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シンガポール人に聞いてみた!日本の動画広告ってどう見えているの?

【私たちについて】
クリエイター専門のマネジメントを提供している「株式会社フェローズ」の初の海外拠点として設立された、Fellows Creative Staff Singapore(フェローズシンガポール)

シンガポールで培った独自のネットワークと知見を活かし、シンガポール在住のクリエイティブ人材や、各業界の専門性を持ったエキスパートとの出会いを実現し、日本企業のシンガポール進出をサポートします。

また、シンガポールの優秀な人材、クリエイティブ人材探し、シンガポールへ進出といった「ご縁」をつないでほしいという相談は、弊社XのDMやHPから受け付けています✉


「実際のところ、海外からの旅行客って日本の広告を見た時にどういう印象を持つのだろう?」

直近インバウンドや海外進出などを軸に記事を執筆してきて、こんな疑問が出てきました。これまで、この疑問については、そこまで深掘りできていないと思います。
ならば「直接インタビューしてみよう!」というのが今回のコラム。直接シンガポールのクリエイターに話を聞くことで、よりインサイトフルな記事で読者である制作クリエイターやクリエイティブ系企業、企業の中のクリエイティブやマーケティングに関わる方々が読んで、気づきとなる内容にできればと思います。

※逆バージョンもインタビューを行いました。併せて読んでみると、日本とシンガポールの動画広告がどんな違いがあり、お互いどう感じているか知れ、とても面白いと思います。




仮説:クリエイティブの感性は国によって違う

日本の広告をはじめとしたクリエイティブコンテンツを見た時、感じ取るものが日本人と外国人では違うと思うのです。だって、育った環境が違うし、ビジネス環境も同じじゃないから。そしてもっと言えば国ごとにこれって違うのでは?と思います。

マーケティングに関わる方々は、インバウンド向け、あるいは海外向けに、コストをかけて調査をしながら、自社コンテンツのグローバル化やローカライズを進めている・進めようとしているのではないかと思います。その時、定量的な調査は、調査会社に頼めば数値が出ると思いますが、定性的な調査=リアルな声を聞く・深掘りして取材していくことは難しいのではないかと思うんです。

今回は私が自社ネットワークを活かしてシンガポールに住むシンガポール人および外国籍の人たちに定性調査=デプスインタビューを実施し、そこから得られるインサイトをこのコラムでシェアします!そして、読者のみなさまに、リアルな声の大事さを伝えられればと思います。


調査内容と結果まとめ

でどうやろうかと考えましたが、最新の日本のクリエイティブコンテンツで、日本人から評価を受けているもので、日本語で作られているけどシンガポール人でもギリギリ理解できるものは動画だと考えました。そこで、2023年に某有名広告賞でグランプリをとった動画広告を見てどう思うか、20人のシンガポール人に聞いてみました!

ちなみにこの動画広告は、こちら。

・某食品メーカー
・ある主人公の高校生の大学受験から合格発表までのストーリーを描く
・スマホ側からの視点というユニークな手法で、受験期間中の主人公の喜怒哀楽の表情を映している
・実際の商品については劇中に出てくる程度でフューチャーされていない
・全編日本語で、英語字幕なし


質問は「How do you feel when you see this film advertisement?(この動画広告を見てどのように感じますか?)」として、まずは3つの項目に分けて感想を聞いてみました!

・日本の広告を見て、クリエイティブだと思うか(5段階)
・コンテンツはどれくらい理解できるか(5段階)
・コンテンツはシンガポールの人々に受け入れられやすいか(5段階)

すると、興味深い結果が得られました!


この動画広告について約8割の回答者が「クリエイティブ〜とてもクリエイティブ」という評価をしている一方で、約6割の回答者が「理解できない〜理解するのが難しい」という評価。
そして「シンガポールの人々に受け入れられそうか」に関しては、受け入れられそうという評価もあるものの大半は受け入れにくい、受け入れられないという評価。

うーん!私としては日本のクリエイティブは「もっと受け入れられている」と思っていただけに、少し残念な結果でもありながら、やはり日本人のクリエイティブの感性は「シンガポール人にも評価される」ということがわかりました。興味深い反応は次の項でまとめていますが、直接取材をしてみた私が感じたのは、「こういった動画広告はシンガポールではあまり目にしない!」と新鮮な気持ちで見てくれていた事です。今回の動画広告は商品が劇中にさりげなく出てくるため、一見すると「何の広告だろう?」と日本人の私でも思いましたし、スマホ自体が主人公の受験生活を覗きながらある種見守っているというストーリーは良くも悪くも「出て来づらい」発想なんだと感じました。


どのようなインサイトが得られたか

では、いくつか取材をしたなかで回答者からいただいた興味深い返答を、ピックアップし画像にまとめて紹介しつつ、私の感じたことをさらに深くコメントしてみます!

