マガジンのカバー画像

夜雨の名画座

58
鑑賞した映画の記録。旧作多め。
運営しているクリエイター

2024年4月の記事一覧

映画『流れる』(1956)豪華な女優たちで描く花柳界の舞台裏

こんにちわ、唐崎夜雨です。 日曜の夕べは映画のご紹介。今回は昭和31年(1956)の成瀬巳喜男監督作品『流れる』。 原作は幸田 文。幸田文は文豪幸田露伴の娘さん。 幸田文は父露伴の死後、父の思い出を書いて文筆家となりますが、一時期、身分を隠して柳橋の芸者屋に住み込み女中として働きます。 どうしてそうなさったのか存じませんが、小説『流れる』はこのときの実体験から生まれた作品です。 しかしながら昭和30年代はもう芸者の時代ではないようです。銀座のホステスを描いた映画『夜の蝶』

映画『情婦』(1957)アガサ・クリスティの傑作戯曲「検察側の証人」の映画化

こんばんわ、唐崎夜雨です。日曜の夕べは映画のご案内。 このところアガサ・クリスティ原作ものの映画を続けてみているので、今夜もクリスティのミステリーをご案内。 数あるアガサ・クリスティ原作の映画化作品のなかでも、いちばん好きな作品『情婦』です。ミステリーとしても充分堪能できるし、映画としても見ごたえがある。 映画『情婦』は、アガサ・クリスティの戯曲『検察側の証人(原題:Witness for the Prosecution)』が原作。 オリジナルのタイトルも戯曲と同じ『検察

映画『地中海殺人事件』(1982)紺碧の海をコール・ポーターで

こんばんわ、唐崎夜雨です。 これまで夜雨の名画座では、アガサ・クリスティのミステリーを映画化した『オリエント急行殺人事件』(1974)、『ナイル殺人事件』(1978)をみてきましたが、今回はそれに続く作品『地中海殺人事件』(1982)です。謎を解きあかすのはもちろん名探偵エルキュール・ポワロ。 『ナイル殺人事件』と『地中海殺人事件』の間に、アガサ・クリスティーが生んだもうひとりの名探偵ミス・マープルが登場する『鏡は横にひび割れて』が同じプロデューサーによって映画化(邦題『ク

映画『洲崎パラダイス 赤信号』(1956)

日曜の夕べは夜雨の名画座。こんばんわ、このところお休みの日に天気がすぐれない唐崎夜雨です。夜雨の名が悪かったかしら。ということで今日は雨の降る映画をご紹介。 1956(昭和31)年のモノクロ映画『洲崎パラダイス 赤信号』を見る。監督は川島雄三。 上映時間は81分。これくらいの尺は手軽に見られて理想的。 離れられないずるずるべったりな関係の男と女の物語は、長いと重っ苦しくなる。 それと、これくらいの時間だと冗長的なシーンがない。 橋から始まり橋で終わる物語 映画は隅田川

映画『ダンケルク』(2017)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今年のアカデミー賞でクリストファー・ノーランが『オッペンハイマー』で監督賞を受賞。今夜は祝!というわけではなく、クリストファー・ノーラン監督作品の『ダンケルク』(原題:Dunkirk)を見る。 『ダンケルク』は、最近見ていた『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、『空軍大戦略』、『鷲は舞いおりた』と同じく、英国チャーチル首相時代が舞台の作品です。 とりわけ、同じ2017年の映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救っ