ドラゴンズドグマ2 最速インプレ
プレイタイム10時間程度の話
前作はオープニングだけ触りました
■総評
8 / 10
令和6年のゲームにしてはびっくりするほど粗がある。
自立稼働のNPC3人を連れ歩く疑似パーティーゲームなのにNPCが足を踏み外してボトボト落下死したり、少ないセリフで同じことを延々聞かされたり…
最適化不足やセーブデータ周りの危うい仕様もそう
が、デザインが真摯なのでそれらの粗を「まあそれはそうなんだけどさ」と横に置いておける程度には好感が持てる。インタビュー記事が大量に出ているので読めばわかるんだけど、「これが面白いと思って作ってます」というのがしっかり伝わってくる。
黒シャツ腕組みオヤジが作ったラーメンを食ってる気分になるゲームだな……と思いながらプレイしています。店はちょっと汚いんだけどラーメンはまあまあに美味しいですよ
■ポーンについて
プレイヤーキャラクターに付き従うオトモアイルー。
自作のポーンは「メインポーン」となり、死んでいる状態で意図的に放置しない限りは常にパーティーに所属した状態となる。
そしてパーティーの残り2枠には、「見知らぬ他のプレイヤーが作成したメインポーン」を加えることができる。
このような形で雇用できる他人のポーンは「並行世界で別の覚者に仕えているが、より世界に対する知識をつけるためにこちらの世界に修行にやってきた」という設定(たしかそう)なので、借りてきたポーンがプレイヤーが受けているクエストを既にクリアしていたり、近くの宝箱を見つけている場合、提案して道案内をしてくれるというかなり面白い仕様になっている。
自分のメインポーンが誰かに借りられた場合、宿屋に泊まることで結果報告をざっくりと聞くことができる。プレイヤーキャラクターが他人の目に触れることはないけれど、メインポーンは人様のオープンワールドゲームにお邪魔することになるので、プレイヤーよりも余程見た目と装備に気を使う。
レンジャータイツ(タイツとは名ばかりの殆ど下着みたいな脚装備)履かせておくので俺のポーンを借りてください ポーンIDは「WNFH6YFVKEAY」です
4キャラクターで戦うことを前提としたゲームバランスになっているため、戦闘では「あんまりポーンに活躍されると困るので意図的に敵とにらみ合いをする」みたいな「大人の都合」によるふざけたモーションは取らず、ほぼ間断なく戦い続けてしっかり役に立ってくれる。
ただ、移動パスが若干おかしいのかプレイヤーがアクロバティックな経路で移動すると、とんでもないところから飛び降りてそのまま死んだりする。
■戦闘
相当治安が悪い地域のようで、ゴブリン・ハーピー・リザードマン・野盗が首都圏のコンビニくらいの間隔でたむろしている。「さっきから敵がいなくて暇だな…」といったことにはならない。むしろほぼずっと戦闘しっぱなしになる。
攻撃面では味方のポーンが割と強いので雑魚相手であればそんなに苦労はしないが、回避コマンドが無いので位置取りとガードはしっかりやらないとあっという間にHPを削られてしまう。特に味方の後衛ポーンは回避行動のAIが弱いのか肉薄された場合に攻撃をそのまま受けがちで、前衛が意識的に敵のターゲットを取る必要がある。
パーティー構成はかなり自由が効くものの、序盤であれば設置型ヒールスペルを持つメイジを一人は加入させておきたい。MPが存在せず(たぶん)、ヒールスペルは使い放題なので、メイジがいるだけで回復アイテムを大幅に節約できる。
中型~のモンスターもそのへんをうろうろしていて、最初の都市周辺ですらミノタウロスやトロールとエンカウントすることがある。最悪空を散歩しているグリフィンが降りてくることもあり、こいつらは雑魚とは桁違いに強い(といってもソウルライクみたいな全モーション見切ってね、無理なら死ねば?みたいな苛烈な動きはしてこない。そんなことされたらプレイヤーはともかく仲間のHPがいくらあっても足りないので)。
特にHPの低い後衛ジョブでプレイしている場合は大振りの強攻撃一撃で即死級のダメージを受けるため、非常に緊迫した戦いになると思われる。
プレイヤーキャラクターが死んでしまうと即座にゲームオーバーなので、最低でも一撃耐えられるように防具を揃えたいところ。ちなみにダメージを食らってしまうと、回復しても最大HPが一時的に減ってしまう(削れたゲージは宿屋・野営で回復)ため、本当にギリギリで生き残った場合次は無い。撤退判断はお早めに
■オープンワールド
事前情報通り、ファストトラベルアイテムが1個10000ゴールドとそれなりに重たく制限されている。クエストを1つこなして数千ゴールド程度の収入なので気軽にファストトラベルをしていると一瞬で破産する。
そりゃもちろん不便なんだけど、「そんなのはわかった上でそのように設定したいからしている」というのは伝わってくるので、あとは単純にgood for meかnot for meかのどちらかでしかないと思う。
そういえば最近、プレイタイム稼ぎたいヨォ~~~~~かさ増ししたいヨォ~~~~~というオジサンたちの「ご都合」でミニゲームたくさん並べまくったタイトルがありましたね 空虚なソウルレスゲームです おもしろいゲームつくりたいなァ… じゃあゴールドソーサーやめたら? ゴールドソーサーやめたらうすっぺらで死んじゃうよォ!!
