「歩み寄り」と「バケツリレー」の話
※写真はスペイン、サラゴサにあるピラール聖堂
IT業界では、デジタルトランスフォーメーションやDevOpsという言葉がすごく浸透している。デジタルトランスフォーメーションは、ソフトウェアをベースとして、顧客接点を強化することで、売上拡大を目指すようなものだ。そのソフトウェアの開発を迅速かつ、目的にそったものをつくるための手法・考え方として、DevOpsがある。そして、そのDevOpsのサイクルを回すための手法として、アジャイルなどの考え方がある。
目がまわるビジネストランスフォーメーション
上記で説明しているだけで、目がまわる。ソフトウェアを開発するのに、Dev(開発)とOps(運用)が云々。そして、顧客接点を強化して、ビジネスが変革する……。
これは経営者は大変な時代になったと思う。ましてや、人材不足やら、そもそも現状のプロセスに課題があるなど、解決する問題が多すぎる。デジタルトランスフォーメーションなんぞ後回しにされるケースもあるだろう。
経営者が俯瞰的にみても辛い状況で、現場はどうなっているのか?
おそらく、従来型の組織を維持しながら、上司の不満をいいつつ、自分に与えられた範疇だけで仕事しているのがほとんどではないだろうか。
上司への不満は、もしかしたら、この「与えられた範疇だけで仕事」する、あるいは、せざるを得ないということから生じる、本質的な問題の表層なのではないか。
歩み寄りという考え方
そこで提案したいのが、「歩み寄り」という考え方だ。
「与えられた範疇だけで仕事」している場合、以下のような言「言い分」がまかり通る。
営業「俺はこんなにやっているのに」
マーケティング「こんなに段取ってやっているのに」
マネージャー「上と下に挟まれて頑張っているのに」
開発「こんなに苦労して開発しているのに」
インフラ「夜中に起こされて頑張ってるのに」
こんな状態ではビジネスが変革するために、協力して、開発や販売推進はできないだろう。
誰も完璧な人間などいないので、営業でも例えば段取り力が弱かったり、マーケティングでもマーケット感覚がない人もいるかもしれない。それでも補強しあって働くという意識が必要だ。
違いを理解しつつも、お互いに「歩み寄り」を意識するだけで(相当心が狭くない限り)、少しでも手を差し伸べる行動が生まれ、ビジネスがトランスフォーメーションする小さなきっかけになり得る。
歩み寄りを促す、「バケツリレー」的発想
「与えられた範疇だけで仕事」をしてしまう背景には、「バケツリレー」の発想が抜けているケースもあるだろう。苦労した分だけ給与をもらう、という自己満足的になってしまうのも分からなくはないが、給与は苦労の対価ではなく、社内・社外に価値を提供した対価だと感じられると、歩み寄りが進むのではないか。
僕は自分の中でこれを「バケツリレー」的発想と呼んでいる。社内でも社外でも、なにかを受け取って、誰かになにかを提供している。バケツに水を入れ、それになにかを付け加えて、また違う人に渡す、そんな活動が日々行われていると考えるのだ。自分は誰からバケツを受け取って、誰に渡すのか。どうやってバケツを受け取ればお互いに気持ちよく仕事ができるのか、どうやって渡せばいいのか。
「バケツリレー」でバケツの水を渡す人にかける人はおそらくいないだろう。この発想で仕事ができると、「歩み寄り」が浸透し、ビジネスがトランスフォームするかもしれない。
この考えのもととなる情報源
Misc.
こんな記事がありました。
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