マイフェアレディ
あらすじ
ロンドンの下町で花売り娘をするイライザは、言語学者を名乗るヒギンズ教授の失礼な態度に腹を立てながらも、言葉遣いを直せばレディになれるというヒギンズ教授の言葉を信じて住み込みで彼の生徒になる
紳士のピカリング大佐と違って厳しいヒギンズのレッスンに反発しながらも、熱心に言葉遣いの強制の為のレッスンを続けていた
猛練習の甲斐あって上流社会の言葉遣いとマナーを覚えたイライザだったが、ヒギンズ教授とピカリング大佐と共に訪れたアスコット競馬場にてうっかり生まれ育った言葉遣いが出てしまい、ふり出しに戻ってしまう
そしてついに舞踏会の日がやってくる 出会った頃と別人のようなイライザにヒギンズ教授は驚きながらも彼女を従えてトランシルバニア女王が主催する舞踏会へと向かうのだった
(物語の重要な箇所と結末に触れています)
子供の頃に一番好きな映画がこのマイフェアレディでした
ビデオテープを繰り返し繰り返し観た為に台詞を殆ど暗記していたほどでした(そのビデオはテレビ放送を録画したもので、イライザの声を池田昌子さん、ヒギンズ教授を中村正さんがされていたものだったと思います)
今回字幕で久しぶりに観て感じたのは、コメディの部分は本当に面白く、ミュージカルパートは心躍り、そしてストーリーはほろ苦く、大人になって改めて理解出来る台詞や主人公の心情を描いた箇所が沢山ありました
オードリヘップバーンの白鳥のような変身ぶりに溜息しかありませんでしたが、レックスハリソン演じるヒギンズ教授との掛け合いの面白さ、そしてヒギンズ教授の家を飛び出してかつて自分の居場所だった下町を訪ねても、もうそこは自分の居場所ではなくなっていた事を悟った時のオードリーヘップバーンの表情は、観ている多くの人が自分自身の辿ってきた人生をも思い起こさずにはいられない名演だったと思います
子供の頃はヒギンズ教授の良さがわからず、フレディの方がカッコよくて素敵!と思っていましたが、イライザにとって恐らく初めて自分自身に真剣に向き合ってくれたのがヒギンズ教授であり、厳しいけれど信念のある彼の期待に応えようとする中で、少しずつ心の底からかけがいのない存在になっていったのであろう事がイライザの台詞、表情ひとつひとつで伝わってきて、フレディはイライザを賛美してくれているけれど、自分自身を理解してくれている、という所ではヒギンズ教授には及ばなかったのだな、とやっとわかるようになりました
そして今の時代なら男尊女卑的と一刀両断されてしまいそうなヒギンズ教授ですが、ヒギンズ教授も真剣にイライザが自身に向き合ってくるからこそ戸惑いがあり、自分自身の気持ちにも素直に向き合う事の出来ない年齢と経験を重ねた者につきものの一種の頑固さによって、あのような言動になってしまう事を同じように自身も歳を重ねた事によって理解出来るようになりました
バーナードショーの原作ではイライザはヒギンズ教授の元を去ってしまうらしいのですが、この映画以上の感動的な結末は他になかったのではないかと思います
改めて観ると、ヒギンズとイライザが出会った場所もフレディがイライザを想って歌う街並みも全てセットなんですよね…凄いなぁ
個人的には何回観てもアスコット競馬場のぶつかりそうになっても優雅に回避しちゃうミュージカルパートが大好きです
長い映画だから、とかミュージカルは苦手だから、とか敬遠せずにぜひぜひ観て欲しい素晴らしい映画です
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