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Fender Player LEAD3の配線改造(コイルタップ時の使用ボビン変更)
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今回はFender社のPlayer LEAD3の配線改造に関する記事です。
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画像はPlayer LEAD3のピックガードの表裏です。搭載されているのはPlayer Series Alnico 2 Humbucking Pickupで、ネックピックアップではネック側ボビンにアジャスタブルポールピースが配置されていますが、ブリッジピックアップではブリッジ側です。
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配線を確認するとアジャスタブルポールピース側のボビンからは赤と白の線が、反対のボビンからは黒と緑の線が出ています。2つのボビンは黒と白が結線されることで直列接続のハムバッキング構造となりますが、出力(HOT)として用いられるのはネックピックアップでは緑、ブリッジピックアップでは赤の線です。
また、どちらも黒と白の結線部をアースに落とすことでコイルタップの状態となりますが、その際には画像向かって右の模式図の通り、いずれにおいてもブリッジ寄りのボビンが「生きる」ことになります。
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上の画像はオリジナルのLEAD3における切り替えスイッチの解説ですが、これはPlayer LEAD3とも共通しています。
2つのスイッチのうち、ネック寄りのが3ポジションのピックアップセレクターで、ブリッジ寄りの3ポジションスイッチはセンターで両方のピックアップともタップなしの所謂2H状態。ネック側に倒すとネック(rhythm)ピックアップがタップされたSH状態です。そしてブリッジ方向に倒すとブリッジ(lead)ピックアップがタップされたHS状態となります。
オリジナルLEAD3においても、コイルタップ時にはブリッジ側ボビンが「生きる」仕様であり、前述の通りPlayer LEAD3にも受け継がれています。
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Fender社が何故この仕様としたのかは不明ですが、個人的にはコイルタップの際にブリッジ側ボビンを選択したときの音はあまり好きではありません。特にブリッジピックアップではか細く感じます。そこで配線改造を思い立ちました。
具体的には両方のピックアップでHOTを入れ替えるわけですが、Player LEADシリーズに用いられているスイッチはあまり丈夫ではありません。そこで、ピックアップ側での配線入れ替えとしました。上の画像で分かる通りPlayer Series Alnico 2 Humbucking Pickupの各ボビンには配線接続用の端子が備えられており、配線材はこの端子にハンダ付けされています。端子部での配線変更はピックガードからピックアップを外す必要もなく簡単に行なえます。
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まず、緑と赤の線を端子から外します。この際にハンダゴテで端子を加熱しすぎると、プラスチック製のボビン内で端子がぐらついてしまい故障の原因となりますので注意が必要です。
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外した線を入れ替え、再度ハンダ付けをして終了です。
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改造前後の比較です。どちらのピックアップにおいても赤と緑の線を入れ替えたことがわかります。
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画像向かって右の模式図で比較すると、改造後はいずれにおいてコイルタップの際にネック側ボビンが「生きる」ことになります。
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ネックピックアップではネック側ボビンの位置は仮想24フレットの位置であり、Stratocasterのネックピックアップと同じ位置になります。また、ブリッジピックアップではネック側ボビンがStratocasterのブリッジピックアップ6弦側とほぼ同じ位置になります。理論的には改造前よりも倍音構成において基音の割合が増し、出音はやや「丸く」「太く」感じられます。ブリッジピックアップではこの「太さ」がよい感じです。また、ネックピックアップでは馴染みの音というか知ってる音というか、そこに近づいたと感じました。
改造は故障の可能性もあるため、手放しでお勧めできるものではありませんが、試行のハードルは低めだと思います。Player LEAD3のコイルタップ時の音色があまり好みではない場合、解決方法の一つであると言えます。
【了】