2021年日本公開映画(個人的)ベスト10
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
さて、新年ということでこの手の企画を行おうと思う。
2021年は2020年に比べても格段に映画館へ行くこと映画を見る頻度が高くなった。ようやく、「趣味:映画鑑賞」と言えるところまできた。「映画オタク」ではまだ無いが・・・趣味レベルならこんなもんだろう。
2021年公開(or配信)映画を93本(数え間違えてる可能性大)見たってことで「そんなに見てなかった」って感じなんすけど、こん中からトップ10をランキングにしました。(旧作入れたら2021年に見た映画は450本ぐらい)
10位 パーム・スプリングス
今年はループものが僕の知ってる限りでも4本もあって、そのうちの一つ。この4本の中じゃずば抜けてくだらない。・・・が、単純におもろかった(funny)のと、他の方の感想見ると「浅い」とか書かれてたけど僕は深い映画だと思った。長々と感想書くのは面倒だが、ループものって「毎日同じ繰り返し」っていう現代人の生活へのメタファーで「浅い」わけがない!!というループもの贔屓だけどこの映画は、美術、ギャグとかがそういうテーマに関わってくるし何よりループ脱却の方法が全く伏線も何も無い「努力」ってところがすごく良かった。「このままじゃダメって思ってるなら強い意志をもって努力せい!!」って映画のように感じた。まあ気楽に見られて良い映画でした。
9位 アナザーラウンド
今年の個人的ポスター賞。アカデミー外国語映画賞受賞作品。こちらもコメディだけど、『パーム・スプリングス』が爆笑できるのに対してこちらは呆れ笑い的なコメディ。あらすじ見ただけでちょっと興味出るよねって映画でした。これも他の人の感想見ると「酒こわーい」とか「浅い」とか書かれてて、「えーそう?」ってなった。人間って弱い生き物だし、その結果かなり悲惨な結末を招いちゃうんだけど、それでも「人間サイコー」っていうポジティブなラストになっててすごく好きだった。あと、そういった「弱さ」のメタファーでもある「酒」がすげえ美味しそうに撮られてるのもポイント高かった。監督の背景とか知るとなんなら泣ける映画ですらある。あと、デンマークって16歳からお酒飲めるってこと知らなかったので初見時は衝撃的な映画でもあった。
8位 Swallow/スワロウ
元旦に見た映画。良い映画初めでした。主人公の閉塞感、精神的孤立が本当に見てて「痛い痛い」ってなる。色彩なんかもすごく印象的で、ポスター見りゃわかるけど、まあすごくおもろかった。何度でも見たい映画。
特にラストに呑み込むものも一概に何とも言えぬ部分だけど衝撃的だし、それとエンドロールが本当にすごく印象深かったです。2021年いろんな映画見たけど、これを超えるエンドロールはなかったです。元旦にすごいの見た感あった。この翌日に『新感染半島 ファイナルステージ』を見たんすけどね、本当にこの映画のおしゃれスリラーとは程遠い感じに仕上がってて高低差で耳がキーンとなりました。おもろかったけど。
7位 ミッチェル家とマシンの反乱
ソニー・ピクチャーズ・アニメーション制作の映画。いやーとにかく面白くて最高の映画。『スパイダー・バース』、『くもりときどきミートボール』も好きなんだからこれも絶対好きでしょって感じですよね、はい。見たことないものが見られる、しかも超楽しくってソニー・ピクチャーズ・アニメーションは共通してると思うけどご多聞に漏れずこちらもそんな映画だった。むしろ何故もっと話題にならないんだ!!って思ったぐらいの映画です。Netflix入ってるなら絶対見た方がいいです。良いテレビで。
6位 パワー・オブ・ザ・ドッグ
配信に先駆けて、劇場で見た。初見時もなかなか衝撃的な映画だった。で、その後配信で見たら「なんだこれ超おもれ〜〜〜」ってなった。割と二回以上見ることがおすすめの映画でした。話逸れるけど、配信の時代になってこういう何回も見ておもろさがわかってくる感じの映画が増えるのはいいことだな〜って思いました。「Mank/マンク」なんか見返したらマジで最初見た時以上に面白かったしね。アート映画的でもあり、辿って行くとかなりエンタメとしてもおもろくて、それでいて有害な男性性を描いていたりとどれをとってもかなり良い映画でした。決して難しい映画ってわけではないけど、二回以上見るのがおすすめです。「Mank/マンク」は難しい映画だけど。2022年のアカデミー賞候補でもあるし、ネトフリ入ってるなら是非見ときたいところです。
5位 空白
