全てを放り投げて人生をやり直したい
今回は「全てを放り投げて」「人生をやりなおす」ことを切望される33歳のお嬢さんからのご相談。単調な事務仕事。無能なくせに居丈高に振る舞う上司(無能だからそうするのですが......)、ムダにマウンティングを取りに来る同僚。そしてあなたの元を去った恋人……
いや、人生山あり谷あり林ゆりですね。
食欲の秋、お悩みの秋。まずはご相談文から。
全てを放り投げて遠い場所へ行ってしまいたい。
そう思っている人は、実はものすごく多い。そしてその内のごく少数の人は(本当にごくごく少数です。感覚的には50人に一人くらいの割合です)、勇猛果敢にそれを実行に移します。
会社を辞め、遠くに引っ越し(なぜか九州方面が多い)、人間関係を遮断し、それこそ人生をイチからやり直そうと奮闘努力しているのですが、後日譚を聞くと、上手く行っているケースは殆ど無い。移住先で浮いてしまったり、所得が5分の1に落ち込んで貧乏生活になったり、子供が酷いイジメに遭って不登校になったり.......。「こんな事ならそのまま東京にいたほうが良かった」と後悔している人が多いんです。
いや、移住や転職じたいは良いんですよ。私だって3回転職していますからね。でも「人間関係の遮断」、これは良くない。
人との関係性って、積み木のようにコツコツと積み上げて行くものです。
33歳ともなると、かなりの高さまで積み上がっていると思うのですが、それをオリャーと蹴り倒して、またイチから積み直そうと言うのですから、これは大変です。33年積み立ててきた定期預金を捨ててしまうのと一緒です。いや、お金なら大儲けして一発逆転のチャンスも無くは無いですが、人間関係の場合はそれが無い。こればかりは絶対に無い。一発でガサっと人間関係、友人関係を構築することは絶対にできません。
「全てを放り投げて」。こう聞くと何か潔いようにも思えますが、その「全て」の中には遮断するべきではない「人」や「組織」や「物事」がたくさんありますよね。冷静になって考えてみて下さい。あなたが捨てようという「全て」の中身は、実は「捨てるべきではない大切なもの」の方が圧倒的に多い。
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