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改めて回線品質がゲーム体験に及ぼす影響について

なんかまた振られたので私見を残しておきます。最初に断っておきますが、これはあらゆる情報から考察して導き出した私の答えであり、真である保証はどこにもありません。信じるか信じないかはアナタ次第と言うことで。


きっかけはこちらの記事

まずもう10年も前の古い記事ですが、きっかけとなった記事を貼り付けておきます。

要するに「回線負け」「回線勝ち」というのがあると主張している記事になります。そもそもこの記事は個人の感覚と経験だけで語っているに過ぎず、なんら技術的な考察もなければ客観的なデータもありません。

この記事に書かれていることを紐解きつつ、私の見解を加えていこうと思います。この記事は転載を禁じているため、具体的にどの部分への反論かについては文脈を読んでお察しください。

「回線負け」の定義

まず、「回線勝ち/負け」を定義しましょう。回線品質の指標は主に3点あります。高速かどうか(Ping値)、信頼性があるか(パケットロス値)、一貫性があるか(ジッター値)の3種です。EAでは接続品質という名称でこれらを定義しています。

https://help.ea.com/jp/help/connection-quality/what-is-connection-quality/

この3種の値が「自宅のネット環境、建物のインターネット接続の構造、住んでいる地域により、相手より悪い数字になる」という状態のことを「接続品質で負けている」としましょう。そして接続品質で負けていることでオンライン対戦時に不利になることを「回線負け」と定義します。

EAFCの仕様はどうなっているか

「回線負け」を定義しましたので、今度はEAFCがサーバ側で何をやっているかについて考えます。以下の記事が参考になります。

https://help.ea.com/jp/help/fifa/fifa-game-data-center-faq/

ゲームデータセンターを利用する理由は、各自のゲームプレイ体験が他のプレイヤーの接続に影響されないようにするためです。これはゲームデータセンターを利用すれば、マッチをプレイする際に他のプレイヤーと直接接続する必要がなくなるためです。

ゲームデータセンターを利用したオンラインプレイの利点は、参加する全プレイヤーのゲームプレイ情報をデータセンターが取り扱うことです。ゲームおよびゲームデータセンターは一定の間隔で入力を収集し、その後、ゲームデータセンターはマッチに参加している全員にこの情報を送り返します。これは全プレイヤーに同時に行われるので、個々のプレイヤーがデータを受け取るタイミングはそれぞれの接続によって決まります。

「FIFA 23」ゲームデータセンターのロケーションリストと情報 より

これがゲームデータセンターでの処理について書かれているEA公式の文言ですが、注目して欲しいのは「一定の間隔で入力を収集して全員に情報を同時に送り返す」という仕様です。この説明から、おそらくこのゲームにおいてはオンライン対戦時に同期を取っていることが覗えます。

以前解説した同期の取り方のイメージ図

同時に送り返していますが、ゲームデータセンターはそれ以降のことは関与しません。つまり、もし回線負けが起こるとしたらゲームデータセンターが情報を送り返したということになります。

回線負けが起きるとしたら

ゲームデータセンターからデータが返送されたときは同時でも、接続品質により手元に届くタイミングは変わります。変わるんですが、Ping値8msecの人と20msecの人の差は6msecです。12ではなく6です。Ping値というのは往復の値なので、その差は半分になります。ちなみに6msecというのはフレーム数で言うと1F(約16msec)の半分以下になります。厳密に言えばほんの少し不利ですが、腕の差をひっくり返すほどの影響はないのではないかと思います。因みに、人間が目や耳で得た情報から身体を動かすまでには0.1秒(100msec)かかると言われています。陸上競技のフライングの基準になっています。これに比べれば6msecなんて誤差です。

そのため、誰かが4K映画をストリーミングで視聴しながら信号の弱いWi-Fiでプレイしていたとしても、接続品質の悪化はそのプレイヤーの体験のみにとどまり、マッチ内の他のプレイヤーは影響を受けません。そのような場合でも、ゲームデータセンターは同じ間隔で情報を送り続けます。

