#3 地名という物語

地名には物語があります。
といっても、地名の成り立ちのことではありません。
その地名から「感じさせる」物語のことです。


例えば埼玉県熊谷市の「籠原」。高崎線の籠原駅。
高崎線の列車の行き先にもなっているので馴染みがある人も多そうです。
籠原駅ではそこより先に行く15両編成の列車のうち、前5両を切り離します。日常的に深谷より先に行く人にとっては、籠原=列車を切り離す駅だから後ろ10両に乗らないといけない、もしくはその行き先に乗っても辿り着けない「厄介な」もの、という印象を持つのではないでしょうか。


(ちなみに私の実家は神奈川県の伊勢原市にあり、両親は昔、海老名で車両を切り離すから前の車両に乗らないという意識を持っていたそうです。この場合は海老名といえば車両がそこまでしかいかなくなることの象徴みたいなものです)


今深谷を出しましたが、深谷といえばネギ、ふっかちゃん、東京駅をモチーフにした駅舎、旧特急あさまが熊谷を通過してこちらに停まる列車があった、など連想させるものが多いです。さらに新1万円札にも描かれる渋沢栄一の故郷として注目されるようにもなりました。

この連想という行為こそ、地名が持つ物語の機能です。
早稲田といえば難関私立大学早稲田を有する大学生の多い町、神保町といえば古本屋の町…など。
ちなみに付近の小川町はスポーツ用品店が多い町なんだとか。

知らないだけで、全ての地名に物語はあるのです。

由利本荘市。駅名は羽後本荘。ここにはどんな物語があるのでしょうか。



前置きが非常に長くなりましたが、架空鉄道等を作るということは、必然的に駅名(土地が架空の場合は地名)を作ることになります。

それはつまり、作った駅名・地名の数だけ物語が生まれる可能性があるということです。
逆にいえば、物語なき駅名・地名は、あるべきものが欠けた状態だということです。


なので私は、一つでも多くの地名に物語を与え、一つの地名に与えるその物語の記述量を増やしていきたいと思っています。
架空なので実在しませんが、だからこそ言ったもの勝ちな世界ですし、あとはイマジネーションと、恥じらいを捨てることだけです。

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