#16 架空鉄道における 「こんな列車は必要ない」を解消したい。
架空鉄道を作るにあたってネックとなるのが、「こんな列車走らせて意味あるのかな?」という疑念です。
もちろんこれはリアリティを追求する私のクセであり、自分の理想を追求することが出来る架空鉄道なのだから自由に作った方がいいわけです。
しかし制約があるからこそ、その制約の中で実現出来た理想の架空鉄道は、より愛着のあるもの、ありがたいものになるのではとも考えています。
例えるなら、初代ポケモンを改造してオセロを作るようなものです(?)。オセロをしたいなら買って来ればいいわけですから。
この記事では、制約とその解消法、いわば列車を走らせる言い訳について提案していきます。
1.この区間に路線はいらない
主に現実世界に架空鉄道を敷いたケースで発生します。
これについては、2024年の今この瞬間に鉄道が開通したわけではなく、その路線に長い歴史があるのであれば、流動が生まれるはずなので、その架空の世界線では必要な路線となるはずです。
私もかつて現実を舞台に架空鉄道を考えたことがありまして、それが池袋→国立→伊勢原→河口湖という路線です。
既存の鉄道路線で新宿に出られるなかわざわざ池袋に向かう必要があるのかというわけですが、例えば小田急小田原線よりも長い、100年以上の歴史があれば、流動も変わっていたかもしれません。
2.この区間にこんなに本数はいらない
大手私鉄のパターンダイヤが好きな作者だと、やはり最速達+準速達+各駅停車の10分サイクル×3ダイヤなどを作りたくなるわけです。
土地も架空の架空鉄道であれば、沿線人口や流動を自分で設定出来るので気にしなくていいわけです。土地が現実の場合は、人口や従業員も多い世界線ということにしておけばOKでしょう(そもそも架空鉄道で現実の人手不足問題まで考える人は流石にいないと思いますが)。
またエアポート急行設定前の京急本線普通列車毎時12本ダイヤのように、編成が非常に短い列車であれば、需要を賄うために本数を増やしても違和感はありません。
あとは、かつての京阪本線が日中に毎時24本走らせてたんだから、という言い訳もあります(私が使ってました)。
他にも、杉並三駅として悪名高い平日の高円寺駅や阿佐ヶ谷駅、西荻窪駅は10両編成の列車が中々の本数停車しますが、「地元の意向」という錦の御旗を掲げるのもありでしょう。そう考えると、輸送力が過剰という点はあまり気にしなくていいのかもしれません。
3.分割併合をする必要がない/しない方がいい
分割併合は1つのスジで2方面以上の列車に仕立てられるので利便性が向上します。あるいはホーム有効長が短かったり、利用客数が極端に増減する場合は不可欠なものです。そのため、1や2ほど不自然なものにはなりにくいです。
では分割併合が制約になる状況とはどういう場面でしょうか。
例えば分割併合は係員が余分に必要な上、ダイヤが複雑になるほか、編成が短くならざるを得ないので輸送力が足りなくなる恐れがあります。
便利な言い訳としては、「車庫が古く、固定編成を置いておける留置線が少ない」というものがあります。かなり限定的な場面ですが、現実問題、小田急が車両基地を相模大野から伊勢原に移す理由の一つでもあるようです(小田急の場合は工場の線路の長さが足りないとのこと)。
4.その行き先である必要がない
レア行き先というものは、時刻表・ダイヤ好きのマニアとしては設定したいものです。しかしこれも、「わざわざその駅で折り返す必要がない」場合があります。理想としてはダイヤ作成上自然発生的に生まれてほしいものですが、そう上手くいきません(し、ダイヤを作成しない架空鉄道作者も多いでしょう)。
直通運転であれば、例によって利便性を盾に出来ます。線内で完結する場合であれば、車両基地や留置線をその駅に置くという手があります。現実の例で言えば、相鉄のかしわ台行きがそれに当たります。
またこれを利用して、中央線の豊田行き(八王子の手前で止まる)や武蔵小金井行き(国分寺の手前で止まる)のような、「ムカつく行き先」を作ることも出来ます。
もし私が相鉄のダイヤを架空で作るとしたら、1日1本だけ海老名発所沢行き、なんてものを設定したいですね。
5.そんな長距離の列車を走らせる意味がない
優等列車、普通列車問わず、長距離列車というのは現実では減ることが多いです。現実で無くなっていくものは架空鉄道で作りたいものです。しかし、長距離列車は長くなればなるほど飛行機や高速鉄道(普通列車であれば速達列車)に対して時間的な優位性がなくなり、運用においてもダイヤ乱れに弱く、出入庫も難しくなります。
これについては、鉄道会社のサービス精神で走らせているという最終手段をとるのが一番ですが、やや反則な気もするので、別の言い訳も提案します。それが、車庫を起終点どちらか一方に寄せるというもの。そうすると否が応でも長距離列車を走らせることになります。
また国から架空で作る場合は、若者や低所得者層が非常に多く、加えて長距離移動が文化(年末年始は家族と実家で過ごす風習など)として根付いているという設定にしてしまえば、長距離普通列車は必要不可欠なものになります。
6.そんな直通列車はいらない
5の長距離列車と同様、直通列車は現実で減ることが多いものですが、反対に新線の建設によって誕生するものもあります。上野東京ラインの開業による沼津発宇都宮行きや、相鉄・東急新横浜線の開業による海老名発小川町行きあたりが代表的でしょうか。これらは運用上の都合によるものかとは思いますが、中には意図的な直通運転もあります(ありました)。以下にいくつか挙げていきます。
これらについては、潜在的需要の掘り起こしや、走らせることによる宣伝という点から、いらないと考える必要もないと思っています。いわば制約ゼロです。これは5にも言えると思っています。どちらも架空鉄道向きの設定でもあるので、積極的に生み出していきたいものです。
思いつく限りのものを挙げてみました。架空鉄道作者のだれか1人にでも刺さってくれれば嬉しいです。