「FIFA 23」ゲームデータセンターのロケーションリストと情報 より

一方、上記のEAの記事にもあるとおり、4K映画を見ながら弱いWi-Fi回線でゲームをするのような「受け取り側に超問題があるとき」は別です。この時には回線の悪い側がかなり不利になると思います。なぜならば、返ってきたデータを最後の最後、PS5などのコンソールで受け取るときにモタモタするからです。自宅のルータまで素早く返ってきたとしても、そこから先が渋滞していたら意味がないと言うことですね。

ただ、これはその人の単純な環境依存の話であり、回線負けというよりは単なる自滅でしょう。

回線負けのカラクリ

そして元記事では断定的に接続品質の負けが試合の負けに繋がるような言い方をしていますが、私が調べた範囲ではその傾向は見られませんでした。もし接続品質の良い方が成績を残せるのであれば、データ的にその兆候は見られるのではないかと思いますが、少しもありませんでした

しかしなぜ「自分だけが不利を被っている感覚に陥るのか」についてはある程度説明が出来る気がしています。

理由①:単に重い試合が苦手

私自身がそうなのですが、単に重い試合が苦手というパターンです。EAのサーバが重ければいくらPing値等の接続品質が良くても重い試合になります。また、相手が国を超えてEAサーバに接続してきている場合も重い試合になると思います。深夜に遊ぶとたまに発生するのですが、日本に相手が居なくて海外のサーバに接続しに行くケースがあります。その時のPing値は58~70くらいです。通常は8~14なのでさすがにこの差は歴然です。私にこのケースがあるということは逆もしかりで、気づかずに海外の遠い人とマッチングしている可能性はあります。

で、普段軽い環境で遊んでいると急に重くなったときに対応が難しくなります。こちらの操作のレスポンスが低下しますが、それは相手も同じです。違うのは相手側のCOMキャラで、重さによる操作遅延がなく普段通りに動くため、プレス等がメチャメチャ速く感じます。まぁこっちのCOM選手も向こうから見たらメチャメチャ速い訳なんでフェアではあります。この状況の時に相手側が即プレなどのプレス戦術を入れていたり、セカンドプレスが上手かったり、予測が上手だったりすると「普段と違う!相手だけズルい!」という感覚に陥ってしまう、というからくりなのではないかと理解しています。

理由②:心理学的な説明

プロスペクト理論というのが心理学にはありまして、要するに得よりも損を数倍重く感じてしまうという人間の心理です。私はコーチングを受けているため、私の試合を客観的にリアルタイムで見ている第三者(しかもプロ)がいます。なので、試合中に発生した「たまたま/偶然の産物」というのを客観的に評価されています。その上で、これは感覚値で申し訳ないのですが、試合中のラッキー/アンラッキーは五分五分だと感じています。もちろん、アンラッキーが続いて負ける試合もあれば、その逆もあるので1試合の中で損得イーブンという訳ではないのですが、総じて見れば損も得も同じくらいです。これはコーチングのプロがいろんな生徒のいろんな試合を見ても同じ感覚を持っているそうで、割と正しい感覚なのではないかと思っています。

ただ、普通の人はコーチングなんて受けていないと思いますから、損得の勘定は自分自身がやります。そこで邪魔するのがプロスペクト理論で言われている「損の方を重く評価する人間の心理的なクセ」です。実際は五分五分に発生していたとしても、損の方を重くカウントするのですから、誰しも自分だけが運が悪いと思いがちで、その時に重い試合だったりすると「そのせいにしたくなる」のでしょう。

私は回線負けのからくりはこの2つの理由によって引き起こされる、「人間の思考のクセの一つ」と解釈しています。

おわりに

改めて元記事を読んで頂きたいのですが、私がここで説明したような以下の点に欠けていると思い、個人的には信用に値しない雑文だと思っています。

  • 言葉の定義がない

  • 情報源などの根拠を明らかにしていない

  • データなどで客観的な評価をしていない

  • 仮説が発生する可能性を別の角度から検証していない

ただ、そういう思考を持っている人は多いので、その分多くの共感を生むだけのコンテンツだと思いました。

ちんぱん長文だけどここまでちゃんと読んだ?


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