【書き起こし】チームラボ猪子寿之が語るアートが世界を変えた歴史

2024年2月23日の『夜明け前のプレイヤーズ』で、チームラボの猪子寿之と成田悠輔がアートが世界を変えた歴史について語っていた。

日本の浮世絵が世界中の人々の雨の認識を変えた

猪子：よく話すんですけど、今から150年ぐらい前、1800年代後半『パリ通り、雨』っていうフランスの絵があるんです。雨ってタイトルなんですけど モヤみたいな感じの絵なんですね。他ははっきり書かれてて傘さしてて水溜まりもあるんですけど、いわゆる粒の雨とか線の雨はないんですね。

ちょうど同じような時期に日本の浮世絵師がすごい有名な橋の上でこう雨が 降って線の集合の雨の絵を書くんですけど、それは魅力的で結果的に世界中にすごい広がってゴッホとかも模写するんですけども、ある種あの絵が広がることによって結果的に認識世界に線の雨ができ、線の雨が認識世界にできたから、今となった全人類はなぜか線の集合みたいなので雨を描いてるし、そういう風に見えたつもりになってる。

猪子：認識世界を広げるってことは、この複雑な情報量の多すぎる世界をどう認識していくかみたいなことに対して、もちろんサイエンスも貢献してき たんだけども。アートはアートですごく貢献してきたんじゃないかなと思うんですね。

成田：確かに雨と線とか、普通に雨を見てたらどこにもないですもんね。

猪子：そうです！そもそも 見えてんのか？みたいな（笑）あんなちっちゃい ものが1兆粒ぐらい高速で振ってんのを人間の肉体は見えきれてんのか！みたいなで。でも認識世界にあるから見えてるとも言える。認識世界になかったらあの見えないんじゃないかなとも思うんですね。

アートを通して自分と世界の連続性を認識させたい

成田：でもそういう意味ではそのアートみたいなものが新しい世界の認識の仕方とかを獲得するとともに普通の人の世界の記述の仕方とか捉え方も変わっていくってことがあるわけじゃないですか。

猪子：はいはいはい。

成田：どう変わってくれ たらいいなみたいなのはあるんですか？

猪子：それは、自分は世界の中にいるし、世界と連続してるし、この世界全ての世界はこう無限の連続性の上に存在してるんだけども。どうしても人間のまあ認識の特性なんだと思うんだけど、無自覚に境界を作り、切り取ってま切り取って個別な独立したものとして認識する。

だから例えば言葉にするっていうのは多分すごく分かりやすいんですけど、言葉にすると地球と宇宙は繋がってるし連続してるし、境界面もないんだけど、地球って言った瞬間まるで地球と宇宙の間に境界があって独立して存在できてるかのようにあの勘違いしてしまう（笑）

だから、ほっととく世界を言葉で喋ってたり、論理で考えてたりしてるうちに世界はもう切り刻まれまくって独立して存在してるかのように思ってしまうで。

連続性ではなく独立した存在だった美の対象

美の対象も独立した存在が美の対象だったと思うんですね。例えば美術館行って終わった後にどの絵が1番良かったとか言うじゃないですか。だから独立したものが美の対象で。人間のその本来は全て連続してるはずだし自分と世界も連続しているんだから何かこの連続してることそのものが美の対象になったらいいなと思ってるし、自分と世界が連続してることを何かほんの 少しでも感じれた時に感じさせれたらいいなみたいに思ってるんですね。

成田：確かにこの人が美しいとか、この景色が美しいとか言ってるのも、他の人とか他の物との関係性の中で立ち表れてるだけですもんね明らかに。

猪子：何かその言語や論理っていうのはすごく重要で必要なことだと思うんだけど。人はいつからか言葉を喋り、いつからか絵を書いてたわけですよね。それは自分 の意見としては何らか抽象化して情報量を下げないと、この複雑な世界を認識をできないので、何か脳の中象度が上がって言語を獲得したと同時に、何らかの別の抽象度が上がって絵を書くことを獲得したんだと 思うんですね。

言葉はささっきも言ったように1個1個独立させて認識させていくんだけど、絵を書く絵を見るみたいなものっていうのは、何らか関係しているものを関係性を残したままどうにか認識して獲得していったものだと思うんですよね。

子どもは世界を関係性と連続性を残したまま理解している

子供が1番初めママって言うじゃないですか。ママは言葉です。でもママの 絵を書いたのに往々にしてお家があり、なぜか地面があり太陽があったりする。大体、世界中ママの絵には。

成田：世界モデルみたいになってますよね。

猪子：そうそう！ママと家ばは多分子供にとっては多分もう関係し合ってて。すごく関係し合ってる関係だったり。太陽もなぜか多分生命体として関係し合ってるのか、分かんないけど。

何か関係性を 残したまま抽象化して認識するような風に抽象度が上がった時にできる ようになっていったことだなんじゃないかなと思っていて。だから関係性とか連続性を残したまま、この世界を認識する方法として残ったま発展していったんじゃないか、すら思ってるんですね。

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