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初めて異性と向き合って知った、お金のことと、性のこと。

お金と性は、人間の2大タブートピック。

興味があっても口にすることは難しく、ナイーブな問題を孕んでいる。
でも、より良く生きようとしたら、この2つのトピックから避けていることは難しい。

誰かと生活を共にしたり、仲を深めようとしたら尚更。カッコつけている場合ではない。

そんなこと、わかってはいる。けど、なかなか「ちゃんと」パートナーと話し合えなかった。

だって、話し合うってことは、相手だけじゃなく、私のことも開示しなくちゃいけないから。

お金と性。

一見、共通点がないように思える2つのテーマだけど、パートナーとの関係性を俯瞰した時、巧妙に絡み合っていることに気づく。

私の場合、今のパートナーと経済的価値観が合わず、身体を預けることも、目を合わせることさえ嫌になったことがある。


だからこそ、今度はちゃんと話し合わなくちゃいけない。


そんな風に感じていたのは、妊娠以降。
収入と反比例して、家賃、生活費、妊婦健診などの費用や家事のサポートをしないパートナーにイライラしていた私は思った。

妊娠した今、ただでさえ肉体的に参っているのに、


オマエは経済的に私をフォローしよう、したいとは思わないのか?????


▼この話はこちらの話の続きとなります。


そんな不満が蓄積され、いつ噴火してもおかしくない状況になった。

パートナーに頼らなくとも1人で生きていける力を付けた今、どうしてこんなことでイライラしているのだろう?

彼がいる。
彼が存在してくれている。

ただ、それだけでありがたい。

それは本心なんだけど、それ以上に彼を「男として」、「夫として」、「パートナーとして」期待してしまう。

男でしょう?
それくらい払ってよ!

何度も口から出かかった言葉を呑み込み洗濯を干し、掃除をして、妊婦健診へ向かい、買い物して、夕飯を作る。

最初から1人で産んで、育てるのであれば、こんな日常に不満はない。
期待する人間がいないのであれば、淡々とすべきことをこなせば良いのだ。

だったら潔く1人で産み、育てた方が良い。

このまま赤ちゃんを無事産むことが出来ても、彼と、男性と、誰かと一緒に生き、育てていく。そのことに自信が持てない。

妊娠してから、どんどん変化していく私のメスの体と心。
それに比べ、何も変わらないパートナー。

オスとしてではなく、彼自身として生き続けるその姿勢にイラついていた。


やっぱり、私には無理だ。


赤ちゃんの羊水検査の結果を待つ間、いろいろなことが頭をよぎり、出産して子育てするハードルがますます高く感じた。

そんな時、受け取ったラインのメッセージには、家賃の更新料を半分支払って欲しいという内容が書かれていた。

妊娠した以降も家賃を含む生活費に加え、妊娠健診や羊水検査についても全て支払っている私は、彼からのメッセージを読み硬直した。



お前は、私が今、どのような状況にあるのか、理解しているのか?


彼と同棲、結婚、妊娠、出産するまで、私が支払ってきた諸々の費用や労働力に比べ、家賃の更新料なんて、あまりにもチッポケなものじゃないか。

それなのに、家賃の更新料半額を私に支払えだと???


メッセージを読み、怒りの沸点が一瞬でエベレスト級に上り詰めた。

イコールどころじゃない。彼の知らないところでしてきた数々の経済的、精神的負担を、この人は全然わかってない!!!

その瞬間、男として彼に対する興味が一瞬で消え失せた。(性欲も含む)

贅沢をしているとは思わないが、彼の生活ぶりを身近で見てきて、家賃の更新料が支払えない状況にあるとは思えない。

そして、まさか自分が請求できずにいる諸々の費用を差し置いて、彼からお金を催促されるなんてことが信じられなかった。

フリーランスとして働くパートナーの収入を把握せず籍を入れた自分にも非はある。でも、冒頭に書いた通り、彼に収入のことを聞くことは、自分の情報も開示することに繋がるので、何となく聞けずにいた。

私がお金の話を避けたかった理由は色々あるけれど、もしも、女性の私が男性より収入が多い場合、男のプライドを潰し兼ねないと思い込んでいたからだと思う。


女は男を立たせる必要がある。
だから、女は男性より稼いじゃいけない。

こんな思い込みがあるせいで、男性とデートに行って奢られると、何とも居心地悪く、自分を安売りしてしまう。
しかし、割り勘にしたらしたで、異性として男性を見れなくなってしまう。

