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キッチンペーパーで鼻をかむ
先日、いつもの日課となっているテレビドラマ『NCIS』を観ていた。
とあるシーンで、主役の俳優さんが泣いている女性にキッチンペーパーを手渡していた(涙を吹いてね、と)。なんてことないシーンなんだけれど、わたしにはなんとも懐かしさを覚える場面でニヤッとしてしまった。
日本の一般家庭では箱のティッシュペーパーがあって、場合によっては各部屋にひとつずつあってもそれほど違和感はないと思う。それがあたりまえと思って育ってきたわたしは、イギリスに留学したときに
『家にボックスティッシュがない』
ことはとても不思議な感じがしたものだった。
ティッシュがない、というか貴重なものだというのはおそらく
出国前にきいていて、自分が必要なぶんはポケットティッシュを持っていった記憶がある。ただ、実際留学中にティッシュに困ったという記憶はない。
あちらの生活になじんでくると、自然と使わなくてもすむことが多かった。
ティッシュの代わりによく使っていたのが、キッチンペーパー。料理の時に使うだけではないのですね…。
冒頭にあげた、ドラマ中にもあったように
「泣いたときに涙や鼻水をふく」
は、わたしにとっては日常茶飯事だった。
30年前の留学中のことを思い返してみると、イベント的なもの以外では日々の生活でよく「泣いていた」ことがかなり印象に残っている。
そんなに悲しかった?というわけではないはずなんだけど、なんだかよく泣いた。それはいつも、家のリビングやキッチンで、ホストマザーとおしゃべりしているとき。
泣いてるときって、どうしたって冷静ではいられないし、手元にハンカチがあるとも限らなくて
そんなときはよくMamがキッチンへいってキッチンペーパーを何枚か持ってきてくれたり、「ほら、鼻をかみなさい」とキッチンペーパーを勧めてくれる場面が多くあった。
日本だと間違いなく、ティッシュだよね
という場面で、キッチンペーパー。
最初は、え? キッチンペーパーで鼻をかめってこと? 冗談でしょ?
と思ったけど、普通のコトのようだった。
ちなみに、鼻水がでたときにすする(吸い込む)のは最悪で、ブロウ(吹く、出す)するのが一般的のよう。人前で鼻水がでてしまったとき、日本だと人前で鼻をかむのは恥ずかしいことだったりするけど、あちらでは人前で鼻をかむのは「出てきたのだからふき取りますね」くらいの感じだと思う。
いちばん泣いたのは、間違いなく10ヶ月のステイが終わって最終日の朝。ファミリーと最後のお別れの瞬間は涙が止まらなくて、もうどうしようもなくなっていた。我が家はMamが地域のコーディネーターをしていたので、大きなcoach(バス)が家の前まで迎えにきて、たくさんのファミリーたちとその生徒のお別れの瞬間。あちこちで目を赤く腫らした日本人学生たち。
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今の時代とちがって、いちど帰国したら次はいつ会えるかも分からないし、国際電話もバカ高くて話もできないのが悲しくて悲しくて。そんな気持ちでいっぱいだった。(現代なら、空港を出る直前にLINEなんかしてそうだし、日本に到着してするにビデオ通話してそうだなぁ…)
そして手にはくしゃくしゃになったキッチンペーパー(もたぶんあったはず)。
そんな昔のコトを懐かしく思いだしたワンシーンでした。
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