今年は松坂桃李が出てる映画が多くて結構見たけど、本当に演技うまい。『あの頃。』も『孤狼の血LEVE2』もこの作品も共通してるのは「ダメ人間」ってところなんだけど、どれも全然違う役柄なんすよね。いやーすごいなあと思った。監督は吉田恵輔で、『ヒメアノ〜ル』がすっごい好きだったけど個人的にはこの『空白』が最高傑作やなと思った。『BLUE/ブルー』なんかもすっごく良かったけどね。超おもろい映画を今年2本公開してるからすっごい。こういう人生のそれこそ痛ましいほどの不可逆性、後悔を群像劇的に描く監督だと思うんすけど『空白』は本当にそれの最高潮だと思いました。本当に嫌な気持ちにさせられるんだけども、ラストなんかはほんのちょっと希望・・・まあそれも遅いんだけど、ポジティブにもネガティブにも捉えられて「パンドラの箱」みたいなお話だなと思いました。
4位 最後の決闘裁判
個人的にリドリー・スコットって相性悪くて、『ブレード・ランナー』も『悪の法則』もあんまピンと来ず・・・って感じなんすけど、岡田斗司夫さんが「映画IQ」なる概念を紹介してくれてようやくわかった。リドリー・スコットの作る映画IQ高めの映画は僕にはちょっと厳しいかもしれぬって。なるほど宇多丸さんが『悪の法則』を絶賛してるのにピンと来ないはずだと。逆に『オデッセイ』とか映画IQがやや低めの映画はおもろいな〜と思えたんすけど。今作は個人的にはリドリー・スコットの今までの映画の中で一番相性が良かった。映画IQも・・・多分高めなんじゃ・・・多分。まあ何より黒澤明の『羅生門』がかなり好きだったのもあったけど、リドリー・スコットの作家性とも言うべきニーチェ的な「意志」なんかがすごく良くわかる映画でもあった。『ハウス・オブ・グッチ』も楽しみだよね!!ディズニー・プラスで見られるのでおすすめです。長いけど面白いです。
3位 すばらしき世界
『空白』もそうだったけど、2021年は実写邦画が熱かったと思う。『哀愁しんでれら』もかなり楽しく見たけど、多分その後ぐらいにこれ見て確信した。「今年は邦画来てるぞ」と。で、「これはアカデミー外国語映画賞」とるだろうとも思ったし、そうツイートした。その後『ドライブ・マイ・カー』が来たため、この予測が大きく外れた。いや、でもこの映画は結構口揃えて見た人みんな「素晴らしい」って言ってると思うし、2021年の実写邦画が素晴らしいのは割と映画見てる人なら否定する人は少ないんじゃ・・・と思うぐらい象徴的な映画でした。『時計じかけのオレンジ』っぽさがあるんすけど、むしろこっちのが残酷なんじゃないかという人間社会を描いてて相当衝撃というか考えさせられる映画でした。普通にエンタメとしてもおもろいんだけど。役者陣の演技も素晴らしくて、知ってはいたけど改めて役所広司ってあんなにバンバン下らないCM出てるけど世界でもトップクラスの役者だなと感じました。超おすすめ。
2位 ファーザー
アカデミー主演男優賞、脚色賞受賞作品。「アカデミー ポスターで人を騙してる賞」あったら多分それも受賞していると思う。家族愛みたいな映画っぽいポスターしてるけど、なんならスリラー。マジで怖い。
『サウンド・オブ・メタル』とか『ビューティフル・マインド』とか病気を体験する映画はあるけれども、「認知症」って題材はどうしても主観的に描くの難しいでしょ・・・と思ったらこの映画っすよ。いやー本当にすごい。美術、衣装も素晴らしいんだけど、まあ脚本どうなってるの!!?とか。なんといてっもアンソニー・ホプキンスの演技っすね。認知症なんだけど一貫した知性とか感じさせる、そのせいでこの人も観客も混乱してしまうんだけど。これ見る前はアカデミー主演男優賞はチャドウィック・ポーズマンだと誰もが思ってただろうし、正直変な勘ぐりすらしてしまったけど、これ見るとまあ納得の演技でしたね。『マ・レイニーのブラックボトム』も良かったし、チャドウィック・ポーズマンとどちらが優れてるなんて不毛な話ではなく、どっちが受賞してもおかしくないという意味でね。ネトフリで見られるので是非見て欲しい一作です。
1位 ライトハウス
全くおすすめしません。見て「不愉快だった」と言われても困るので・・・。『ファーザー』とどっちが一位かなとすごく迷ったけど、公開日が誕生日に近かったのでこちらにしました。神々しい映画なので誕生日と公開日が近いというのは何かの縁かと。多くは語りませんが、すごい映画でした。本当に見てて不愉快な気持ちになるって意味では最高の映画です。
来年もいっぱい映画見たいです。そのために時間の確保、とりわけ早寝早起きを心がけたいとおもいます。
ランキングに入れようと思ってた映画(10選)
ラスト・ナイト・イン・ソーホー
セイント・モード 狂信
偶然と想像
ベイビー・わるきゅーれ
ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野
プロミシング・ヤング・ウーマン
ノマドランド
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ザ・ホワイトタイガー
街の上で