男性と同じように働かなくちゃ! という社会的プレッシャーとコンプレックス。
そして、女性は男性より稼いだらモテない、男性を傷つけてしまう、というダブルバインドに押し潰されながら、ここ数年、自分の枠を広げ獲得したものは大きい。

しかし、私のパートナーシップに関する思考は相変わらず。
彼との関係性を気にするあまり、お金の話題は避けてきた。

お財布はもちろん別。
生活費も半分。
自分の時間を大切に。

あなたはあなた。
私はわたし。

お互いが共有するのは、一緒にいた時間に練り込まれた思い出だけ。
共有資産も、結婚指輪も、何もない。持たない関係性は時として悲しい時もあったけれど、後腐れは一歳ない。

嫌だったら、すぐに別れられる。
そんな彼と付き合うのは気楽なもので、居心地が良かった。

でも、今私のお腹を蹴っているのは、彼と私の赤ちゃんで、一緒に過ごす時間と共に増えていくのは思い出だけじゃ済まなくなってきた。


そもそも更新料を「払えない」とは、「払いたくない」の?
それとも「払えない」の?

同じ「払えない」でも、全く意味が違ってくるため、ちゃんと話を聞く必要がある。

私も負担はしているが、今の家賃が彼にとって高すぎるのであれば引っ越す必要も出てくるし、これから出産、育児も控えている。

彼に頼ることも出てくるのに、これからの生活は大丈夫なのだろうか?
ただ感情をぶつけるのではなく、お金についてオープンに話し合うことは物凄く居心地が悪く、怖かった。

でも、勇気を振り絞り、彼の経済状況、そして収入の内訳を聞いた。

そしてわかったのは、彼は支払いたくないワケじゃなく、払いたかったけど、払えなかった。
男だけど、できない状況にあったということ。

もちろん、一度の話し合いで全て話せた訳じゃないから、わからないこともある。

でも、彼の友達と比べてしまったこと。
結婚式、新婚旅行をしていないこと。結婚指輪をねだったこと。

してくれない彼に代わって、私がしてきたこと。

私が「出来る」ことを女性がゆえに隠してきたように、彼は「出来ない」ことを男性がゆえに隠してきたのかもしれない。

今まで私がブチ撒けてきた経済的不満を、彼はどんな気持ちで聞いていたのか。どんな気持ちで私と一緒にいたのだろう?

そんな彼の気持ちを想像して、私は自分の傲慢さを反省した。


「出来ない」って言うことも、「出来る」と言うことも、どれほど自分を傷つけるのか理解しているつもりだから。

そして悟った。

今の状況を乗り越えるには、「女」の私が「男」のパートナーより稼ぎ、収入があることを自分自身で認め、許す必要がある、と。

それは、女として男性に守られたかった自分を捨てること。
女でも男より稼げること、強くなれることを認め、前進する意味を持つ。

経済的に守ってくれた父を「男として」基準にしてきた自分。
そんな父を慕い、寄り添ってきた母を「女として」基準にしてきた自分。

そんな思い込みを解き放ち、2人にとって居心地のいい距離感や関係性を築くための話し合いだった。

「女」でも「男」でもなく、1人の人間として、どうお互い付き合っていくか選択する行為は、私が幼い頃に散々耳にし、見てきた「幸せにしてもらう」結婚生活とは違う。

わたしが私として生きていくための通過儀礼だってことに気が付いた。

みんな違う、パートナーシップの形。

そのためにも、私も言わなくちゃ。
彼に伝えなくちゃ。
自分で認めなくちゃ。
気づかなくちゃいけないことが沢山ある。

女だからって弱くて出来ないワケじゃない。

私だって強いし、私だって出来るし、私だって払えるし、私だってあなたを守りたいし、守れるってこと。

そして、彼は私が目にし、耳にしてきたような女性より上になるために暴力を振るう祖父のような男性じゃないことはわかっている。

だから、どうしたらいいか話し合おう。
向き合おう。
素直になろう。

出来ない時は、お互い様。
散々悩んで、彼と「夫婦」という形でチームを作ることにしたのだ。
これから、新しいメンバーも産まれてくる。

そのためにも、私は自分の弱さを、そして強さを認めようと思った。



しかし……



羊水検査の陰性結果を経て妊娠生活を継続、男の子を無事出産した私は、またしても自分の本音と向き合うことになった。


続きますん・・・



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詢川 華子(じゅんかわ はなこ)
「性、ジェンダーを通して自分を知る。世界を知る」をテーマに発信しています^^ 明るく、楽しく健康的に。 わたし達の性を語ろう〜✨

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