知らんわそんなの こっちはディレクターのご都合を買ってるんじゃなくて開発者の意志を買ってるんだ
閑話休題
フィールドには野営可能なポイントがそこそこ頻繁に設置されているので、適宜野営をしつつ目的地へまっすぐ向かうのであれば「夜闇とモンスターにビビりながら深夜の強行軍」みたいなことには早々ならない。しかしそこはオープンワールドなので、まっすぐ現地へ向かおうとしても予定していない洞窟探索(これがまた結構広い上に敵がわんさか詰まっていて探索には時間がかかる)などがバンバン挟まってくる。
戦闘を重ねてじんわりと減った最大HP、すっかり沈んだ太陽、目的地に向かってまだ見ぬ野営地を探すか、安全を取って既知の野営地に戻るか、それとも虎の子のファストトラベルアイテムを使って帰還するか……
オープンワールドゲームならこういうので悩みたいよね~というディレクターの意志がしっかりと伝わってくる、良い作りだと思いました。
硬派なデザインは所持重量の厳しさにも現れていて、各キャラが所持できる重量は装備品込みで概ね30kg前後。それはまあそんなものかなって思いますよね。バルダーズ・ゲート3みたいに軽トラバーバリアンが400kgとか運んでくれたりはしないんだ
じゃあ、実際の荷物だけど……まず武器が2kgで、盾が1.5kgで、軽鎧が2kgで、脚鎧が2kgで、マントが700gで……野営道具が……6kg!?!?!?!??
ウルトラライトギア(めっちゃ軽いアウトドア用品のことです)は!?!!?そんなのない!!!!!!!?
30kg持てると言っても、身体的パフォーマンスを最大限発揮するには荷物を重量限界の数分の一に抑える必要があり、これが限界ギリギリになると移動速度が大幅に下がり、走れば即スタミナ切れとひどいことになってしまう(一応移動・戦闘できる程度の速度は維持されるけど、長距離の行軍はかなり厳しい)。遠出すると大量のアイテムが手に入るので、「とりあえず手持ちのポーション・食料品全部携行しよ あと武器もいくつか持って……」みたいな杜撰なアイテム管理は許されない。
荷物がいっぱいになってくると、嬉しいはずのレア宝箱も「すげえ重たい武器とか鎧が入ってたらどうしよ……」と思いながら開けることになるあたりかなりよくできている。
■セーブデータと有料コンテンツ
なんかごにゃごにゃ揉めている話
・「セーブデータを作成するとニューゲームが選択できなくなる」
PS5版ならデータ消せばいいだけだと思うけど、Steam版だとクラウドに保存されるから結構厄介そうな仕組み。キャラの再作成アイテムは普通にゲーム内で売られているので、実際に困るのはRTA走者くらいだと思うんだけどね
・「オートセーブデータが1つ、宿屋に泊まった際に生成される"セーフなデータ"が1つっきり」
これは結構恐ろしい仕様
何が恐ろしいって
「なんか選んだらどこからでも宿に戻れそうな選択肢」が普通に並んでいるんだけど、これは「オートセーブデータを破棄して最後に宿に泊まった時に作成された安全な"セーフ"データから再開する」という意味であり、詰み防止の選択肢でしかないこと。
宿代は2000goldとぼちぼちなお値段なので、開始直後にタダで泊めてもらって以降ケチりにケチりまくって野営で済ませていると、この自爆スイッチが事実上ゲームデータの消去とほぼイコールとなってしまう。
選んだ時にどのようなメッセージが表示されるのかは知らないけれど、ツイッター上でこれを選んで大幅に巻き戻されたプレイヤーが散見されるので、まあ、「スマホを電子レンジで充電できるようになるアプリ」よりは危険かなとは思います。このゲームの文脈を見ればそんなポンポン長距離移動できるような便利な選択肢があるわけないって気付けるでしょ、とも思うけど、それはオタクの発想なので……
ちなみにオートセーブはタイミングを選ばないっぽいので「死んでゲームオーバーが表示される直前」に挟まれることもあるらしく、宿屋セーブは思った以上に重要な模様 いやでもこれは流石に不具合だろ