
あんぽ柿 随想500字
今日のおやつは、あんぽ柿。
生の甘い柿も好きだが、こういった干した柿も格別。むしろ干したほうが好みかもしれない。
あんぽ柿は干し柿の一種ですが、同じ干し柿の市田柿に比べると柔らかく甘みもあるような気がします。
市田柿はやや硬めですが、ねっとり感がある。
同じような干し柿でも食感が違うのが面白い。柿の品種によるのかと思いましたが、製造工程に違いがある。
あんぽ柿は完全に干しきらない状態、まだ水分はあるけど渋みが抜けたところを硫黄で燻蒸させる。これで保存がきくようになる。硫黄は揮発するので毒性はない。
あんぽ柿は福島県が発祥。今回いただいたのは和歌山県かつらぎ町の産。
好みからいえば、あんぽ柿かな。
一度食してみたいのが谷崎潤一郎の『吉野葛』にでる「ずくし」。「熟柿」がなまったのか、究極の干し柿。
柿のまわりの白い粉みたいなものは柿の糖分の結晶化したもの。
むかしある落語で、おしろいつけた古女房をさして「干し柿が…」と言ったもんだから、いまでも干し柿の白いのを見ると、おしろいつけたおばちゃんが一瞬脳裏をよぎる。
でもね、柿も人間もそれくらい年季が入っているほうが魅力的なんですよ。
と、我が田に水を引いてみました。