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集団の5段階⑤ ステージ4 「私たちは素晴らしい」 ~全員が主役の分散処理ネットワーク~
ステージ4の概観
ステージ3とステージ4の違いはネットワークの効率性です。
一匹狼のプレイヤーやトップダウンのマネージャーが支配するネットワークでは、いくら個人が優れていようと、個人が集まれば集まるほど効率性が低下します。
それは、互いの意思疎通や情報共有のためだけに膨大なコストが生じ、集団が持つリソースが膨れ上がった事務作業、会議、報告決裁、社内政治に対処することに使い尽くされてしまうからです。
このステージの人間は3者関係を形成し、相手との間に価値観に基づいた人間関係を構築する。自分がその組織にいることを誇りに思い、リーダーはメンバーたちに引っぱられていると感じる。一方で、「私たちは素晴らしい」の中には「彼らはだめだ」という意識が存在し、敵対する組織や企業の存在が集団の結びつきを強めている側面がある。
ステージ4は、まずその企業文化を安定させることが重要である。価値観や利益、チャンスに基づいて3者関係が成り立っていることを確認する必要がある。「私たちは素晴らしい」という言葉よりも「人生は素晴らしい」という言葉を用いるようにする。
これを図示すると、以下のようになります。
そのため、ネットワークの効率性を高めるためには共通のミッション・ビジョン・バリューを設定し、各自に権限を委譲することが重要になります。
つまり、トップダウンによる集中処理を排し、双方向のネットワークを構成して、分散処理が実行されるネットワークを構成するのです。
言葉にするのは簡単なのですが、これを実行するためには様々な困難があります。
権限を委譲するためには、構成員全員がステージ3に達していなければならず、ステージ2の人間が多い集団で分散処理を実行しようとすれば、権限を委譲された人間は、解決に取り組まないどころか無理な仕事を押し付けられたと感じるでしょう。
また、ステージ3の人間同士の権力闘争も乗り越えなければならない課題です。
こうした闘争を乗り越えるために、共通の敵、共通の目標といった要素は欠かせないでしょう。
改善のためのアプローチ
ステージ4自体が、かなり高度な集団であり、維持するだけで困難な存在です。実際、フィル・ジャクソンがチームを到達させようと目指したのがステージ4です。
ステージ4を維持しつつ、ステージ5に至るためには、システムのどこかにネットワーク外部性を取り入れてネットワーク効果を生じさせなければならない、と私は考えています。
ネットワーク外部性はミクロ経済学で発達した概念であり、ネットワークの構成員が増えれば増えるほどネットワーク自体の価値が高まっていくシステムです。
代表的なものとして電話があげられます。
利用者が誰もいない場合には電話の価値はゼロであるが、人口のほとんどが電話でつながれた今となっては欠くことのできないインフラとなっています。
こうしたネットワーク外部性のあるシステムを作り上げるためには、中心となるミッションとバリューを精選した上でエコシステムを発展させ、さらには競合との競争に打ち勝たなくてなりません。
ネットワーク外部性を生み出すシステムには勝者総取りの要素があるためです。
では、次回はいよいよ、歴史上の偉業を成し遂げるような集団でのみ現れる、ステージ5をとりあげたいと思います。