Chapter 2-1 ミッドガル

神話から着想を得るというのはRPGの常套であるが,スクウェア(『ファイナルファンタジーⅦ』の発売元。現,スクウェア・エニックス)のRPGには北欧神話からのネーミングが多い。「裏FF7」としてプロモーションされた『ゼノギアス』の「ユグドラシル」,「ヘイムダル」などがそうだし,FFのシリーズでは「オーディン」,「ラグナロク」などがお馴染みだろう。FF7では「ニヴルヘイム」,「ケット・シー」などがそれにあたる。
魔晄都市「ミッドガル」も北欧神話のMidgard〈ミッドガルド〉からきているのだろう。試みに『ランダムハウス英和大辞典』をひいてみると,

Midgard 〔北欧神話〕 人間界,この世,ミッドガルド
(『ランダムハウス英和大辞典』小学館)

とある。これは多分に象徴的で(詳述は次節以降に譲るが),ミッドガルとはまさに我々の住まうこの世の象徴なのだ。

FF7を読み解く鍵
ミッドガル=我々が生きるこの世の中の象徴

これはつまり作中で語られる「問題」は,まさに我々の社会の問題でもあるということだ。この章で見ていくように,ケット・シーとヴィンセントの2人はここで大きな役割を果たす。

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