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魚を克服したひと
高橋ゆうき。24歳。人間。
彼は魚が苦手だった。海の臭いが感じることが原因で。しかし、貝類は好物らしい。
解らない。私にとって貝類は海の香りそのものだったから。
人の味覚は十人十色。彼からちょっと多様性を学ばせてもらった。
久しぶりに彼とご飯に行ったとき、彼はお造りの盛り合わせを頼んだ。
魚嫌いの彼がお造りを頼んだことに驚き、「え、大丈夫?」と声をかけた。
彼は私に「茶漬け知ってる?」と質問を質問で返した。腹が立つ。茶漬けを知らないと思われているのも、腹が立つ。
彼は彼の友人が美味しそうに茶漬けを食べている姿を見て、一口もらい、魚をちょっと克服したらしい。
彼は「魚が嫌いだった最近の自分に言ってあげたい。お前はもうちょいしたら自らの意思で魚を頼んでいるぞ。」と言った。
それがなんか面白かった。ありふれた現象を言語にした彼が面白かった。
いつか自分もそれを引用したいと思った。
彼はそれだけで笑った私を見て、「M-1いけるかな?」と言ってきた。いや、なめてる。こいつは人を腹立たせるランキング、西日本1位だ。
次、彼は何を克服するのだろう。