コーポレートセクレタリー(会社秘書役)/30代女性

そう!字幕をつければ字幕で理解できますが、冒頭に書いたように「クリエイティブの感性は国によって異なる」ことを検証したかったので、あえて今回は字幕無しで見てもらいました。120秒の動画と挿入歌をメインにどこまで伝わるかと思いましたが、彼女はすごくクリエイティブだと感じてくれたよう。しかも「電話が私の人生を見ている」という、特に説明がされていない中でも理解して楽しんでくれたみたい。


コピーライター/40代男性

彼はシンガポール人でありオーストラリアの大学でメディアコミュニケーションを学んだコピーライター。クリエイティブに身を置く彼なりのコメントで、一言だけどなるほどと思わせられました。その地域のコンテキスト(文脈)なしのまま再現できるか=受け入れられるコンテンツとなり得るか。ここでいう「地域のコンテキスト」とは文化や生活習慣、宗教、ビジネス環境を指すと教えてくれました。うーん、深い。この辺りの感覚を大事にしている彼だからこそ、客観的なコメントをしてくれたように思いました。私としては悲観的に捉えているということは全くなくて、むしろ日本人として彼のようなシンガポール人クリエイターと関わることでもっと勉強できることがあると感じましたね。


ソフトウェア企業 創業者/30代男性

彼は私がシンガポールに来て少し経った頃に出会いました。彼の会社が作るプロダクトは、非接触のデジタル名刺なのですが結構UI/UXにこだわっているので、彼自身もクリエイティブに対する感度が高いと思っています。彼は、前半はポジティブな意見をしてくれつつ、後半は理解しづらかったことを教えてくれました。「プラットフォームにはライフスタイルの要素がある」とはつまり、彼が知らない生活様式がストーリーの裏側に隠されていて、それを読み解くのが難しいということでした。動画内で紡がれているストーリーがシンガポールではあまり見ることがないため少し困惑したのでしょう。ただ、逆に言えばクリエイティブは評価してくれているので、シンガポールのコンテキストで作り直すことができればきっと受け入れられるのでしょう。大事なことは「どう見せるか」の前に、「シンガポールのライフスタイルとして適切か」を考えることですね。


デジタルマーケティングマネージャー/30代男性

これもなかなかおもしろいコメントで、取り上げずにはいられません!彼は私が特に仲良くしているシンガポール人のデジタルマーケティングマネージャーの男性。彼はなんと「シンガポールの広告は本当に退屈で人間味が欠けています」と断言!一方で客観的な意見として、「単にマーケティングするだけではなく、非常に新しい視点を提供している」と日本人として嬉しくなるコメント。彼曰く、シンガポールの多くの広告は、商品説明が主な内容でストーリー性を含むものが少ないとのこと。日本をはじめ海外の広告では、ストーリー性がある興味深い広告を目にするのに、どうしてシンガポールは少ないのだろうと溢していました。


日本人のクリエイティブの感性はシンガポール人にも評価される!
よりターゲット国に受け入れられるクリエイティブコンテンツを現地クリエイターと共に作ろう!

最後の彼との会話はこの後も続き、面白いことを言っていたので紹介します。

日本が好きで勉強熱心な彼はよく日本のコンテンツを見ていると言うことですが、シンガポールにはない「アニメキャラクター」を広告に使い、さらにそのキャラクターをアニメのストーリーを超えて現実にある食べ物を食べさせる姿を見せることに衝撃を感じたそうです。あるものとあるものを組み合わせて新しいコンテンツを作るというのは日本人の得意なことかもしれないし、まさかそんな発想があったとは!と思わせる力は相当高いのかもしれません!日頃、私やみなさんは見慣れてしまっている広告の数々ですが、その多くにクリエイティブな工夫が詰め込まれているのでしょう。

しかし今回の調査で分かったように、ターゲット国のコンテキスト(文脈)を知らずして受け入れられるコンテンツは作れない。そしてそれは今回実施したような現地の人々のリアルな声を聞くことで分かったことです。

私はこれまで「ターゲット国向けクリエイティブは現地のクリエイターに依頼しよう」と提案してきましたが、調査を通じて、考えをさらにアップグレードできました!「ターゲット国のクリエイターと、日本人クリエイターが共に作る」ことで、より良いクリエイティブが生まれていくのではないでしょうか。

日本企業と現地クリエイターが協力することもあれば、日本企業と現地のクリエイティブチームが協力することもあるかもしれない。

いろんな組み合わせが想像できる中で、どの“座組”であれ事前ヒアリングから具体的な候補の紹介、打ち合わせ・面接設定、契約書や支払いといった「越境で行うからこそさらに心配な部分」をサポートすることが、フェローズシンガポールにはできます!

ぜひ今回のコラムを通じて、シンガポールや東南アジアへの進出可能性を模索していきたい企業様やクリエイター様がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。




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