるからでしょうね。えらい!
私世代の使っていた音楽用語の現代翻訳。面白かった。
クラシック音楽を知らずに育った人はこんなふうに脳内で処理するのか?
そもそも好きな音楽との出会いは
AIのおすすめだろうと、昭和の街並みか、ラジオから流れてきたかだろうと
聞こえてきた
から始まるのだろうけど、その聞こえてきた曲がなんだったか?昭和時代、放送ならば最後に司会者が「○○作曲〇〇。演奏は〇〇でした」というのをメモってお店に行くのです。
レコード時代もCD時代もお店に行くと広い売り場がカテゴリー分けされており、クラシックの売り場に行くと作曲家別にまとめておいてあり、レコード時代は詰め込まれて並んだジャケットを1枚ずつ持ち上げてジャケットみて選びました。CD時代はやはり作曲家別にまとめられた棚から背表紙を見てピアノ曲、声楽曲、管弦楽曲など選んでいました。
令和は。。
AIがおすすめの曲を選んでくれて、曲名も演奏者も知らないけれど、気に入った曲があれば調べたりして、自分のプレイリストに入れる
音楽との出会い方は全然違う
それでも、AIがクラシックをすすめてくれて、クラシックファンが増えることは嬉しいです。
「僕 ドビュッシー のファンなんです」
なんとなく、そのファンの使い方も今風だと思うとクスリと笑ってしまいますが、
カバーされた月の光から名演に出会えますように